X(旧Twitter)で息子さんの中学受験の様子をコミカルに漫画として投稿し、支持を集めている“子鉄さい”の母こと、りえ太郎さん(アカウント:@yonedasai)。現在中学2年生のさいくん、実は「小学校受験」も経験しています。親子3人で挑んだ当時の「お受験」について、りえ太郎さんにつづっていただきます。10年以上前のこととはいえ、変わらないこともたくさんある小学校受験の世界。フィクションを織り交ぜたエンタメとしてお楽しみください!
1回目は、「うちには無縁だよね」と思っていた小学校受験に参戦することになったきっかけと、それを聞いたさいくん本人の可愛すぎる勘違いについてお届けします。
「お受験」のきっかけ
※この物語は、実体験をベースにした“ノンフィクション風エンタメ”です。霞みつつある記憶、感情の起伏、そして演出上の都合により実際とは異なる部分も多々あります。また複数の小学校受験経験者から聞き取りをおこなって出来事・人物・会話を再構成しています。 作中の人物・団体・エピソードは特定の個人を描写するものではありません。温かく見守っていただけますと幸いです。
たまプラーザ東急百貨店の制服コーナーにはKO横浜の制服を着た子供のマネキンが並んでいる。私は息子が着たら可愛いだろうなぁと、その場所を通るたびに息子の制服姿を想像していた。ま、受験するわけじゃないし。だいたいKOなんて、うちには無縁だよね。
「記念受験させるよ」
年少の終わり頃だっただろうか、夫婦の会話の中で夫が突然そう言った。
「えっ!? そんな考え持ってたの…?」
私は驚いてもう一度確認した。
「KOを受験…?」
夫はなんでもないことのように言った。
「近いしね。うちから歩いていけるんじゃない?」
「そうなの……? そんな距離にKOがあったの?」
まったく知らなかった。そうだったなら、もっと早く言ってよ! 調べてみると、KO横浜がある江田駅は我が家の最寄り駅からふたつ隣。うちから歩いても二十分ほど。十分通える距離だった。

記念受験、いいかもしれない。運が良ければ、受かっちゃったりして! 私の心は八木節を踊った。(群馬出身)
あのグレーの制服を着て、帽子をかぶった息子。なんて眩しい姿なんだろう。群馬のど田舎で育ち、底辺高出身の私にとって、そこはずっと見上げる世界だった。テレビでしか見たことも聞いたこともない世界。未知の世界。だけど、これは夢物語ではないのかもしれない。
息子のおかげで。努力次第で。キラキラしたそこに行けるかもしれない。四十二歳で息子を産み、さらにこれから「お受験」まで経験できるなんて。私はなんて恵まれた人生なんだろう。
お受験。『マザー・ゲーム』っていうドラマを思い出した。あんな感じなのかな? いかにも富裕層という雰囲気のママたち。表向きは仲良くしながら、裏では足の引っ張り合い。そんなドロドロした世界? ドラマみたいな厳しいお受験塾にも通うのかしら。
でも、記念受験って結局は運任せになる。合格率は限りなくゼロに近い。奇跡みたいなものだ。だったら、少しでも確率を上げたい。少しでも。メモリ容量の小さい私の頭は、すぐに結論を出した。
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どうせ小学校受験をするなら……出した答えは?
