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    2026年F1第13戦イタリアGPで表彰台に登る3人のドライバーと、優勝コンストラクターの代表者は、カップや小鉢を積み重ねたような異色のトロフィー「FRAGILE」を手にすることになる。

    一般的にトロフィーには、勝利を形のある恒久的な功績に変える役割がある。レースそのものは数時間で終わるが、トロフィーはその後も残り、そのドライバーが勝者であるという事実を刻み、記念する。

    故に通常のトロフィーには、重厚さや安定感、耐久性といった、勝者の強さや達成の永続性を感じさせる造形が採用されやすい。

    だがFRAGILEは、「勝利」そのものに対する見方を含め、こうした既成概念を大きく揺さぶる。

    日用品を積み重ねた異色のトロフィー

    2026年F1イタリアGPのトロフィー「FRAGILE」と、デザインを手掛けたヴェドヴァマツェイ(vedovamazzei)のシメオネ・クリスピーノとステラ・スカーラ、2026年F1イタリアGPCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

    2026年F1イタリアGPのトロフィー「FRAGILE」と、デザインを手掛けたヴェドヴァマツェイ(vedovamazzei)のシメオネ・クリスピーノとステラ・スカーラ、2026年F1イタリアGP

    FRAGILEを手掛けたのは、ステラ・スカーラとシメオネ・クリスピーノによるイタリアのアーティスト・デュオ「ヴェドヴァマツェイ(vedovamazzei)」だ。日常生活で使われるカップや小さなボウルを積み重ねることで、通常のモータースポーツのトロフィーとは大きく異なる造形に仕上げた。

    作者によれば、着想の原点となったのは、祝いの席で祝杯を人から人へと渡していく古い伝統だった。

    「我々はこのトロフィーを、個人が手にする勝利の象徴でありつつも、同時にコミュニティーの精神を映すものにしたいと考えた。F1の場合、そのコミュニティーにはチーム、ファン、そしてドライバーを取り巻く世界全体が含まれる」

    勝利の儚さを表現した「FRAGILE」

    カップや小鉢を積み重ねた造形の2026年F1イタリアGP用トロフィー「FRAGILE」、優勝、2位、3位のドライバーに贈られる3種類Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

    カップや小鉢を積み重ねた造形の2026年F1イタリアGP用トロフィー「FRAGILE」、優勝、2位、3位のドライバーに贈られる3種類

    FRAGILEは、勝利を恒久的な功績として記念する従来のトロフィー像を反転させた。勝利はチームやファンとの積み重ねによって生まれた一時的なものであり、次のレースでは再び勝ち取らなければならないというF1の本質を、作者は器を積み重ねた不安定な造形に重ね合わせた。

    「それは不安定で、短命で、もう一度勝ち取らなければならないものである。まさに、それは壊れやすいもの(fragile)なのだ」

    ヴェドヴァマツェイのアートワークは、日常的な物を再解釈し、皮肉や矛盾、複雑さを浮かび上がらせる点に特徴がある。

    イタリアGPでは2021年から、毎年異なるイタリア人アーティストがトロフィーを制作する取り組みを続けている。これまでにアリーチェ・ロンキ、パトリック・トゥットフォーコ、ルース・ベラハ、アンドレア・サラ、ニコ・ヴァシェッラーリが参加した。

    2026年のイタリアGPウィナーは、F1での勝利そのものの「儚さ」を表現したトロフィーを表彰台の頂点で掲げることになる。

    F1イタリアGP特集

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