Q3の最終アタックを前にしたモンツァのメインストレートで3台の思惑が交錯した。わずか0.060秒差で2026年F1第13戦イタリアGPのポールポジションを逃したジョージ・ラッセル(メルセデス)は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の動きに不満を示した。
Q3に向けたメルセデスのプランは明快だった。アンドレア・キミ・アントネッリはラッセルの前を走り、トウを与える役割を与えられていた。アントネッリはパワーユニット(PU)交換に伴うグリッド降格が決まっていたため、予選結果を追い求める必要がほとんどなかった。
ラッセルの不満、狂ったメルセデスの計画
当初、メルセデス2台は、前方を走るフェルスタッペンに対して十分な間隔を保っていた。ところがアウトラップ終盤、最終アルボレート・コーナー(旧パラボリカ)手前のバックストレートでフェルスタッペンの速度が低下し、3台の間隔が一気に詰まった。
「アタックに入るところで、マックス(フェルスタッペン)との間で少しごたついたんだ」とラッセルは振り返る。「すべて上手くいっているように思っていたんだけど、パラボリカに入るところでマックスが急ブレーキを踏んだんだ。彼は先頭を走りたくなかったんだ」
その後、フェルスタッペンは加速してアタックラップに入ったが、前後の間隔が詰まったことで、アントネッリはチームメイトにトウを与えることができなくなり、脇にそれてラップを中止した。
アントネッリを追い越したラッセルはラップを続けたが、フェルスタッペンに接近しすぎたため、タイムを失ったと感じていた。
ラッセルは「こういうこともある。他の人が何をするかは、自分ではコントロールできないからね」と理解を示し、アントネッリに非はないと語った。
「キミはトウをくれるためにそこにいたわけで、最初のアタックでは完璧にやってくれた。でも、最終アタックでは前にマックスがいたことで、キミにとってもどうすべきか判断するのが難しくなったんだと思う。だから、少し不運だった」
「僕はマックスの1.5秒後方でラップを走ることになってしまった。理想的じゃなかった」
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
予選2番手を示すボードの後方にマシンを止めるジョージ・ラッセル(メルセデス)、2026年9月5日(土) F1イタリアGP(モンツァ・サーキット)
圧倒的な本命と目されていたラッセルに代わり、モンツァでポールポジションを手にしたのはピエール・ガスリー(アルピーヌ)だった。ガスリーは2日前、FIA国際控訴裁判所(ICA)の裁定によって6月のモナコGPの表彰台を再び失ったばかりだった。
フェルスタッペンの思惑とPU不調
前後の間隔を維持してトウを与えたいアントネッリと、そのアントネッリから最良のトウを得たいラッセル。メルセデスの2台だけでなく、フェルスタッペンにも思惑があった。予選後、4度のF1王者はアントネッリのトウを得たいと考えていたと認めた。
特に新世代マシンが導入された今年のモンツァでは、例年以上にトウの有無がラップタイムに与える影響が大きかった。
また、その思惑とは別に、フェルスタッペンはアウトラップ中にパワーユニットのトラブルに見舞われていたとも説明した。
アントネッリを先行させたかったのかと問われると、フェルスタッペンは「そうだね。でも同時に、加速しようとしたらエンジンの出力が切れてしまったんだ。いろんなことが同時に起きていて、ものすごく複雑な状況だった」と説明した。
もっとも、トウを巡るこうした駆け引きが起きることは、週末以前の段階から広く予想されていた。
アストンマーティン・ホンダのチーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックは、エネルギー回生の機会が少ないモンツァでは、バッテリー不足により予選はトウの奪い合いになるはずだとし、「おそらく誰も先頭を走りたがらないだろう」と話していた。
スリップストリームに入れば空気抵抗が小さくなり、最高速を伸ばせるだけでなく、同じ速度まで加速するために必要な電力も抑えることができる。
フェルスタッペンは6番手で予選を終えたが、リアム・ローソン(レッドブル・レーシング)の走行を妨害したとして予選3番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がグリッド降格を受けたため、決勝では5番グリッドに着くことになる。
2026年F1イタリアGP予選ではピエール・ガスリー(アルピーヌ)が驚愕のポールポジションを獲得。2番手ジョージ・ラッセル(メルセデス)を0.060秒差で退けた。角田裕毅(レーシング・ブルズ)はQ1敗退に終わった。
決勝レースは日本時間9月6日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周5793mのモンツァ・サーキットを53周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。
