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    土田陽介のユーラシアモニター

    【土田陽介のユーラシアモニター】天然ガス輸出と通貨スワップで読み解く、ロシア経済圏の強さと限界

    土田 陽介

    土田 陽介
    三菱UFJリサーチ&コンサルティング・主任研究員

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    2026.9.15(火)

    中央アジアでルーブル決済が広がっている(写真:mamushi/イメージマート)

     インターファックス通信などによると、ロシア最大のガス会社である国営ガスプロムが中央アジア向けの天然ガス輸出を増やしているという。アレクセイ・ミレル最高経営責任者(CEO)によると、今年に入ってガスプロムは、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタンの3カ国向けの天然ガス輸出量を前年から7割増加させたようだ。

     ロシアには豊富な埋蔵量を誇るガス田が多く存在する。生産コストも低いため、安定して輸出できれば莫大な外貨の獲得につながる。そのため、ウクライナ侵攻までは主に欧州へ輸出してきたが、それができなくなった今、ロシア国内では天然ガスがダブついている。

     その解消先の一つとして中央アジアに輸出しているが、その輸出量などたかが知れている。また、カザフスタン自身も産ガス国であり、中国のみならずロシアにも天然ガスを輸出している。

     それにガスプロムがガスを供給しているのは、主に西カザフスタン州、西部アクトベ州、北部コスタナイ州といった、ロシアと国境を接する地域とされている。ロシアから供給を受けた方が合理的な地域に限定された輸出だから、その量は限定的だ。

     ところで、興味深いのは、カザフスタンなど中央アジアの国々がガスプロムに対してロシアの通貨ルーブルで支払いをしているという点である。中央アジアの国々の対ロ貿易収支は基本的に赤字のため、貿易取引だけに限れば、本来ならロシアとの貿易を通じてルーブルを蓄積できず、ロシアへの支払いにルーブルは使えないはずだ。

     とはいえ、もともと中央アジアはルーブル通貨圏である。旧ソ連崩壊直後こそドルによる貿易決済が主流だったが、その後はロシア経済の復調とともに中央アジアもまたルーブル経済圏に組み込まれている。中央アジアにおける政治的・経済的影響力を維持するため、プーチン政権が有形無形のさまざまな支援をしてきたことも大きい。

     それに、中央アジアの人々はロシアの都市部に出稼ぎに赴き、ルーブルを稼いで母国に送金する。この潤沢な送金が移転収支黒字という形で、特にキルギスやウズベキスタンの国際収支を支えている。中央アジアの国々はさまざまな経路を通じてルーブル資金を蓄積しているため、ロシア向けの貿易赤字をルーブルで清算できているようだ。

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