
『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~Season2』第6話©テレビ朝日
『大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜Season2』(テレビ朝日系)で主人公・名波凛太郎を演じる相葉雅紀。一歩間違えれば“嫌味”にも映りかねないキャラクターを、なぜ彼はこれほど愛される存在にできるのか。その理由を、相葉雅紀が持つ俳優としての“品”と圧倒的な好感度から紐解いていく。(文・加賀谷健)
嫌味を感じさせない“品”と説得力

『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~Season2』第1話©テレビ朝日
相葉雅紀が「浅見光彦」シリーズの歴代俳優にその名を連ねていないことが不思議ではないか?
同シリーズは、内田康夫の人気推理小説を各局がドラマ化した一連の映像作品であり、特に1994年から2019年まで放送されたTBS版ドラマシリーズになじみがある人も多いだろう。
今のところ最新作は2022年放送の『源氏物語殺人事件』(テレビ東京系)で、岩田剛典が浅見光彦役を演じた。
歴代俳優を何人かあげると、TBS版初代の辰巳琢郎、2代目の沢村一樹、フジテレビ版の榎木孝明と中村俊介など。いずれも好感度抜群で、品がある。歴代俳優に共通する特徴は、何とも嫌味に映りかねない浅見光彦のキャラクター設定をうまくクリアするための配役基準だ。
浅見光彦は、高等遊民的なルポライターで、取材先で必ず殺人事件に巻き込まれる。地元警察から怪しまれた光彦の身元を保証するのが警察庁刑事局長の兄であり、鶴の一声が警察の態度を一変させるというお決まりの展開がある。それは、全国を旅する水戸黄門が印籠を示して身分を明かし、一同がひれ伏すあの流れとよく似ている。
身分を明かす手段が間接的であるにしろ、見る人によって嫌味なキャラクターに映るかもしれない。しかしそれを嫌味なく演じられる俳優が少なからずいて、現在放送中のドラマ『大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜Season2』の主演俳優・相葉雅紀は、まさにそれを可能とする説得力を備えた俳優だ。
圧倒的好感度が生み出す愛されキャラ

『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~Season2』第7話©テレビ朝日
前作『大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜』(2025)第1話の犯人役として、歴代浅見光彦俳優である中村俊介がゲスト出演していたが、相葉演じる主人公・名波凛太郎は、浅見光彦よりもさらに嫌味な設定だ。
警視庁のキャリア組として中途で入庁。出世が約束され、伯父である久世俊介(佐藤浩市)は元警察庁長官で、現職の内閣官房長官でもある。
凛太郎は、警視庁に新設された分析・追跡捜査の専門部隊「SSBC」に配属されるのだが、SSBCメンバーたちも、SSBCをしもべ扱いする花形の捜査一課の面々も、彼が官房長官の甥っ子であることを最初は知らない。
横柄な態度を取ってしまった捜査一課主任・青柳遥(松下奈緒)は冷や汗をかき、捜査一課長・八重樫雅夫(遠藤憲一)は官房長官の甥という印籠を前に手のひら返し。
凛太郎もこの印籠をうまく利用し、捜査一課がSSBCの捜査を邪魔しようとすると、「3年後には昇進して、おそらく警察庁で局長、あなたの上司になります」と呪文のように唱え、八重樫を完全に手なずけてしまう。
前作の最終回では、手なずけられた八重樫がその言葉を反復するコミカルな場面があり、凛太郎が「あなたの上司になります」と言うフレーズを「私の上司になります」と言い換えていた。
緊迫した場面にも差し込まれる、お決まりのやり取りは見ていて面白いが、凛太郎がやはり浅見光彦や水戸黄門よりさらに嫌味なキャラクターであることに変わりはない。
しかしそれを相葉が何とも品よくナチュラルなトーンで人懐こく演じているため、むしろ清々しい気持ちで楽しめる。
演じる俳優を選ぶような、こうした役柄は、「日本の良心」とでも呼ぶべき圧倒的好感度が相葉雅紀にあるからこそ成立するのだろう。
どんな役にもにじみ出る相葉雅紀の人柄

『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~Season2』第5話©テレビ朝日
前作の放送からちょうど1年を経たSeason2では、ドラマ内のキャラクターもリアルタイムで成長している。凛太郎はアメリカ留学から帰国後、SSBCに再配属され、八重樫はまたもペコペコご機嫌取りに徹する。凛太郎が八重樫に言い聞かせていた年数も「2年」となり、八重樫にとっても、凛太郎が本当に上司になる未来が現実味を帯びてきた。そして2人のコミカルな掛け合いもよりリズミカルになっている。
第2話、凛太郎とバディを組む伊垣修二(大森南朋)が捜査状況を報告する場面では、伊垣が八重樫にどやされる度に凛太郎が間に入り、八重樫は完全に骨抜きにされる。一課長としての威厳はどこへやら、青柳も呆れるほどなのだが、凛太郎と八重樫の愛すべきやり取りは前作以上に心地よく見ていられる。嫌味に映りかねない凛太郎役が、不動の愛されキャラに成長した証拠だろう。
相葉が演じる役は常に、相葉本人からにじむ温かな人柄とマッチする。彼が演じる全ての役がある意味、当て書きになっているといってもいい。
たとえば、2022年公開の主演映画『“それ”がいる森』冒頭場面では、ミカン農家を営む主人公・田中淳一(相葉雅紀)が、ビニールハウスの中でミカンを収穫するのだが、ミカンを慈しむ無言の表情が実に温かく、それは相葉の冠番組『相葉マナブ』(テレビ朝日系)で見せるオーガニックな姿と自然とオーバーラップするものだ。
そして、ミカンにかぶりついた淳一が「よくここまで成長してくれたなぁ、お父さん嬉しいぞ」と発する台詞にも、相葉自身のキャラクター性が見事に反映されていた。誰からも愛される「国民の良心」的な存在であり、嫌味なキャラクターも愛されキャラに仕上げてしまう相葉雅紀は、ぬくもり溢れる印籠を掲げて見る者を魅了するのだ。
【著者プロフィール:加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆してきた。女子SPA!「私的イケメン俳優を求めて」連載中。
所属プロダクションの主な業務としてはアーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。
他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。
日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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相葉雅紀の“愛され力”はどこから来る? 『大追跡 Season2』で改めて感じる圧倒的な好感度、人柄がにじむ演技の凄み
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【了】
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