米マイクロソフト(Microsoft)が2026年9月8日に配信を開始したWindows 11向け更新プログラム「KB5124008」を適用した一部のパソコンで、音声出力が停止するなどの不具合が発生していることが明らかになった。同社は問題を認識し、解決策の開発に着手している。
不具合の影響を受けるのは、USBオーディオ規格の「USB Audio Class 1.0」に分類されるデバイスに限られる。更新プログラムの適用後、音声が出力されなくなったり、音量調整が反応しなくなったりするケースが報告されている。サウンド設定画面が操作不能になるほか、デバイスマネージャー上で「このデバイスを起動できません」というエラーが表示されることもあるという。
マイクロソフトのサポート文書によると、標準のステレオ構成では正常に機能するデバイスでも、8チャンネルや3オーディオモードといったマルチチャンネル機能を使用した際にエラーが発生する場合がある。一部の利用者からは、2チャンネルモードに切り替えることで音声が復旧したとの報告が寄せられている。テクノロジー系メディアのWindows Latestは、マイクが動作しなくなったとの報告もあると伝えている。
今回の更新プログラムは、Windows 11のバージョン25H2と24H2の双方を対象としており、OSビルド番号は26200.9445および26100.9445に更新される。9月の月例更新では合計966件の脆弱性が修正され、そのうち2件はゼロデイ脆弱性だった。機能面ではタスクバーの位置を変更できる新機能なども実装されたが、更新後のトラブルが相次いで報告されている。
広がる不具合の影響範囲
音声問題以外にも、9月の更新プログラムに関連するとみられる障害が複数確認されている。AI開発企業のAnthropicは、KB5124008の適用によって同社のAIアシスタント機能「Claude Cowork」が動作しなくなったと表明した。マイクロソフトもこの問題を認め、ClaudeをはじめとするLinuxベースの仮想マシンに依存するアプリケーションで異常が発生することを確認している。
企業ユーザーからは、リモートデスクトップサービスがセキュリティ更新の適用後に応答しなくなる事例が報告された。また、ファイルエクスプローラー(explorer.exe)が頻繁にクラッシュし、画面が真っ暗になる現象や、「ファイル履歴」機能によるバックアップが破損する問題も発生している。
一部のAMD製Radeonグラフィックスカードを搭載したシステムでは、GPUドライバーに関連するエラーが発生するケースが確認された。9月の更新プログラムを削除すると正常に戻るという報告があり、更新との因果関係が疑われている。
ユーザーへの影響と当面の対応
マイクロソフトは音声デバイスの不具合、Claude Coworkを含む仮想マシンの問題、リモートデスクトップサービスの停止という3つの問題について公式に認識を示し、調査を進めている。その他の障害についても情報収集を継続しており、修正プログラムを近く提供する方針だ。
音声不具合の当面の回避策としては、マルチチャンネル設定を2チャンネルモードに変更することが有効とされる。ただし、これはあくまで応急的な対応であり、根本的な解決にはマイクロソフトからの修正パッチを待つ必要がある。
企業環境でリモートデスクトップやLinuxベースの仮想マシン、Claude CoworkなどのAI機能に依存している場合、今回の更新プログラムの適用を一時的に見送ることも選択肢となる。既に更新を適用して問題が発生した場合は、更新プログラムのアンインストールや、マイクロソフトからの修正版の配信を待つことが推奨される。
今回の一連の不具合は、多数の脆弱性修正と新機能追加を同時に行う大型更新のリスクを改めて浮き彫りにした。企業のIT管理者にとっては、月例更新の適用前に互換性の検証を徹底することの重要性が増している。
