軍事・地政学ナナメ読み
![]()
深川 孝行
ジャーナリスト
著者フォロー
フォロー中
2026.9.11(金)
米海軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」で演説するトランプ米大統領(2025年10月28日、神奈川県横須賀市/写真:共同通信社)
9月24日、中国の習近平国家主席が訪米し、トランプ大統領と会談する予定となっている。習氏は国賓として迎えられ、トランプ氏が手厚くもてなすことになりそうだ。
両国の間には貿易・関税、安全保障など難問が山積している。それでもまずはホワイトハウスでの一大外交ショーを成功させ、低迷する支持率を上向かせて、11月の中間選挙に勝利したい──。そんなトランプ氏の思惑も透けて見える。
一方、西太平洋の覇権をめぐる米中の軍事的緊張は強まるばかりだ。
中国を抑止できるのか、異例の「トランプ級」戦艦構想
2026年1月に米国防総省が公表した国家防衛戦略(NDS)では、米本土と西半球の防衛を最優先とする一方、中国をインド太平洋で抑止することを第2の重点課題に位置付けている。
トランプ氏はとりわけ海軍力の強化に力を入れているが、その狙いとは裏腹に、米海軍の強化に逆行しかねない「横やり」も目立つようになってきた。象徴的なのが、軍艦にまつわるトランプ氏の介入だ。「トランプ級」戦艦の新造と、現在建造中の原子力空母への大幅な設計変更である。
2025年12月22日、トランプ氏は会見を開き、新設計の大型戦闘艦「トランプ級」戦艦をまず2隻建造する構想を発表した。その後、2026年5月に公表された米海軍の30年造船計画では、原子力推進の戦艦(BBGN)として整備する方針が示されている。
トランプ氏は自らの名前を冠した艦級について、「われわれの艦艇の中には、古くなり、疲弊し、時代遅れになったものもある」と言及。「米国の軍事的優位を維持し、国内の造船業を復活させ、世界中の敵に恐怖を与えることに役立つ」と自賛した。
余談だが、少なくとも第2次世界大戦後、自らの名前を自分で軍艦の艦級名に冠した米大統領は極めて異例だ。原子力化決定前に示された仕様では、満載排水量3万5000トン前後、全長260m前後という巨艦になると想定されている。だが、現役の「戦艦」は世界中を見渡しても存在しない。
公海上の空母「ジェラルド・R・フォード」(2025年3月撮影、ⒸMc2 Tajh Payne/U.S Navy/Planet Pix via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)
ギャラリーページへ
極超音速兵器や多数の対地・対艦・対空ミサイル、レールガン、レーザー兵器などを搭載する構想で、文字通り「浮かぶ弾薬庫」ともいえる。
