公式戦3連勝で迎えた5連戦の4試合目、中3日でのゲームになることを受けて松橋力蔵監督は前節からスタメンを4名変更。アウェイでの清水エスパルス戦に総力を挙げて勝点3を狙いにいった。
立ち上がりは清水のアグレッシブさが際立ったが、徐々にペースをつかんだ東京が流れを引き寄せて主導権を握る。攻守両面で上回ってポゼッションとカウンターを織り交ぜた攻撃を展開し、左サイドの橋本健人選手と本間至恩選手を中心に好連携を見せながらチャンスを作った。
決定機を決め切れないまま前半を折り返した東京は、後半立ち上がりにビッグチャンスを作る。ペナルティエリア脇に侵入したマルセロ ヒアン選手の折り返しをニアサイドに走り込んだ長倉幹樹選手が巧みにコースを変えてシュート。これは惜しくも左ポストを叩いたが、良い形で決定機を生み出していった。
そして後半5分、ようやく東京が試合を動かす。左サイドで縦に仕掛けた本間選手のクロスをファーサイドの安斎颯馬選手がボレーシュート。一旦は相手選手のブロックに阻まれたが、こぼれ球を拾った長倉選手が冷静につなぎ、安斎選手が左足で豪快に決めて待望の先制点を奪った。
だが、後半8分に失点。ビルドアップでゴールキーパーを使って作り直そうとした際に相手が猛然とプレスを仕掛け、キム スンギュ選手がキックを当ててしまうと、これがそのままゴール方向に飛んで同点に追いつかれてしまう。
思わぬ形でタイスコアにされた東京だったが、その後も相手陣内に押し込んだ状態で試合を進めて数多くのチャンスを作り出す。だが、VARのサポートでPKが取り消され、橋本拳人選手の鮮やかなダイレクトボレーがクロスバーを直撃するなど、あと一歩のところで決め切れず。1-1のまま試合終了のホイッスルが鳴り響き、惜しくもアウェイで勝点1を得るにとどまった。
前節のドロー決着で公式戦の連勝が3でストップしてしまった東京。だが、指揮官も選手たちもネガティブになる様子はなく、むしろ反省を糧にしながら、しっかりと前を向いて力強く突き進もうとしている。
京都サンガF.C.との一戦を翌日に控えた松橋力蔵監督が「勝利を手繰り寄せるだけのものは表現できている」と話せば、キャプテンの室屋成選手は「シーズンを通じて良い試合運びをできているので、細かいところにこだわって全員で勝点3を持ってくるようにハードワークしたい」と前を向く。
清水戦で出た課題──細かな修正点はあれど、まずは目についたのは多くのチャンスを作りながら決め切れなかったという決定力不足、そしてビルドアップの乱れから失点を喫してしまった部分だろう。
チームとしてゴール期待値で優れた数字を出しながら、実際の得点数がそこに及ばない現状はある。だが、しっかりと決定機を生み出すことができていることは間違いない事実。どうすればしっかりとゴールを決められるのかという疑問に対して、仲川輝人選手は「僕はシンプルに考えていますけど」と前置きしながら、得点へのプロセスを力強く語る。
「決まるまで打つしかない。そこまでチャンスを作れていることは全体としてポジティブに捉えていいし、ゴール前での冷静さも大事ですけど、それくらい吹っ切れたほうがいい。どんどん打っていくことで点は入ると思う」
もちろん相手も必死に守ってくる。だが、確実にチャンスの数は増えている。得点を奪うこともできている。だからこそネットを揺らすことができない時間が続いても、焦れずに攻め続けてゴールを狙っていくしかない。
もったいない失点を喫してしまったという部分もネガティブに捉え過ぎず、しっかりと前を向くことが必要だ。神戸との第2節に続いて最終ラインとゴールキーパーの連携の部分でゴールを許してしまった。優勝を目標にするチームとしては、これ以上繰り返してはならないプレーであることは間違いない。だが、勇気を持ってつないでいくことが保持率を高め、敵陣に押し込んで戦う展開に持ち込めている部分もある。
何かを大きく変えるのではなく、チームメートへの細かなボールの受け方、渡し方、タイミングにこだわり、周囲がしっかりとパスコースを作りプレスを回避することで再び良さを発揮できるはず。ここまで積み上げてきた価値観を見失わず、高みをめざしていく過程における“産みの苦しみ”だと捉えて、全員で目線を合わせて先に進まなければならない。
対する京都は今シーズンからランコ ポポヴィッチ監督が就任。かつて青赤でアジアの舞台をともに戦った指揮官と久々に相まみえることになる。ほかにも大熊清GM、戸田光洋コーチと元FC東京のスタッフが多く、懐かしい顔ぶれが揃うことにもなりそうだ。チームは昨シーズンまでのハイプレスをキープしながらポポヴィッチ監督らしいパスサッカーを採り入れていこうとしている段階だ。もっとも警戒すべきは2025シーズンにリーグ戦18得点をマークし、今シーズンからチームキャプテンに就任したラファエル エリアス選手。2026/27シーズンもすでに3得点2アシストを記録しており、彼を自由にさせないことは勝利への必要条件になるだろう。
また、試合後には東慶悟選手の引退セレモニーが行われる予定になっている。東選手にとっての東京でのラストマッチとなった明治安田J1百年構想リーグのプレーオフラウンド第2戦を勝利で飾れなかったこともあり、背番号10を受け継いだ佐藤恵允選手は「前回は負けているので、今回は勝って送り出したい。10番の責任をもって戦います」と先人へのリスペクトを胸に戦う覚悟を明かす。
攻守に東京らしさを発揮して5連戦の最後を締めくくる勝利を、そして功労者を笑顔で送り出す勝点3を。青赤ファミリーが一丸となって総力を挙げて奪いとりにいく。

Q、前節の引き分けで連勝が止まりましたが、あらためて京都サンガF.C.戦をどのように考えていますか。
A、勢いがないわけではないですし、良い流れも作れています。チームとしての戦術的な部分も、より洗練されてきているところがあります。下を向かず、前を向いて、次のホームゲームでしっかりと勝利したいです。
Q、連勝が止まったからこそ、5連戦の最終戦は勝利が欲しい試合になると思います。
A、連勝が止まったからといって、ネガティブに捉えていることはまったくありません。一つひとつのゲームが持つ意味はすべて同じですし、勝つために我々の力をしっかり出すことができれば、十分に勝利を手繰り寄せられるだけのものは表現できていると思っています。前節も、あのような失点によって勝点2を失ってしまいました。ディフェンスの選手、ゴールキーパーを含めチーム全員で、目線を合わせ、細部の擦り合わせをすることができました。そうした細部をもう一段引き上げなければ、失った勝点2は戻ってきません。次はしっかりと勝点を積み上げられるように準備していきたいと思います。
Q、キム スンギュ選手のプレーについて、勇気を持ってプレーすることが東京の良さを出すことにもつながると思います。状況によって判断は変わると思いますが、その点はいかがでしょうか。
A、状況によって判断は変わってくると思います。何か決めごとがあるわけではありません。我々はしっかりとボールを握ることをめざしています。似たような形が2回続いたという見方もあると思いますが、それぞれ状況が違うので、我々としては同じケースだとは捉えていません。ただ、あのような形で自分たちから崩れてしまうことは減らさなければいけません。一方で、それによって我々の目線や考え方が大きく変わることはないと思っています。
Q、あの失点をなくすために、チームにはどのようなフィードバックをしましたか。
A、「こういうケースであれば自分たちはこうしていこう」という話はしています。ただ、あのプレーも相手に当たらず遠くにボールが飛んでいれば、なんでもない状況でした。ですので、必要以上に強調することではありません。我々はボールを握るチームですし、あの場面も単純にボールを下げるという状況ではありませんでした。森重真人選手も、自分たちの左サイドへ持ち出してから下げることをやめようという判断を持ったなかでのプレーでした。そこまで何かを強調するのではなく、ただ同じことを繰り返してはいけないこと、あのようなプレーでリズムを崩したり、勝点を失ったりすることが無いように、全員で目線を合わせました。
Q、攻撃面では多くのチャンスを作れています。決定力についてはどのように捉えていますか。
A、ゴール前では、最後は個人が持っている力や精度をしっかり発揮しなければいけません。前節もチャンスはいくつもあったと思います。そこを越えられないことには、チームとしてのやり方ももちろんありますが、最後は個人がしっかりと力を発揮することが必要です。それが選手の価値にもなりますし、チームに価値をもたらす選手が増えてこないと、勝利することが難しい部分も出てくると思います。
Q、京都は監督が変わり、スタイルも少し変化している印象があります。どのように見ていますか。
A、非常にアグレッシブな部分はまったく失われていません。最近対戦した相手では、V・ファーレン長崎は少し違ったかもしれませんが、清水エスパルスやヴィッセル神戸など、同じようなシステムのチームと対戦しています。京都も前線から非常にアグレッシブにくるチームです。中盤の選手の圧力のかけ方には若干違いがありますが、しっかり前に出てくるチームなので、その矢印をうまく折ったなかで、どう攻めていくかが大事になると思います。
Q、試合のポイントを挙げるとすると、どのようなところになりますか。
A、攻撃では、どこにスペースができるのか、我々がどのスペースをしっかり狙っていくのかというところです。試合が進めば、相手もそこには気付いてくると思います。そうなった時に、我々の得意なものがさらに出てくると思います。
アレクサンダー ショルツ選手

Q、清水エスパルス戦を振り返ってください。
A、勝利に値する内容だったと思います。多くのチャンスを作れたわけではありませんが、勝ち切るための場面はありました。ペナルティエリア付近でのいくつかのプレーや、オフサイドの判定でしたがゴールネットを揺らしたシーン、ポストに当たったシュートもありました。一方で、相手に与えた決定機は1回だけでしたし、その場面ではゴールを許しませんでした。
また、安斎颯馬選手が戻ってきたことをとても嬉しく思っています。彼は本当によく戦い、たくさん走ってくれています。連戦で何人か選手が入れ替わったなかでも、出場した選手たちはとても良いプレーをしていました。そこはポジティブな部分です。あとは結果だけが必要でした。
Q、勝点3をとるために、今のチームに必要なことは何だと考えていますか。
A、もう1点とることができれば勝点3になりますし、逆に失点しなければ勝点3をとることができます。なので後方でのミスを減らしていくことが大切です。チーム全体として守備はとても良くできていますし、相手に与えているチャンスも非常に少ないです。この部分は続けていかなければいけません。内容だけを見れば勝っていてもおかしくない試合ができています。ただ、実際には勝てていない。そこは分けて考える必要があります。今できている良いことは継続しながら、最終的に勝つところまで持っていかなければいけません。
Q、守備だけでなく、攻撃では前線や中盤へ積極的に縦パスを入れる場面もありました。味方とのイメージ共有についてはどう感じていますか。
A、良い連係ができていると感じる場面は多いです。もちろん、これからも改善し続けなければいけない部分ですし、もっとできることはあります。ただ、最終的に自分はセンターバックの選手なので、まずは守備をしっかりと行い、そのうえで攻撃面でもチームを助けたいと思っています。今のところは悪くない感覚です。
Q、ここまでの連戦を振り返って、チームの状態はいかがですか。
A、もっと勝点をとることができたと思っています。ただ、チームがやってきたこと自体は悪くありません。本当にチーム全員がハードワークしていますし、良いプレーもできています。だからこそ、ここまでの連戦の結果を必要以上に厳しく捉えるつもりはありません。
ただ、メンタルの部分でもう少し鋭さが必要です。今の私たちは『良いチーム』から『本当に強いチーム』へ成長している途中だと思います。対戦相手も、今の東京を強いチームだと感じていると思います。ただ、私たちはまだトップではありません。なぜなら、トップクラスのチームは、どのような状況でも最終的に勝点3をとるからです。そこが、さらに上のレベルへと進み、そこに居続けるために越えなければならない最後の段階です。試合を決めきり、勝点をとらなければいけません。
Q、次節は開幕戦以来となるホーム味の素スタジアムでの試合です。ファン・サポーターのみなさんへメッセージをお願いします。
A、まずは、開幕戦のFC町田ゼルビア戦とは違う結果で終えたいです。自分たちのホームである味の素スタジアムに戻れることを嬉しく思っています。日曜日の遅い時間の試合ですが、ぜひ多くのみなさんに来ていただけたら嬉しいです。
そして、ケイゴ(東慶悟選手)のためにもスタジアムに来てほしいと思っています。クラブのみんなが本当に大切に思ってきたレジェンドに、しっかりとお別れを伝える機会にしてほしいです。自分たちも良い試合をして、彼を送り出すために全力を尽くします。古巣である大分トリニータへ戻る彼を、素晴らしい形で送り出したいです。
仲川輝人選手

Q、清水エスパルス戦を振り返ってください。
A、前回の試合も勝たなければいけない試合だったので、あの失点はもったいなかったです。バックパスからの失点というのは2試合目なので、それで引き分けになってしまうのは本当にもったいなかったです。明日の試合は5連戦の最後の試合なので勝利で終えたいです。
Q、仲川輝人選手は途中出場でいろいろな役割を担っていると思います。どのような思いでプレーしていますか。
A、試合の流れもそうですし、出場する時間も考えながらプレーしています。あとは力さん(松橋力蔵監督)の指示もあるので色々考えながらプレーしています。僕を途中出場させる時は、最後に仕留めてほしいというメッセージがあると思っています。なので、アシストだったり、得点というところを数字として残していかなければいけないです。
Q、もっとゴール前で得点に直結するプレーをしたい気持ちもあると思います。
A、それはもう貪欲にいくしかないです。どのタイミングでゴール前に入っていくのか、試合の流れもありますが、相手に流れが傾いてるタイミングで、カウンターなどで仕留めて相手の流れを打ち切ることも大事です。ですが、自分たちがボールを握り保持する時間を長くするという意味でもキープするために走るなど、色々なことを考えながらやってます。正直難しいことがたくさんあります。
Q、 ベンチにはゲームチェンジャーと呼べる選手がかなり多くなってきたことも東京の一つの強みだと思います。
A、常に競争はありますし、みんながみんなスタメンで出たいという思いがあるので、そのなかでベンチに居る選手がしっかりと力を発揮しないと優勝には届かないと思っています。みんなで切磋琢磨し、そのなかで自分たちの良いところだったり、自分の良いところを、各々が出していければいいです。
Q、 清水戦では勝ち切れなかったところで、松橋監督から「一人ひとりがギアを上げていかなければいけなかった」というコメントがありました。仲川選手自身はどのようにギアを一段階上げたいと考えていますか。
A、時間帯や自分たちのスコアによって、様々なことを考えなければいけません。ですが、相手が得点をとりにきた時には、カウンターで仕留めるようにしたいです。逆に自分たちがリードしている時はうまく相手を引き出したり、ボールを持ちながら、ポゼッションをしながら相手コートで自分たちの時間を作っていき、相手を崩していくというところに関わりたいです。
Q、仲川選手自身も得点が欲しいと思います。
A、いずれかはその時がくるので、それまではアシストなど、自分にできることでチームの助けになりたいです。
Q、決定機が多くあるのに、得点を奪い切れていないシーンが続いています。
A、僕はシンプルに考えています。入るまで打つべきだと思っています。期待値が高いからとかどうこうではなく、今まで以上に期待値を上げられるようにチャンスを作り複数得点とれるまでやり続ければ良い話なので、決めるまで打ち続けていけばいいと思います。チャンスの数自体は増えてるので、そのことは絶対にポジティブに受けとめなければいけません。あとはその数をもっと増やしていくことも大事ですし、そのなかで冷静さも大事です。決まるまで打ち続ければいいのですが、それは難しい。相手のプレッシャーもありますし、ゴールキーパーもいます。相手も点をとらせないようにプレーしてくるので簡単ではないです。期待値をもっと上げていくこと、打っていくことで、点が入ると思います。


