(CNN) 世界最大級の恐竜、ティタノサウルス類の卵の化石が、南米アルゼンチンの最南端付近で見つかった。高緯度の環境でも卵を産み、温める方法を編み出していたことが、新たな研究で明らかになった。
ほかの恐竜と同じく、ティタノサウルス類の卵や卵殻の化石は、ほとんどがもっと赤道に近い低緯度の地域で見つかっている。こうした地域は気温が温暖で、卵をかえすのも難しくなかったとみられる。
ティタノサウルス類は草食で長い首を持つ竜脚類の恐竜。集団で行動し、恐らく長距離を移動して、特定の同じ場所に何千年も巣を作り続けたことが分かっている。
カナダにあるカルガリー大学の考古学者、ダーラ・ゼレニツキー准教授によると「南は南極大陸やアルゼンチン南部から北はモンゴルや米テキサス州まで、広い範囲で骨が見つかっている」という。ゼレニツキー氏らが率いた研究の成果は、9日付で英王立協会のオープンアクセス誌RSOSに発表された。
ゼレニスキー氏は「高緯度の地域でも過ごしていたことは明らかだが、そこで巣も作っていたのかどうかは今まで分からなかった」と説明する。
ティタノサウルス類は小型の恐竜や現代の鳥類と違い、自ら卵を抱いて温めたわけではないというのが、古生物学者らの定説だ。大きな体で巣の中に座り込めば「巣が巨大なオムレツと化してしまっただろう」と、ゼレニツキー氏は話す。
ティタノサウルス類の親はおそらく、過保護なタイプではなかったのだろう。多くの爬虫(はちゅう)類と同じく、卵を産んだ後は立ち去って、子どもが自力で生き延びるのに任せていたとみられる。

一つに固まった状態となったティタノサウルス類の卵の化石/Darla Zelenitsky
だが卵が育って孵化(ふか)するには、保温の必要がある。高緯度の地域では日光も頼れない。そこで研究チームは、ティタノサウルス類が南極近くの低温に対処する方法を編み出したのではないかと考えた。ただし、ティタノサウルス類が生息していた白亜紀後期の高緯度地域の気温は、現在ほど低くはなかったことが分かっている。
「最も可能性が高いのは、ティタノサウルス類が草木や土を盛った塚状の巣を作っていて、孵化に必要な熱は主に植物が分解される過程で発生したというシナリオだ」と、ゼレニツキー氏は説明する。
「ティタノサウルス類の卵の殻にはたくさんの穴が開いている。これは野外に放置すれば水分を失って干からび、中の赤ちゃんが死んでしまうことを意味する。砂や土、あるいは草木の中に埋まっていれば湿度が保たれ、卵は生き延びることができる」
巣はピクニックテーブルほどの大きさ
研究チームはアルゼンチン最南端のマゼラン海峡から北へ322キロ離れたチョリロ層で、2020年と24年に卵殻のかけら計255片を発見した。年代は6800万年前で、当時の緯度は南緯55~60度。世界で発見された竜脚類の巣作り環境としては最も緯度が高く、これまでに恐竜の卵と断定された化石の例としても最南端の場所だという。
英エディンバラ大学で古生物学と進化生物学を研究するスティーブ・ブルサッテ教授は、「新たな発見で特に重要なのは、これが巨大な腹部や長い首を持つティタノサウルス類の卵だったという点だ」と語った。ブルサッテ氏は今回の研究に関与していない。
同氏は「地球史上最大級の動物の一部が、白亜紀に高緯度で卵を産み、孵化させていた。これは恐竜生物学における新事実だ。その適応力と柔軟性には改めて感服する」と語った。
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの古生物科学者、ポール・アップチャーチ教授によると、高緯度で竜脚類の化石が見つかること自体が珍しく、これまでは暑い夏の間だけ移動して、夏が終わると赤道寄りに戻ると考えられていた。
アップチャーチ氏は「高緯度で卵が見つかったということは、年間を通し、あるいは少なくとも温度の高い季節に繁殖周期を過ごす間ずっと、高緯度の地域にとどまっていた可能性がある」と述べた。同氏も本研究には参加していない。
ティタノサウルス類には世界最大とされる恐竜が含まれ、その体重はティラノサウルスの8倍を超える最大7万5000キロにも上ったと推定される。恐竜の卵は殻が比較的薄く壊れやすいうえ、すぐ粉々になって残りにくいため、化石が見つかるのはまれだ。

恐竜の卵は殻が比較的薄く壊れやすいため、化石の状態で残るのは珍しい/Darla Zelenitsky
発見された卵がティタノサウルス類のどの種類に属しているのかは明らかでない。ただし、同じ場所で見つかった歯の化石はティタノサウルス類の中でも最大級の巨像竜類(コロッソサウリア)のものだった。
「巨像竜類の卵だったとすれば、生まれた赤ちゃんには巨大な体に育つのに必要な、栄養たっぷりの環境があったはずだ」と、ゼレニツキー氏は指摘する。
巨大な体に対して、卵は成体の約1万8000分の1の大きさしかなく、含まれる液体は約4リットル、生まれる子の体重は4キロほどだった。
ゼレニツキー氏によると、それでも巣はピクニックテーブルほどの大きさがあり、土や草木を盛った中に卵が埋まっていたとみられる。ティタノサウルス類の巣は密集していたこともあり、「目立たない造形物ではなかっただろう」と、同氏は話している。
