2026年9月
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    世界最大の化粧品会社ロレアルグループ(本社:パリ)の日本法人である日本ロレアル株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャン-ピエール・シャリトン)は9月2日、2026年度 第21回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の受賞者4名を発表いたしました。併催されたパネルディスカッションでは、「次世代の女性科学者が描く未来 —多様性から紐解く科学の可能性—」と題し、女性科学者の人材増加への課題について議論されました。

     

    2005年に創設された本賞は、日本国内で物質科学、生命科学の2分野における博士後期課程に在籍または同課程に進学予定の若手女性科学者を対象としています。次世代を担う優れた研究者を支援することを目的に、各分野からそれぞれ2名(計4名)が選出され、受賞者には奨学金100万円が贈られます。 審査においては、研究の達成度に加え、テーマ設定の独自性、研究プロセスで直面する困難への対処力、そして発見・開発に至る過程での科学的解釈に対する柔軟な発想などが総合的に評価されました。

     

    <物質科学分野> 

    梶原 美紀(27) 中央大学大学院 理工学研究科

    研究内容 レーザー光を利用したマイクロ・ナノ粒子の高速射出技術の開発と材料高機能化

    受賞理由 レーザーの力で微小な粒子を強烈に加速させ、材料の表面を強くして寿命を延ばす技術を開発

    金属の疲労寿命向上や表面改質など、材料科学の発展に貢献する独創的な応用研究として高く評価

     

    杉村 晴菜(27) 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科

    研究内容 新規反芳香族イソフロリンの合成および設計指針に関する研究 

    受賞理由 電子吸引基の導入により、世界初の「反芳香族イソフロリン」の合成と単離に成功

    近赤外発光などの新機能を引き出す新たな分子設計を開拓し、基礎有機化学の発展に貢献する

    独創的な研究として高く評価 

    <生命科学分野>

    大蘆 彩夏(28) 岡山大学学術研究院 環境生命自然科学学域 助教

    研究内容 アホロートルを用いた皮膚I型コラーゲン構造形成メカニズムの解明

    受賞理由  アホロートル(ウーパールーパー)の透明な皮膚から、コラーゲンが皮膚の骨組みを支える新しい仕組みを発見。再生のプロセスから「若返り」の謎に迫る、将来の医療に独創的な研究として

    評価

     

    桐野 桜(35) 東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 プロジェクト研究員

    研究内容 消化管の再生力を支える、細胞の”若返り”のメカニズムと意義

    受賞理由 腸の炎症時に働く「再生用の幹細胞」の正体を突き止め、組織が治る仕組みを解明

    この再生のプロセスと「がん」発症の関連に迫り、将来の医療発展につながる独創性の高い研究

    として評価

     

    授賞式では駐日フランス大使  ベアトリス・ル・フラペール・デュ・エレン様、文部科学省 国際統括官 日本ユネスコ国内委員会 事務総⻑​ 原 克彦様より受賞者へ祝辞を賜りました。 

     

    モデレーター:治部れんげ/東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授 兼 ジャーナリスト

    登壇者:受賞者4名

     

    最新の統計調査では、日本の女性研究者数は過去最多の19万400人、研究者全体に占める割合も19%と過去最高を記録*しました。女性研究者の裾野は広がりつつある一方、国際的には依然として低い水準にあり、科学・技術分野のジェンダーギャップは残されています。 一方、いま求められているのは、単に女性研究者を増やすことだけではありません。異なる経験や視点、専門性を持つ人々が研究の場に集うことで、新たな発想やイノベーションが生まれる可能性があります。こうした中、政府は次世代の科学技術人材の育成を強化しており、文部科学省は来年度から理系人材の育成拠点を全国に整備し、1拠点あたり年間5,000万円規模の補助を5年間行う方針を示しています。このような社会背景の中で、次世代の女性科学者たちがどのような未来を描くのかトークセッションが行われました。

     

    セッションの序盤では、登壇した4名の受賞者たちが「自身が科学の道を選んだきっかけ」や「研究の面白さ・困難を乗り越えた瞬間」について振り返りました。 幼少期から自然科学に親しんだエピソードや、ノーベル賞受賞者などのロールモデルに感銘を受けた経験が語られる一方、「進路選択の際には文理選択の迷いや、周囲の期待・環境に影響を受けた」という声も上がりました。研究そのものには性別を問わず純粋な面白さや探求心がある一方で、研究者としてのキャリア継続や将来への見通しについては、若手研究者共通の切実な悩みや不安が存在することが共有されました。

     

    そして、議論は科学界におけるジェンダーギャップや、女性研究者が直面する構造的な課題へと移りました。 モデレーターを務める治部れんげ氏から「家事や無償のケア労働の負担が女性に偏っている現状(日本の6歳未満の子供を持つカップルの家事時間は、女性が男性の5.5倍に上るデータなど)」が示されると、登壇者からも「出産や育児などのライフイベントと研究活動の両立、物理的な時間的制約に直面する中で、周囲のサポートや時間管理の重要性を痛感する」「周囲に女性研究者が少ないことによる孤独感や、将来へのキャリアパスの不透明さに不安を感じることがある」といった実感が語られました。 また、ジェンダーに関する課題は当事者だけの問題ではなく、「女の子だからこうあるべき」「文系・理系はこう分けるべき」といった周囲(大人や家族)の持つアンコンシャスバイアスや無意識の声かけに起因することが多い点についても意見が交わされました。

     

    セッションの終盤では、理系人材や女性科学者を今後さらに増やしていくために何が必要かというテーマについて議論が行われました。 登壇者からは、以下のような提言や未来への展望が寄せられました。

     

    早い段階での体験とロールモデルの提示:幼少期からジェンダーの枠組みに囚われず、多様な体験に触れる機会や、実際に活躍するロールモデルに触れることが、進路選択の大きな後押しになること。

    性別にとらわれないフラットな声かけと意識改革:周囲の大人が「女性だから」「男性だから」という固定観念を排し、本人の興味や関心をフラットに尊重・支援する環境づくりの重要性。

    ·長期的な支援の価値:日本ロレアルが20年以上にわたり「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を通じて女性研究者を長く支援し続けていることの意義が再確認され、こうした地道な取り組みの継続が、次世代の「好きだから科学を選ぶ」子どもたちの背中を押し、多様性に満ちたイノベーションを生み出す土壌となることが期待されました。 

    当社はこのような事実に真摯に向き合い、これからも若手女性科学者を支援することで、多角的な視点から研究開発が進み、インクルーシブな社会の実現に寄与できるようこれからも尽力してまいります。

     

    ※肩書きは2025年応募当時、年齢は2026年9月2日時点のものです。
    *総務省令和7年科学技術研究調査結果

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    ▪️「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」(主催:日本ロレアル)
    https://www.loreal.com/ja-jp/japan/articles/commitments/fwis/
     「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」の国内版として、日本ロレアルは2005年に日本ユネスコ国内委員会の協力のもと「ロレアルーユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を創設。日本在住の若手女性科学者が研究活動を継続できるよう奨励することを目的とし、物質科学、生命科学の分野で、博士課後期課程に在籍または、博士後期課程に進学予定の女性科学者(40歳未満)を対象としています。毎年、物質科学・生命科学から原則、各2名(計4名)に奨学金100万円を贈呈しています。2024年度を含み75名の若手女性科学者が受賞しており、受賞後さらにキャリアを開花し、国内外で活躍しています。

    ▪️「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」(主催:ロレアル本社)
    https://www.forwomeninscience.com/(英語のみ) 
    世界最大の化粧品会社ロレアルグループ(本社:パリ)はいち早く、1998年に世界の社会的課題である科学分野における女性研究者の割合を増やし、地位向上を目指すべく「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」を創設しました。これまでに世界110ヵ国から4,100名以上の女性科学者(ノーベル賞受賞者含む)を表彰してきました。「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」は、これまでに2021年の野崎京子氏(東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻教授日本化学会理事)を含む7名が受賞しています。

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