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    スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジーVII リベレーション』は、1997年に発売された『ファイナルファンタジーVII』のリメイクプロジェクトの完結編にあたる。

    2020年の『ファイナルファンタジーVII リメイク』、2024年『ファイナルファンタジーVII リバース』に続く三部作の3作目で、2027年4月8日(木)に全プラットフォーム向けに同時発売予定だ。

    今回は、メディア向けの試遊会にあわせて、シリーズのディレクターを務める浜口直樹氏に話を聞く機会を得た。なお、試遊レポートは別記事を参照されたい。

    二重の意味を持つ「決意」というテーマ

    ――すでに各メディアで答えられていることですが、浜口さんから本作は「決意」がテーマだと発信されています。繰り返しになりますが、あらためて、そこにはどういう想いが込められているのでしょうか?

    とにかくこのシリーズは絶対に完結させる、絶対に作り切るという決意です。私自身と、チーム自身への想いの意味がまずあります。

    もうひとつはゲーム体験という意味での決意です。1作目と2作目は、どちらかというとクラウドが主人公で、クラウドの視点から描くゲーム体験でした。本作でも、もちろんクラウドが主人公なんですけど、クラウド以外のキャラクターに感情移入できるゲーム性を目指しています。最後の戦いに挑んでいく中で、キャラクターのひとりひとりがどういう想いを抱き、どういう決意を持って決戦に挑んでいくのか。そこの体験を差別化したかったんです。

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    たとえば本作のサブクエストでは「どのキャラクターで攻略しますか」という選択肢があります。そういうものを積み重ねていった先で、キャラクターの想いの深さや見えてくる方向性を、ちゃんとユーザーさんごとの体験の質として感じてほしい。それぞれのキャラクターに対するユーザーさんの想いの深さが、そのキャラクターの想いとシンクロしていく。そういう思想でゲームデザインを設計しています。

    ――それは「リバース」の好感度システムではできなかったということですか?

    好感度システムは、どちらかというとクラウドひとりの視点です。「クラウドにとって、ユーザーさんにとって、誰が好みですか」みたいなことを表現していました。でも今回はクラウドだけではなくて、それぞれのキャラクターに等しくスポットを当てたい。そこは明らかに「リバース」と本作「リベレーション」でアプローチが変わっています。

    ――確かに試遊をしたとき、それぞれのキャラクター視点でクエストが描かれていました。その「キャラクターの選択肢」というのは、ストーリーにかなり反映されるということでしょうか。

    本当にドラスティックに変わります。そこから先のストーリーとか、攻略するエリアやステージすら分かれるぐらい。クエストの結果による影響度合いが全然異なるものもあれば、同じストーリーラインなんだけど、どのキャラクターの視点で描いたかによって、ユーザーさんが受け取れる印象を変えるものもありえます。そういう意味では「片方をやったから終わり」というよりは、「もう片方もやってみたいな」とユーザーさんに思わせる作りになっているはずです。

    今回の「リメイク」シリーズのように、ストーリーやキャラクター性が強いゲームは、実況配信の時代と相性が悪いと思っています。ある意味、映画的な体験に近い。なんだったら、自分の好きな実況者の感想を見ながらゲームを見ているほうが、情報量が多くて楽しかったりする。

    じゃあどのように設計すれば手に取ってもらえるかというと、自分なりの試行錯誤が反映されている仕組みがあればいいと思いました。「配信者さんはこっちを選んだけど、自分でプレイして違う選択肢を選んだらどうなるのかな」と思ってもらえれば、それをきっかけにしてプレイしてくれる人が増える。そこがダイレクトにわかりやすいのが、「どのキャラクターでどう攻略するかで大きく変わる」というものなんです。

    実況の配信者さんも、ふたつの選択肢があったからといって「1回セーブします」、「もう1回ロードしてやり直します」とはならないじゃないですか。「自分だったらどうプレイするのかな」というのをこのゲームでも感じてもらいたい。そこは今回のゲームデザインのメッセージ性としても入れています。

    「原作とはまったく違うゲームの始まり方をする」

    ――オリジナル版と比較した場合、今回はかなり物語の核心部分から始まることが予想されるわけですが、そうなるとアイシクルロッジで見るガスト博士のビデオが、本作ではどうなっているのかが気になります。というのも、ガスト博士は物語のドラマが始まるキーキャラクターともいえるわけですから。

    いいところを突きますね(笑)。今回、その部分はすごくおもしろい描き方をしています。もちろんアイシクルエリアでのガスト博士の映像は、エアリスにとって非常に重要なものなのでしっかり描いています。

    メディアの方から「ハイウインドはどれくらいで入手できるんですか」と聞かれたときに、いつも「序盤の4、5時間ぐらいをプレイすると取れます」と答えています。今回の試遊範囲が、ちょうどハイウインドを入手したタイミングの第4章ですね。原作だと、忘らるる都のあとにアイシクルエリアを渡って、大空洞に行って、ジュノンに行って、ミディールが……となる。それが「4、5時間で足りますか?」と言われるんですよ。たぶん、皆さんが今想像しているものとまったく違うゲームの始まり方をしますよ。そこは本当に本作の始まりとして非常に驚きのある感じになっているので、楽しみにしてもらいたいです。

    ――それは期待が高まります。ザックスの存在が象徴的ですが、オリジナル版と「リメイク」シリーズの差異は、どのように考えられたのでしょうか。

    FF7は人気のあるIPじゃないですか。なので、変えるにしても原作のストーリーラインへのリスペクトは絶対に残したほうがいいと思っています。何にもないところにストーリーだけ変化すると、それは改変になるじゃないですか。でも、フィーラーという存在がいることで、原作のストーリーは残る。フィーラーはまさしくそうした存在なんです。

    要は、原作のストーリーから変えようとするからフィーラーが影響力を増す。ちゃんとこの「リメイク」シリーズの中に原作のストーリーという設定が残っているというのが、フィーラーのひとつの意味です。だから原作のストーリーラインへのリスペクト感がつねにあり続ける、ということになりますね。

    ――そうしたフィーラーの設定は「リバース」で示唆されていましたが、もう出し切っているのか、それともまだまだフィーラーは「リベレーション」でも絡んでくるんでしょうか?

    そこは深くは語れないですけど、フィーラーはこのシリーズを通して意味のあるものとして描いています。当然この「リベレーション」でも関係してくる要素になっています。

    ――「リメイク」シリーズのスタート段階で、シナリオの野島一成さん、プロデューサーの北瀬佳範さん、クリエイティブディレクターの野村哲也さん、そしてディレクターの浜口さんといったコアメンバーで、どのような方向性を話し合われたのでしょうか?

    三部作で何を表現したくて、どういう方向性にしたいかは、最初の段階で決まっていました。よく「作りながら、ユーザーの反応を見ながら結末を変えているんですか」と聞かれますけど、シナリオに関しては基本的には当初描いた方向性です。

    ただ、そこも意見が分かれていて。たとえば北瀬からすると、新しいクリエイターに委ねるのであれば、そのクリエイターのセンスでドラスティックに変えちゃえばいいじゃん、と結構ノリが軽いんですけど。私と野村は比較的近くて、いかに原作をリスペクトしつつ、変えるにしても、変えたことの納得性やユーザーへの説明がちゃんと整合しているかどうかがない限りは、どこまで踏み込むかをすごく慎重に考えるべきだと考えています。野村と私の考えが近かったので、今の「リメイク」、「リバース」みたいな表現になっています。それが最終的に「リベレーション」でどうなるかは、期待してもらいたいところです。

    ――仲間キャラクターをひとりひとり描きたいという、お話が最初に出ました。敵役のキャラクター、たとえばルーファウスやタークスのメンバーは、オリジナル版だとそれぞれのドラマとして結末が、少し曖昧に描かれていた気がしているんです。そこは今回、いかがでしょうか?

    たとえば本作のエンディングが「アドベントチルドレン」に繋がるかどうかみたいな話題がユーザーさんの間でよく出ます。私は、繋がるかどうかをどんな取材でも明言していません。あくまで「アドベントチルドレン」も、「ビフォア クライシス」も「ダージュ オブ ケルベロス」も含めて、その「設定」は否定していない、それらの設定を内包して「リメイク」シリーズは描いています、ということなんです。

    それらで生まれているタークスとかも含めたいろんな設定は、できる限り最終作の中で拾っていきたいですし、広げていきたい。たとえばタークスが主体となるようなクエストがあって、もしかすると依頼主がタークスみたいなもので広がっていくとか。コンピレーションを知らなくてもその中でわかる情報で楽しめるものもあれば、原作を知っているからこそ「こんな奴らも出てくるんだ」と楽しんでもらえるものもあるかなと。

    ――当時、ルーファウスのあの結末から、「アドベントチルドレン」で再登場することに、びっくりしました。ファンとしては、今回そこがいい感じに見られたらいいなという期待があるんです。

    (笑)。まだ語れない部分もあるんですけど、「あのときのスピンオフのこの設定を、こういう形で入れ込んできたんだ」みたいなものは結構いろいろ入れているので、楽しんでもらえるかなと思います。

    ――ユフィが主人公だった「リメイク」のDLCでは、「ダージュ オブ ケルベロス」のキャラクターが出てきました。ところが「リバース」ではDGソルジャーが出てこなかったですね。「リベレーション」ではどうなるのでしょうか?

    確かに「リバース」ではディープグラウンド系は登場していません。そうですね……ここは、そういうのも含めて、情報を広げた状態で皆さんに楽しんでもらえるような最終作にしたい想いで作っています、とだけ伝えておこうと思います。

    空を飛び、海に潜り、ウェポンと戦う

    ――試遊では野生動物の写真が撮れました。星全体の生態系のような設定は作られているんですか。たとえばライフストリームの設定まわりは、さまざまな解釈に影響するので気になっています。

    「リバース」のときからワールドマップの植物の生態とかは詳細に資料化していて、そこは今回も踏襲しています。チャドリーのレポートは、世界観を深掘りするよりはワールドマップのコンテンツをチェックシート的に埋めていく楽しさが前面に出ていて、ストーリー性はそこまで入っていなかったので、今作ではその部分を変えています。

    今回の新要素であるMAIのレポートは、そこにストーリー性をちゃんと入れて、専用のNPCやストーリーラインが展開されていくところまで掘り下げています。野生動物の写真を撮るだけじゃなくて、そのタイミングでMAIが補足してくれて話してくれたりとか。前作以上に楽しめるコンテンツになっています。

    ライフストリームに関してですが、たとえば「ライフストーン」という、ライフストリームの濃度が上がって結晶化されたものを解析していくと、世界の成り立ちが徐々に解明されていくようなレポートもあります。そこはコアなファンの方は喜んでくれるかもしれません。

    ――「リバース」の物量には驚きましたが、今回、「リベレーション」を試遊すると、同じくらい物量が凄そうという片鱗は感じました。

    今回は「リバース」を、さらに凌駕するものになっています。

    ――三部作でどうスケールアップさせていくかは、どのように設計されていたのでしょうか。

    映画だったらストーリーだけで三部作を引っ張れますが、ゲームは体験が変わっていかないと、飽きられてしまいます。ユーザーさんから「どうせ焼き直しですよね」と言われてしまいかねないので、そこは私の中の課題でした。

    「リメイク」はどちらかと言うと一本道のストーリードリブンです。一方で「リバース」は、オープンワールドで、ゲームの空間そのものを広げたRPGに変わりました。そこで「リベレーション」は広げたオープンワールドから、さらに高さを付け足して、より立体的にワールドを感じられるようにしました。

    ――ハイウインドで移動し、そこからパラシュートで降下するのが象徴的ですね。僕はトレーラーでパラシュートを見たときに『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を思い出したんですが、実際に試遊してみると、ゲームの文法としてはちょっと違うかなと思いました。

    私としては、そこのイメージはしていなかったです。むしろ『フォートナイト』とかですね。今の若い人たちがゲームをプレイするときに、慣れている方も多いと思いますので、そちらのほうがインスピレーションとしてあります。

    よく視点の話で、蟻は一本道しか歩けないけど、人は立って感じられて、鳥は上から見える、という喩えがあるじゃないですか。軸を増やしていけば感じられるスケール感は広がる。一本道、二次元的な広さ、そして三次元的な広さ。そういうゲームデザインのイメージです。

    ――オリジナル版を思い返すと、いろいろな散らばったサブの謎解きが「海チョコボ」を作り、「ナイツオブラウンド」を入手することに収束していたイメージがあるんです。ところが「リバース」で海チョコボを出してしまった以上、今回はどうするんだろうと気になりました。

    ワールドマップは、大陸だけでいうと10から11エリアぐらいあるんですよ。エリアも多いし、各エリアに独自性のあるコンテンツもいっぱい用意してあるので、そこにたどり着くまでにあまりユーザーにストレスをかけないほうがいいだろうなと思っています。

    パラシュートもそうですし、チョコボも前作よりスペックが上がっていて、どこでも飛べるし空中ダッシュでも行ける。行ける選択肢はいろいろ提示して、どれを使ってもいいから、行った先のコンテンツでいかに楽しむかという方向性になっています。移動に対してユーザーが感じる負荷やストレスを、意識的に今回はなくしていったというところがありますね。

    ――確かに試遊でも、ファストトラベルはかなり快適でした。つまり謎解きがひとつに収束するというより、自由に楽しめる方向になっている?

    そうですね。いろんなコンテンツがあって、それを好きな順番で楽しんでもらいたいです。ラスボスにまだ行く前だけど、すごいデカいウェポンが地上を徘徊し始めて、挑んでみたけど瞬間的にボコボコにされて無理なので違うところに行く、みたいな。そんな感じの自由度を重視しています。

    ――潜水艦はどうなっているんでしょうか? ワールドマップのコンテンツと比較して、海底マップがどうなっているのかが気になりました。

    潜水艦はもちろんあります。ただ、本作に関しては、海底でのワールドマップの潜水艦探索という要素は外しました。ワールドマップだけでも、ものすごいボリュームがあって、そこに海底の探索まで入れたら、開発側も「もう無理だ」となるし、ユーザーさんもたぶん「さすがに多すぎる」となると思いました。

    むしろやらないという決断を早めにすることで、ワールドマップ側の密度を上げることができます。潜水艦を経由したエメラルドウェポンとの交戦みたいなところは新要素としてメインストーリーにしっかり組み込まれているので、そこで満足してもらえるのかなと思います。

    ――インターナショナル版に登場したエメラルドウェポンとルビーウェポンは、実質的にエンドコンテンツに近い存在でした。今回はウェポンは、ラスボスより強い存在として位置づけているのか、それともメインに絡んでくる存在なのでしょうか?

    そこは分けています。メイン進行にしっかり組み込まれて対峙するウェポンもいれば、ラスボスよりも強いエンドコンテンツとして登場するものもいます。原作だと、エンドコンテンツというとシンボルエンカウントして終わり、となるじゃないですか。でも現代だとそれは世界観と馴染まないので、ちゃんとストーリーラインに組み込まれています。原作のアルテマウェポンのように段階に応じて、一度戦って逃げる展開があったり、序盤で戦えても最終形態だと敵わなかったり。あの手この手で作りこんでいます。

    ――今回は新登場のウェポン含めて、かなり戦えるようになっているんでしょうか?

    ここは本作のこだわっているポイントです。RPGは、自分でキャラクターを育ててカスタマイズしたものをボス戦で試せるのが楽しいですよね。だから特殊ギミックを入れてもいいし、フェーズのつなぎでミニゲームをやるのも全然ありだけど、ガチンコで戦うところは本来のバトルシステム上で成立するものにしよう、というのはチームで最初に決めていました。

    いろんなガジェットで「このバトルはすごい、新鮮だな」と思わせても、ベースはバトルシステムでちゃんと作る、というのはブレずにやりました。実際、RPGとして作りやすいんですよ。そのうえで、ウェポンはすごくデカいじゃないですか。どれもリッチに、豪華に作られていますので注目していただきたいです。

    「温泉」が登場、ヴィンセントが水着になるかも議論

    ――本作はシドとヴィンセントがプレイアブルになります。この2人は「リバース」では水着姿にはなっていません。この2人の水着や関連イベントはあるんでしょうか?

    そこは、まだ明確にはお答えしないほうがいいかなと思います。現段階で言えることとしては、ヴィンセントに関しては、果たして水着を着るのがいいのだろうか、みたいなことはチームの中でもずっと議論がされていました。今回、温泉のコンテンツがあるんですよ。各地にいろんな温泉が出てきまして。

    ――温泉ですか! 各地にあるんですね。

    温泉に浸かりながら、キャラクターたちがそれぞれ独自の会話をするんですよ。そこにヴィンセントがどう絡んでくるかは楽しみにしてもらいたいです。果たしてそれが水着を着るのか着ないのかも込みで、どういう結論を出したのかを楽しみにしてもらいたいです。

    ――「リバース」でギルガメッシュを出したことや、「リベレーション」でジョブシステムを思わせるウェアシステムなど、「リメイク」シリーズがFF5やFF6などの、スーパーファミコン時代のFFに接近している印象があります。

    それはおもしろい指摘ですね。意識したわけじゃないんですけど、私が「ファイナルファンタジー」の中でいちばん影響されて、子供の頃にクリエイターを目指すきっかけになったのはFF6なんですよ。「7」はもちろん好きなんですけど、いちばん好きなFFはどれかと言われると「6」です。今言われると、地味に引っ張られている可能性はあるのかもしれないですね。

    「リバース」のときも、わかりやすいFFの代名詞は何だろうというときにオルトロス、テュポーン、ギルガメッシュが挙がっていて。最終的にシナリオ班と「ギルガメッシュでどうかな」と話したんですけど、確かに言われてみると、自分の中のオリジンというか、引っ張られているものはあるのかもしれないです。

    ウェアシステムでは、ジョブシステムを担っている「衣装」と、それとは別に着せ替えとしての「スキン衣装」があります。スキン衣装にはコミカルなデザインもあって、長くプレイしていると、そういうのに切り替えるおもしろさがあります。自分でも気がついたらコミカルな衣装ばかり使ってしまいますね。ちなみに前作のリゾートウェアも登場します。

    10年を預ける覚悟

    ――最後にこの超大作シリーズを手がける、浜口さんの心境を聞いてみたいです。

    「リメイク」シリーズを最初に立ち上げるとき、私は参加してなかったんですよね。もともとは、野村、北瀬、もう今は退職されているんですけど橋本(真司氏)あたりが、外部の開発スタジオで作るということで立ち上げたんです。ただ、開発の見通しも厳しくて、社内体制で見直すことになったときに、当時の松田(洋祐)社長から「浜口のほうでこれをやってほしい」と言われ、「えっ」と戸惑いながら引き受けました。

    ただそのとき、構成的には三部作で作るというのは決まっていたんですよ。そうすると、うまく行っても1本数年ぐらいかかるじゃないですか。約10年、自分の人生を預けないといけない。当時まだ35歳ぐらいで、ここから10年まるっとFF7を作り切ることは、なかなか覚悟が持てないじゃないですか。だからそのときは「リメイクはまずやる。でも、それ以降は一旦約束できない」と北瀬に言ったんです。

    ――そこから、最終作まで走り切ることになった。

    「リメイク」を作って、お客さんがすごく気に入ってくれて、次を求められたときに、クリエイターとして求められる環境で作ることって重要だなと思いました。そのときもいろいろ悩んだんですけど、「リバース」をやると決めたときは、「最終作も含めてやり切ります」と伝えました。「その分、私に全部委ねてくれ、ちゃんとやるから」というのを北瀬と話しました。そのときには覚悟を持ちました。今はもう46歳ですけど、ここまで来たらもうやり切るしかないですね。

    一作を作って終わったらバッとチームが解散する、海外も含めてそういう大作があるじゃないですか。終わった瞬間にバーッといなくなって、そもそも続編が作れません、みたいな。でも「リメイク」からほとんど主要スタッフが抜けずに「リベレーション」まで一緒にやってきてくれているんですけど、そこは本当にありがたかったです。

    クリエイターがモチベーションを持つのは、世の中でちゃんと求められている、しかもタイトルを出せば話題になる、みたいなことだと思います。それが「7」というIPと、ファンの熱量にすごく助けられて、チームもモチベーション高くやり続けてくれました。それは作品のクオリティにも影響しているし、ディレクターという立場からすると本当にありがたいことです。

    ――シナリオの方向性こそ決まっていたという話がありましたが、三部作の全体設計は、「リメイク」を作っている段階から見通せていたものですか。

    これはもう完全に手探りでした。さきほども言ったように「リメイク」を作るときは、開発の見通しが厳しい状態で引き取っているわけじゃないですか。三部作を作るうえでこの余白は残しておこう、なんて考える余裕はないわけです。とにかく1作、これを完成させなければ、という感じだったので。正直、「リメイク」を作っていたときは「リバース」、「リベレーション」のゲーム設計に回す余裕はまったくなかったです。

    ただ、「リメイク」が終わってすぐ「リバース」に入っていかないと、人が稼働できないわけですよね。人を途中で減らすと、その練度まで引き上げるのに時間がかかっちゃうので。だから「リメイク」の開発が終わる1年ぐらい前には、野島さんのプロットからある程度の初稿の台本まで落とすのと、それに合わせて私の中のゲームデザインを詰めていました。それと同じで、「リバース」が終わる1年ぐらい前に、そろそろ「リベレーション」を決めていかないとやばい、という感じで回していました。

    ――それが完走に近づいていて、いろんな意味ですごいことですね。

    一歩間違えたら「浜口直樹がFF7を壊した」みたいなことをずっと言われ続けることになるわけですからね(笑)。

    でも最近は「次は新しい『ファイナルファンタジー』を手がけますか、それとも7の関連作品ですか、それとも新規のIPですか」みたいなことをすごく聞かれるんですよ。次の私の作品を期待してくれている状況になっているというのは、ひとつ役割は果たせたんだな、とちょっと安堵しています。

    「リメイク」シリーズがメディアから見てもファンから見ても認知されて、いいものを作っていると伝わっているから、次の作品が期待されていると思っています。このシリーズをちゃんとしたものとして市場に届けられているんだな、という誇りを感じています。

    ――そもそも浜口さんがFF7をプレイされたのは何歳ぐらいだったんでしょうか。

    たぶん、中学3年生か、高校1年か、そのぐらいだったと思いますよ。最初は『トバル ナンバーワン』の体験版でやりましたね。体験版で何周かしましたから。

    ――さきほどのFF6や、オリジナル版FF7以外で、ゲームデザイナーとしての哲学に影響を与えたゲームはありますか。

    やはり私のなかでは『ウィッチャー3 ワイルドハント』はずっと心に残っています。我々が作ってきた「ファイナルファンタジー」とはちょっと違っていて、世界観がしっかり作られている中に、自分で介入できる、ストーリーの中でどこまで自分で解明していくかというすごく高い自由度があります。あれは本当にテキストの物量で戦っているゲームで、当時だからこそ作れたものかもしれません。もちろん新作はかなり楽しみにしています。各クエストに対してどのように攻略していくかとか、学ぶものは多くて、未だに、アイデアに困ったときに見直すゲームのひとつではあります。

    ――「リバース」を発売して、ユーザーの反応はいかがでしょうか?

    市場調査をかけると結構おもしろい数字が出てきています。「リバース」を実際にプレイしてくれた人は、ワールドマップの探索やコンテンツが多いのがおもしろい、という感想がすごく上位に来るんですよ。

    でも「リメイク」シリーズをプレイしていない人だと、FF7は、「キャラクターのゲーム、世界観とストーリーのゲーム」という認識が上位に来て、ゲーム性の深さがあまり伝わっていない感じなんですよ。

    それはFF7がIPとして偉大すぎて、クラウドとかセフィロスがアイコニックすぎるからだと思うんです。「リバース」はオープンワールドとしても他のグローバルのAAAと比べて遜色ない、むしろいろんな多面的な魅力があったゲームだと思うんですけど、そこが手に取ってくれていない人には伝わっていない。それが実際に数字で出ていた。

    なので今回は、キャラクターやストーリーが人気なのはもう3作目だから強調はしなくてもいい。ハイウインドで飛んでいるところ、パラシュートで降りているところ、ウェポン戦、ウェアシステムなど、いかにもゲームシステム推しみたいなものをPVに入れました。

    ――サファイアウェポンとシスターレイが対峙する、ゲームのひとつの見せ場がトレーラーで出てきたときは、驚きました。もうここで見せちゃうんだ、と。

    サファイアウェポンという巨大な敵と戦っていく、そのスケール感を前面に推し出したかった。立ち上げで出し惜しみせず、振り切った感じです。

    ――地域ごとのデータで何かおもしろいものはありましたか。

    日本、アジア、北米、欧州が本当にバランスよく購入していただきました。特に他のフランチャイズに比べても、中国語圏内のファンの人たちがしっかりいてくれている。PC市場でも、北米はもちろん大きいんですけど、北米に次いで中国語圏内が大きいんですよ。そこは本当に喜ばしいです。

    要因は、20年ぐらい前に「アドベントチルドレン」がものすごく人気だったことなんですよね。当時まだゲーム機がちゃんと市場に出ていない時代だったので、映像のほうが出回りやすかった。そこでゲームよりも「アドベントチルドレン」を通じて、クラウドやティファを知っている、というファンの人たちがすごく多いんです。

    年齢層でいうと、北米、欧州、日本はやっぱり30代、40代がメインです。「リメイク」シリーズにしたことで若い人も入ってきてくれていますけど、比率が劇的に変わるというよりは、30代、40代を中心として、その話題性から新しい人が入ってきている感じですね。逆にアジア圏は本当に若い人たちが入ってきてくれている。コミュニティイベントをグローバルで回っても、北米、欧州、日本だと私と年代の近い方が「原作のときも好きでした」と来るんですけど、アジア圏だと大学生とかが「このゲームに憧れて、僕もクリエイターになりたいです」と言ってくれる人が結構多い。地域によって違うなというのは思います。

    ――「リメイク」シリーズはこれで完結ですが、FF7シリーズ自体は完結ではない、という理解でよろしいでしょうか。

    どうなんでしょうかね。今、私がチームにも言っているのは、この先の「7」のフランチャイズやストーリーをどうするかは、一旦今は考えないでおこうということなんです。それを考え始めると、残そうとか、出し切らないようにしようみたいな感情になるじゃないですか。あとのことは、「7」が終わってこの「リベレーション」がすごくヒットすれば、ファンが自ずと次を求めてくれるから、そのときにクリエイターとして作りたいか、ビジネス的に作る価値があるかで考えればいい。今はとにかく「リベレーション」に集中して、出し切ってほしい、ということをつねに言っています。

    たとえば本編をとにかくいかに早く出すかが最優先だと思っていたので、多くのDLCを作るとどうしても戦力が分散しちゃうんですよね。DLCを求めているファンがいても、「リベレーション」が遅れるデメリットから考えたら、本編にリソースを投入したほうがいいと考えました。ただ、DLCに関しては非常に前向きに考えています。たとえば特定のキャラクターを対象とした描かれていなかったスピンオフみたいなストーリーなどです。

    この「リメイク」シリーズが終わったあとに、ファンが「7」の新しいものを求めるのか、新しいFFのナンバリングを求めるのか、むしろ新しいIPを作ってほしいとなるのか。そこは本当に、求められるものを冷静に見極めたほうがいいんだろうなと考えています。ただ、それはあとの話です。今は「リベレーション」をとにかく完結させる決意です。

    ――発売を楽しみにしています。ありがとうございました。

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