9月19日に開幕を迎えるアジア大会で金メダルが期待される、陸上400m日本記録保持者の中島佑気ジョセフ(24)。東京世界陸上では男子400mで日本勢34年ぶりとなる決勝進出を果たし、6位入賞の快挙を成し遂げた。
【写真をみる】ファッション誌でも活躍する中島佑気ジョセフ
スプリント界の若きエースはいかにして歴史を塗り替えたのか。アジア大会「スペシャルアスリートアンバサダー」で卓球元日本代表の石川佳純(33)が取材した。
191cmの長身を誇る中島と対面した石川は、「テレビで観ていたより大きい。足が違いすぎて…」と思わず漏らす。中島は「400mの選手はみんな大きい。2m近くの人もいますし、ストライドが重要なので」と笑顔で応じた。
■「やれることは全部やった」世界陸上で34年ぶりの快挙
中島は2025年9月に行われた東京世界陸上の男子400m予選で、パリ五輪銀メダリストらを抑えて2位でフィニッシュ。従来の記録を0秒33更新する44秒44の日本新記録を樹立した。続く準決勝でも怒涛の追い上げを見せ、日本勢として34年ぶりとなる決勝進出を果たすと、決勝では6位入賞を達成。日本人の同種目最高順位を塗り替える歴史的快挙を成し遂げた。
大活躍の要因について中島は、「東京世界陸上にかける想い、活躍したい想いの強さを実感することができた。『やれることは全部やったな』という感覚で舞台に立てたことが、良いパフォーマンスにつながった」と振り返る。
一躍スター選手となり、ファッション誌やテレビ番組でも活躍する中島だが、その競技人生の始まりは意外なものだった。
■きっかけは「高校推薦」無名だった少年を見出した恩師
東京・立川市出身で、ナイジェリア人の父と日本人の母を持つ中島は、中学から陸上をスタート。サニブラウンをはじめ多くのスプリンターを輩出した名門・城西大学附属城西高校(東京・豊島区)への進学を切望していたが、当時は全国大会の出場経験すらない無名の存在だった。
そんな彼に400mの選手として声をかけたのが、シドニー五輪出場経験を持つ城西大城西高校陸上部の山村貴彦監督(47)だった。山村監督は「私はタイムが速いから声をかけるというよりは、自分の目で見て伸ばしてあげられるかなと思う子に基本的に声をかけるので。長い目で見て、高校3年間で大成しなくても将来的に世界で活躍できるようになればいいなと、あくまでも僕の願望と僕の目標というか、自分を超えるような選手を育てたいというのもあったので」と当時を明かす。
