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    領空侵犯、無人機、破壊工作――NATOを揺さぶるロシアの手法から考える日本の備え

    織田 邦男

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    2026.9.1(火)

    日本付近をロシア軍機とともに飛行した中国の「J-16」戦闘機(6月27日、航空自衛隊撮影)

     8月25日、米中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官がモスクワを訪れた。

     通常の外交ルートではない。米国を代表する情報機関のトップが、ウクライナ侵攻を続けるロシアの首都に自ら乗り込んだのである。

     CIA長官の訪露が公になったのは、ロシアによるウクライナ全面侵攻直前の2021年11月、当時のウィリアム・バーンズ長官以来だった。

     ラトクリフ長官は、ロシア対外情報庁(SVR)のセルゲイ・ナルイシキン長官らと会談した。

     米欧メディアの報道によると、米国側が伝えた重要なメッセージの一つは、NATO(北大西洋条約機構)加盟国への軍事行動に踏み切るな、という警告だったという。とりわけロシアと国境を接するバルト3国では、警戒感が強まっている。

     なぜ米国は、わざわざCIA長官をモスクワに送り込む必要があったのか。

     その答えを探ると、現在の欧州で進んでいる、正規軍同士の戦争とは別の不気味な動きが見えてくる。

    ロシアが狙う「戦争未満」の領域

     米CBSは8月7日、米情報機関の評価として、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のリスク許容度が高まり、今後数年のうちにNATO領域に及ぶ挑発的な行動を承認する可能性があると報じた。

     ただし、想定されているのは、ロシア軍の大部隊が国境を越えてNATO加盟国へ雪崩れ込むような全面侵攻だけではない。

     もっと小さい。もっと曖昧である。

     サイバー攻撃、破壊工作、無人機の侵入、領空侵犯、インフラへの妨害、実行主体の分かりにくい限定的な軍事行動。

     つまり、「これは戦争なのか」と相手に迷わせるような行動である。狙いは、必ずしも領土の獲得ではない。

     攻撃を受けた加盟国のために、NATO各国が本当に結束して動くのか。

     米国は、本当にロシアとの軍事衝突の危険を冒してまで欧州の小国を守るのか。

     そこを試すことに意味がある。

     もし加盟国の間で意見が割れれば、たとえロシアが一発の大規模攻撃も行わなくても、NATOの抑止力そのものに亀裂を入れることができるからだ。

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