32.1kmの個人タイムトライアルで争われたブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージ。2月の左大腿骨骨折から復帰したシュテファン・キュング(スイス、チューダープロサイクリング)が区間優勝を飾り、区間4位のログリッチは総合2位に順位を上げ、マスとのタイム差を1分37秒に縮めた。
9月10日(木)第18ステージ
エル・プエルト・サンタ・マリア〜ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ 32.1km(個人TT)
エル・プエルト・サンタ・マリアの闘牛場がスタート地点となったブエルタ第18ステージ photo:CorVos
第18ステージ エル・プエルト・サンタ・マリア〜ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ image:A.S.O.ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージは今大会2度目の個人タイムトライアル。大西洋に面する港町、エル・プエルト・サンタ・マリアからフィニッシュ地点のヘレス・デ・ラ・フロンテーラまでは32.1kmで、ほぼ平坦路のため、純粋なTT能力が問われるレイアウトだ。
この日注目されたのはステージ優勝争いはもちろん、翌日から2日連続の山頂フィニッシュを前にした総合上位勢の争い。特に大会8日目からマイヨロホを着るエンリク・マス(スペイン、モビスター)に対し、2分10秒遅れで総合3位につけるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がどれだけ迫れるか。そして総合2位(2分6秒遅れ)で決してTTを得意としないフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)が、タイムロスをどれだけ最小限に食い止められるかだった。
エル・プエルト・サンタ・マリアの闘牛場から、149名の選手たちが総合順位の下位から上位へと走り出す。まずはマティアス・ノルスゴー(デンマーク、リドル・トレック)が第1出走者としてスタートを切り、序盤に好タイムを出したのは、イギリスのTT王者であるイーサン・ヘイター(スーダル・クイックステップ)。大会初日の個人TTではタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)に対し0.09秒差で敗れ、ステージ優勝を狙ったヘイターだったが、すぐに同じイギリス出身のカラム・ソーンリー(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に32秒更新された。
区間2位:カラム・ソーンリー(イギリス、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
ホットシートでライバルの走りを見守る photo:A.S.O.
今年プロデビューを果たし、今大会がグランツール初出場となる23歳のソーンリーは、初日に区間4位に入ったTTスペシャリスト。190cmの長身を活かし、平均時速54.4kmをマークしてホットシートに座る。その後第1中間計測(11.7km地点)ではジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)がソーンリーを3秒上回る。しかし後半に伸びを欠き、最終的には6秒差まで迫ったものの、ベストタイム更新はならず。過去3度フランスTT王者に輝いているブリュノ・アルミライユ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)も23秒遅れと振るわず、いよいよ優勝候補筆頭であるシュテファン・キュング(スイス、チューダープロサイクリング)がスタートした。
今年グルパマFDJユナイテッドからチューダープロサイクリングに3年契約で移籍したキュングだが、2月下旬のオムロープ・ニュースブラットで落車し、左大腿骨近位部を骨折した。4ヶ月の戦線離脱を経て、ブエルタ前のツール・ド・ポローニュでは個人TTで勝利し、その好調をブエルタでも引き継いだ。そんなキュングは第1計測でアルメイダのベストタイムから1秒遅れで通過し、後半にペースアップ。第2中間計測(22.1km地点)ではソーンリーの最速タイムを11秒更新し、3秒速い35分22秒でフィニッシュに飛び込んだ。
区間優勝:シュテファン・キュング(スイス、チューダープロサイクリング) photo:A.S.O.
ソーンリーを3秒上回ったシュテファン・キュング(スイス、チューダープロサイクリング) photo:A.S.O.
区間5位:ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.
区間17位:オスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) photo:A.S.O.
区間4位:プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
その後、チーム通算8勝目を目指したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)は後半にペースを落とし、20秒遅れでフィニッシュ。そして、いよいよ総合上位勢が登場する。マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着る総合5位のオスカー・オンリー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)が1分11秒遅れ(区間17位)と健闘するなか、最後から3番目に、2021年東京五輪のTT金メダリストであるログリッチが走り出した。
ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ市街地のコーナーなどについて、ソーンリーから情報を得ていたログリッチは、ステージ優勝には19秒届かないまでも、ブエルタで過去4度TT勝利を挙げている経験をいかんなく発揮。最終的にステージ4位に入った。総合2位のガルが1分47秒遅れとタイムを失う一方、マスはキュングから52秒の区間12位と健闘した。
区間26位:フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) photo:A.S.O.
区間12位:エンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:A.S.O.
ブエルタで自身2度目のステージ優勝を果たしたシュテファン・キュング(スイス、チューダープロサイクリング) photo:A.S.O.
この結果、キュングがブエルタで2024年に続く自身2度目のステージ優勝を決めた。「ここで勝てて本当に嬉しい。今日表彰台に立っているのは僕ひとりだけど、これはチーム全体の勝利だ。舞台裏で懸命に働いてくれたスタッフのみんなに感謝したい。そしてもちろん、2月の怪我から僕をもう一度軌道に戻してくれたすべての人たちにも感謝している。この勝利は、本当に多くの人たちと分かち合いたい」と喜びを語ったキュング。チューダープロサイクリングにとっては、第14ステージで勝利したマルコ・ブレンナー(ドイツ)に続く今大会2勝目となった。
そして総合ではログリッチがガルを抜き、総合2位に上がる。マスとの差は2分10秒から1分37秒に縮まったものの、マスの好走もあり、マイヨロホを奪い取るには至らなかった。
マイヨロホを守ったエンリク・マス(スペイン、モビスター) photo:CorVos
翌日の第19ステージはラストに1級山岳ペニャス・ブランカス(距離18.7km/平均6.5%)を駆け上がり、実質マイヨロホ争いの最終日である第20ステージは、超級山岳コジャド・デル・アルグアシル(距離8.3km/平均9.8%)の頂上にフィニッシュする、2日連続の山岳決戦だ。
