2026年9月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930  

    「いくら谷口シェフでも、そんな山奥に絶対人は来ない。来るのはクマやタヌキだけだ」

    8年前、富山・利賀村への移転を構想したのは、のちにミシュランの二つ星を獲得する料理人、谷口英司。村の人たちは本気で心配し、反対したという。その山奥のオーベルジュ、L’évo(レヴォ)が、新しいアワードの最高賞に選ばれた。

    Forbes JAPANがJ-CATと今年立ち上げた「Forbes JAPAN Destinations of the Year 2026」は、体験そのものがデスティネーションになるという考えのもと、その土地ならではの体験を生み出す事業者に光を当てる。

    全国の有識者や観光関係者からの推薦で200を超える候補が集まり、文化の進化性、地域固有性、循環型のビジネスモデル、持続可能性の4つの基準で30組が「The 30 Collection」に選ばれた。その授賞イベントが8月6日、100年以上前から旅の拠点となってきた東京ステーションホテルで開催された。

    もう一つの日本地図

    挨拶に立った編集長の藤吉雅春は、Forbes JAPANの新創刊のころの話をした。2014年、急激な円安で訪日客が押し寄せ、まもなく「爆買い」が流行語大賞を取る、そんな時世だった。

    創刊準備の時期に東日本大震災後の東北を歩いた藤吉は、生産地と消費地をつなごうと起業する人たちに出会い、「新しい日本地図を作りたいんです」という言葉を聞く。

    安くなった日本を訪れた外国人客が、ドラッグストアや家電量販店で買い物をして帰る。そうした観光も、日本の現実の一面ではある。ならばビジネス誌は、土地の本物の魅力を目当てに人が訪れる、もう一つの日本地図を描けないか。そんな創刊時の問いが、12年を経てこのアワードにもつながった。

    共催のJ-CATは、国内向けの高付加価値体験予約「Otonami」と訪日客向けの「Wabunka」を運営する会社だ。代表の飯倉竜は、2025年に同誌の「カルチャープレナー」アワードを受賞。その授賞式の夜、Forbes JAPANメンバーに本アワードのアイデアを持ちかけたことから、1年経たずにこの日を迎えた。

    J-CAT代表 飯倉竜 J-CAT代表 飯倉竜

    アワードでは30の事業者のなかから、4つの審査基準に沿って、4つの部門賞が表彰された。

    屋久島の「流域のがっこう」は、山と海と里をつなぐ流域の暮らしを学びの場にする取り組みでFuture Forward賞(文化の進化性部門)を受賞。観光を集落継承の手段に変えた沖縄・国頭村の「やんばるホテル南溟森室」には、Local Identity賞(地域固有性部門)が贈られた。広島・瀬戸田の「SOIL Setoda」はSocial Sustainability賞(持続可能性部門)。

    Share.

    Comments are closed.