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    ビッグバン直後の宇宙では、物質は現在のわたしたちが知るような姿では存在していなかった。ビッグバンから約100万分の1秒後、宇宙は科学者が「クォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)」と呼ぶ、高密度で高温のスープ状の物質で満たされていた。

    ここ数年、原子核などを光速に近い速度まで加速して衝突させる粒子加速器によって、この状態を再現できるようになっている。しかし、こうした実験の多くでは、鉛のような重い元素が使われている。

    だが、欧州合同原子核研究機関(CERN)による最近の実験で、このプラズマがはるかに小さな衝突でも生成できることが実証された。もはや自然界からこの太古の”スープ状”の物質を直接得ることはできない。だからこそ、こうした”小さなビッグバン”を人工的に生み出すことで、宇宙誕生後の最初の瞬間に何が起きたのかを解明する手がかりが得られる。

    宇宙を満たしていた”スープ”を再現

    まずは背景を整理しておこう。クォークは陽子や中性子を構成する素粒子であり、陽子や中性子は原子を構成し、あらゆる物質をかたちづくっている。一方、”グルーオン”は、その名前が示すように、クォークどうしを接着する役割を果たしている。

    宇宙誕生後の最初の数マイクロ秒には、まだ陽子や中性子の内部に閉じ込められていないクォークとグルーオンが、超高温のプラズマを形成していた。宇宙が膨張するにつれて物質は冷え、クォークは凝縮し、より大きな粒子を形成するようになった。

    大型の核衝突実験によってQGPの研究が数十年にわたって行われてきた現在、物理学者たちはこの奇妙な物質状態の限界を探ろうとしている。特に、衝突の規模をどこまで小さくしても、粒子の集まりが液滴のような流体として振る舞う様子を観察できるのかを調べているのだ。

    学術誌『Physical Review Letters』に8月に掲載された論文によると、CERNと国際研究チームは、酸素16とネオン20の原子核を使ってQGPの生成に成功した。酸素16とネオン20の原子核は、これまでQGPの生成に使われてきた鉛の原子核よりもはるかに軽く、その質量はいずれも鉛の原子核の10分の1にも満たない。

    「この原始の物質、いわば”小さなビッグバン”を再現するにあたり、原子核がどこまで小さくなりうるかという限界を押し広げることができました。物質がこの極限状態へと転移するために必要な根本的な条件について、理解が深まりました」と、ニールス・ボーア研究所の研究者で、この研究の共著者でもあるユウ・チョウはプレスリリースで説明している。

    研究者たちは、酸素やネオンの原子核が小さいにもかかわらず、その衝突実験でQGPに期待される振る舞いと一致するシグナルを確認した。生成された物質は一瞬の間、流体のように一体となって膨張した後、冷却されて再び粒子へと戻ったように見えた。

    「この研究が、宇宙誕生直後のプラズマがどのように振る舞い、その後、わたしたちの身の回りにあるあらゆる物質へとどのように進化していったのかを、より深く理解する助けになることを期待しています」と、チョウは付け加えた。”

    (Originally published on WIRED en Español, translated by Miranda Remington, edited by Mamiko Nakano)

    ※『WIRED』による宇宙 / Spaceの関連記事はこちら。

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