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    「NX-70A」ヤマハがガチで作ったアクティブスピーカー

    このごろ流行りの全部入りアクティブスピーカー。この注目ジャンルに、ヤマハの独自技術に基づいた音楽性が合わさったら、“スピーカーっぽい音”から解放され、演奏(音楽)だけがそこにある不思議な体験が味わえた。

    ヤマハのワイヤレスHi-Fiアクティブスピーカー「NX-70A」は、ネットワークに対応したいわゆる全部入りのオーディオコンポーネントだ。8月下旬に発売を予定しており、価格はペアで385,000円。カラーはブラックとホワイト。専用のスピーカースタンド「SPS-70A」もペア88,000円で用意されている。

    ホワイトとブラックの2色展開NX-70Aとはどんなスピーカーか

    本機のできることは盛り沢山だ。Spotify Connect、TIDAL Connect、Qobuz Connect、room READYに対応するほか、Net Radio、Podcasts、MusicCast Link、AirPlay、Google Castにも対応する。

    入力としては、光デジタル、AUX(3.5mmステレオ)、USBメモリ、HDMI(eARC/ARC)、Bluetooth(SBC、AAC)を備え、Wi-Fiもしくは有線LANでネットワークに接続すれば、ミュージックサーバー(NAS等)からの音源も再生可能だ。なお、Qobuzは「今後のアップデートで対応予定」とアナウンスされていたが、筆者が試聴期間中のアップデートで、再生できるようになった。

    豊富な端子を備えている。HDMI(eARC/ARC)も搭載しているので、テレビとの組み合わせも可能だ

    再生可能なフォーマットはPCM最大384kHz/32bit、DSDは最大DSD256まで。HDMI入力は、テレビ経由のPCM 2chのみとなる。

    スピーカー部分もヤマハのこだわりが光る。PBO繊維ザイロンとグランドピアノの響板にも使用されているスプルース材等を、NX-70A専用の比率で混抄した独自の「ハーモニアスダイアフラム」をすべてのユニットに採用。

    3cmドーム型ツィーター13cmコーン型ウーファー。いずれもハーモニアスダイアフラムを採用

    全帯域にわたる音色の統一を実現し、楽器の音や人の声をありのままに届ける、自然かつ音楽性豊かな音を叶えたという。ハーモニアスダイアフラムは、過去に筆者がレビューしたNS-600A/800Aでも採用されている。手の届く価格帯のスピーカーでもザイロンを採用したコストダウンモデルと思いきや、非常に完成度の高いサウンドに仕上がっていた。

    ユニットは、13cmコーン型ウーファー、3cmドーム型ツィーターの2WAY構成で、バスレフポートはリアに配置。

    背面にバスレフポート

    鳴らすアンプは、新開発の「シナジスティックドライブ」を搭載した。アクティブスピーカーのために作られた歪低減技術であり、アンプとスピーカーを協調動作させることでこれを実現したという。これは後ほど詳しく見ていこう。

    自動音場補正機能のYPAOも搭載。ヤマハのAVアンプなどでお馴染みの機能で、付属のマイクで部屋の音響特性を測定すれば、最適な音質に補正してくれる。シビアなセッティングや調整をしなくても、専用のオーディオルームで聴いているような音場を手軽に楽しむことができる。

    具体的には、初期反射音を積極的に制御する「YPAO-R.S.C.」に加え、イコライジング処理も64bitの精度で演算することで高精度な補正をしてくれる。小音量再生時に自然な音質補正効果が得られる「YPAO Volume」、いわゆるラウドネス機能も搭載する。

    本体は、楽器を感じさせる優美なラウンドフォルムを採用。天面に厚さ5mmの無垢のアルミ素材を使用し質感を高めるとともに、ネジ留めによってバッフル面と一体化させることで余計な共振を抑制した。

    上から見ると、楽器を感じさせる優美なラウンドフォルムなのがわかる

    主な付属品は、リモコン、電源コード(2m)2本、LANケーブル(左右スピーカー接続用・3m)、HDMIケーブル(2m)、YPAO用マイク(6m)。マイク用のスタンドがない方向けに段ボール製のマイクスタンドも同梱される。なお、YPAO用マイクはマイクスタンドがなくても、一般的なカメラ用の三脚に固定できる。

    外形寸法は、189×234×333mm(幅×奥行き×高さ)、質量はプライマリーが5.7kg、セカンダリーが5.4kgだ。

    防音室で聴いてみる

    まずは、素の音をチェックすべく自宅の防音室へ設置。

    本体はアンプ内蔵とあってやや重いが、高級スピーカーは見た目よりも重いものだ。むしろこのくらいの方が安心する。入出力はプライマリー側のスピーカーに集中するが、アンプ自体は左右それぞれに入っている設計。音声情報は、LANケーブルか無線でプライマリー側からセカンダリー側に伝送される。

    カッパー色のアクセントは、ユニット外周や天板に見られる。平行面が1箇所もないラウンドフォルムは回折による影響を抑えてくれるだろう。

    LEDは、フロント側のOLEDディスプレイの近くに1箇所。電源が入っているときに白く点灯し、セカンダリースピーカー側のLEDはプライマリー側とリンクした証も兼ねる模様。ディスプレイは視認性が高く、再生中の曲名や選択しているソースが表示される。日本語対応だ。

    フロントの下の方にOLEDディスプレイを備えている

    YPAOによる補正はすべてオフにして、同一ネットワーク内のSoundgenic(NAS)からの音を試聴した。設定やコントロールで使用するアプリは、ヤマハのAVアンプなどでお馴染みの「MusicCast CONTROLLER」。UIも分かりやすくWi-Fiなどの初回設定はすぐに完了した。ちなみに初期設定ではプライマリーがLch、セカンダリーがRchとなるが、設定からテレコにすることも可能。ソース機器からの各種結線を左側ではなく右側にしたいというケースで便利だ。

    「MusicCast CONTROLLER」で設定などができる初期設定画面

    接続は、左右の電源ケーブルは必須となる。ネットワークポートにネットワークスイッチからのLANケーブルを接続し、セカンダリーポートからもう片方のスピーカーのプライマリーポートへLANケーブルで結線した。

    スピーカー間の音声伝送は、無線で送ることもできる。無線が48kHz/24bitでの伝送、有線が96kHz/24bitでの伝送だ。再生中のフォーマットにかかわらず、スピーカー間の伝送はこのフォーマットで統一される。詳細はRoonの挙動をチェックするパートで解説したい。

    ネットワークへの接続はWi-Fiと有線LANの2通りあるが、どちらも再生できるフォーマットに違いはない。

    ハーモニアスダイアフラムの音色統一と、魅力を引き出すシナジスティックドライブ

    ハーモニアスダイアフラムは、全帯域にわたる音色の統一を謳う。パッシブスピーカーのNS-600A/800Aをレビューした際は、2WAYとは思えない音色の統一感や音の繋がりの良さ、楽器音の説得力の高さが印象的だったが、NX-70Aも同様のポテンシャルを秘めている。

    Soundgenic(NAS)からの音楽を聴いているところ

    FINAL FANTASY VII REBIRTHより「No Promises to Keep」を聴く。ツィーターとウーファーの振動板の素材が同じ強みが生きている。ミッドからハイに繋がる帯域はわずかの切れ目も感じさせず、ローからハイまで楽器の音像が1点の音源から発せられている感覚。ボーカルのセンター定位は明瞭で、ヤマハらしい温もりと温度感も備えている。

    天気の子オリジナルサウンドトラックから「大丈夫[Movie Edit]」。ボーカルの芯がしっかりしていて、片時もブレない。ミッド帯にある声のコアになる部分とハイへの繋がりが一体となって、まるで今歌っている生音のように自然に発音されているのだ。これは不思議な感覚だ。ストリングスも耳触りの良いハイからその下の帯域まで質感が統一されている。

    クロスオーバーが精密に設計されていても、2WAYの各ユニットが受け持つ帯域は、それぞれ質感や音色が異なるのが、これまでの一般的なスピーカー体験だった。しかし、ハーモニアスダイアフラムならば、フルレンジのように聴こえるだけでなく、ミッド~ローが十分な量感で鳴っていても、安定感と余裕を保ったハイを堪能できる。

    シナジスティックドライブは、スピーカーシステムの歪を低減する技術だという。スピーカーの歪には2種類あって、一つは振動系部品の機械的な要因による歪、もう一つは電気的な要因による歪だ。シナジスティックドライブが低減するのは後者の電気的な要因による電流性歪となる。渦電流がもたらす電流歪を低減ということで、詳しい仕組みが気になるが、まずは試聴を続けよう。

    FINAL FANTASY VII REBIRTH Orchestra World TourLIVE2024.09.08より「広がる世界 -グラスランド~ジュノン~コレル山-」を再生。グラスランドからドラムが入ってきたとき、金物の音の鮮度感にハッとした。スネアの音もアタックから余韻までとても階調豊かで、ホールの響きとの描き分けが明瞭だ。ジュノンに入ってからは、管楽器の音もピュアで、楽器音の説得力が異様に高い。グロッケンの音の粒にも芯がある。

    映画『planetarian ~星の人~』の主題歌でLiaが歌う「星の舟」。作曲は折戸伸治で、あの名曲「鳥の詩」と同じドリームコンビ。ボーカルの中域から高域まで、発音のタイミングがピシッと揃っていてフォーカスが極めて精密だ。音色まで統一されているから、スピーカーから出ている音と認識しにくい。いい意味での違和感なのだ。これはなかなか味わえない感覚だった。ベースは結構大きめの音量で鳴っているが、タイトでダブつきがない。音の芯が揺るぎなく安定していて、つぶさに観察しても変わることはない。リニアリティが非常に高いといえる。

    Qobuzも聴いてみる。アルト・サックス奏者David Sanbornの唯一ハイレゾで聴けるアルバムTime Againより「Tequila」を再生。ベースの音は実在感に富み、フレッシュさも備える。サックスのミッド帯とドラムの金物、それぞれが高い純度で共存。パーカッションやピアノのダイナミックな音の跳ね方は臨場感を底上げする。ドラムも同じく、アタックからサステインへと至る経過にブレがなく、まるで本物の楽器から放たれているようなリアリティだ。ユニット同士の音色や位相が揃い、音量変化に対するリニアリティの高さが合わさると、生演奏をより生らしく描いてくれるのだ。

    Qobuzでも聴いてみる

    シナジスティックドライブが低減する電流歪は、アンプとスピーカー両方を開発できる、ヤマハだからこその突っ込んだ技術だ。前述した“電気的な要因による歪”の中身は、こうだ。アンプからの出力によって、スピーカーユニットのボイスコイルに電流が流れる。コイル + 電流=磁界の発生、つまり磁束が発生する。その磁束は、周辺の素材(磁気材料)を貫通するのだが、ここで問題が発生。磁気材料は導電性が高い鉄を利用するのが一般的で、磁束の通過によって本来必要のない渦電流が発生してしまう。

    渦電流の大きさは、入力電圧に応じて非線形な挙動を示し、結果ボイスコイルを動かす電流の波形も歪んでしまうそうだ。“ボイスコイルが動く”とは、スピーカーの振動板を動かす力ということであり、当然音響的な歪が出音に影響してしまう。

    この歪を低減するためには、磁気材料を変えて渦電流を発生しにくくする、すなわち導電性を下げるという素材的アプローチが存在する。しかし、DALIが使っているような、SMC(Soft Magnetic Compound)といった磁気は通すが電流は通さないという特殊材料は大きなコストアップが避けられない。

    シナジスティックドライブ

    対してシナジスティックドライブは、アンプとスピーカーの協調動作により、渦電流による損失の影響を抑え、歪の抑制された理想的な電流波形を供給する技術だ。

    アンプとスピーカーがバラバラの単品コンポでは、アンプはあらゆるスピーカーで安定して動作できるよう、電圧出力方式が採られている。しかし、電流は負荷に依存して決まるため、前述の様な負荷に非線形な要素があると電流が歪んでしまう。

    相対するスピーカーが決まっているアクティブスピーカーであれば、駆動原理に則った電流出力方式を採用し、その電流を正確に制御することで、磁気材料由来の電流性歪を広帯域で低減させられる――というのが歪低減のコア技術のようだ。

    実際に3次歪の測定結果において、200Hz~2kHzの帯域で最大約20dBの歪みを低減することに成功。また、電流歪のグラフと実際の出音を示す音響歪のグラフがほぼ同じ形を示すことも確かめられたという。

    筆者の聴感チェックでは、ハーモニアスダイアフラムとの相性がすこぶる良いことが分かった。パッシブの600Aや800Aで確かめられた音の繋がりの良さ、スピーカーの存在が消える自然な発音は本機にも備わっており、それがシナジスティックドライブの低歪と合わさって、さらなるリアリティを実現していた。この技術はHi-Fiスピーカーのみならず、モニタースピーカーでも採用してほしいと思う。筆者が当媒体でレビューしたHS3やMSP3Aなど、ヤマハのモニターシリーズはどれも出来がいいからだ。

    なお、サウンドのすべてを手放しで賞賛できたかというと、気になる点もあった。音像のシャープさやディテールの際立ちの部分、音場の透明感については、もうひと越えが欲しかった。

    YPAOなど、豊富な機能を使ってみる

    ここからは、多機能なNX-70Aを使いこなしていこう。機能があまりに多いので、全てを紹介できない。例えばHDMI入力によるテレビとの併用は割愛した。テレビサイドに置いて、サブスクの映像サービスやゲームのサウンドを楽しむのも有意義だろう。

    最初は自動音場補正機能のYPAO。筆者の住宅で最も響きの質が悪い寝室でテストした。環境が悪い場所でこそ、補正は助かる。

    寝室に持ち込んでみた

    同梱のマイクを本体の専用マイク入力に接続。リスニングポイントかつ耳の高さにマイクを設置。アプリから測定を開始する。2種類のテストトーンがスピーカーから鳴って測定は完了。左右のスピーカーからどのような特性で音が出ているかグラフで示してくれる。寝室は、右側に窓。左側は造作の棚と扉がある。対面にベッド。スピーカーを設置しているのは衣服用のチェストだ。

    付属の専用マイクで測定YPAOの測定操作はアプリから行なう

    リスニングポイントからの距離も補正してくれるが、筆者環境では左右がピタリと一致した。音量差はわずかに右側のスピーカーが大きかったようで0.5dBだけ下げられた。

    補正の結果

    各種の補正内容は個別にON/OFFができる。「YPAOボリューム」はラウドネス機能。低音量で楽しむときに低域/高域が聞こえづらくなる聴覚特性に合わせて補正してくれるのだが、低域は補正の度合いが強めで、好みが別れるかもしれない。高域の補正によって、WEBラジオなどは籠もりが改善され、喋りの明瞭度が上がった。小音量でも迫力を保ちながら、内容をストレスなく聞き取りたい場面で有用といえる。

    補正内容は個別にON/OFFできる

    「YPAO」は有効にすると、左右の距離のズレやレベル差による問題を補正してくれる。個人的にはこの機能だけ常にONでもいいと思った。

    「イコライザー」はYPAOをONにした上で、追加で有効にする。測定結果に基づいて、不要なピークやディップを補正してくれる模様だが、やや強めに効果が感じられた。マスタリングをしたような、生楽器の質感が変わるくらいの影響がある。測定結果次第で補正の度合いは変わるため一概には言えないが、鮮度を重視する方は使わないという選択もありだと思う。

    YPAOをONにしても鮮度の変化はそれほどない。筆者の寝室のような音響特性の悪い部屋は、YPAOをOFFで鳴らすと、音像の芯がややブレてしまい、奥行き感もハッキリしない。サウンドステージ全体が微妙にずれているような感覚があった。YPAOをONにすると、音場内における位置関係のズレが大幅に改善されて、フォーカスが合ってくれた。BluetoothやAirPlayで楽しむYouTube動画もロケ先の空間表現が整い、街の喧噪もゴチャゴチャしない。弱音の解像感もアップしているように感じた。設置環境によっては、さらに効果は大きくなるはずなので、ぜひYPAOの測定は行なってみてほしい。

    Roon Readyも試してみた。MacBook ProにインストールしたRoon ServerからNX-70Aを出力デバイスとして指定。iPadからの選曲・再生の挙動はまったく問題なく動作する。ファームウェアアップデート前はQobuzを楽しむにはRoon経由しか方法がなかったが、既にQobuz Connectが使えるようになった。またNASの音源もMusicCastのアプリから再生できる。Roonが提供する他に代えがたい音楽体験を本機でも続けられるという意味では、ファンには注目の機能となるだろう。

    MacBook ProにインストールしたRoon ServerからNX-70Aを出力デバイスとして指定。iPadからの選曲したところ

    入力信号はASRCで一旦96kHzへ変換(DSD含む)。プライマリスピーカーでは、 DSP段から直接DACへ入力し、アナログ信号に変換後にクラスDアンプへ入力。セカンダリの場合は、 プライマリのDSP段から有線or無線接続でセカンダリにデジタル転送後、DACでアナログ信号に変換後、クラスDアンプに入力しているそうだ。なお、DSPの内部処理は64bit/倍精度浮動小数点による演算が行なわれるという。転送レートは無線の場合は48kHz/24bit、有線では96kHz/24bitになる。

    それでは、左右スピーカーの無線接続と有線接続で、音質に違いがあるということ。これは気になるポイントだ。

    あえて有線接続でも聴いてみる

    最後に、左右スピーカーの有線接続と、無線接続も聴き比べてみた。ぶっちゃけて言えば、有線がどれだけ音が良くなるかという話である。

    本機は、オール無線で電源コードさえ繋げばどこでも使えるスマートな製品である。同時に、Hi-Fiを冠したハイクラスオーディオとしてのハードウェア的なこだわりも込められている。無線で便利に使うのも良いが、有線での音も気になる。

    防音室に設置して、まずはWi-Fiでネットワークに接続。左右のスピーカーを無線のまま音楽を再生した。Beagle Kickのピアノジャズバラード「UTAKATA」。192kHz/24bitの楽曲だ。無線の場合は48 kHz/24bitに変換されている。単体でこれだけ聴くと、S/Nも悪くないし、奥行き感も出ている。ピアノのリバーブもなかなかの純度だ。ごく普通といったところ。

    余っていたOA用のLANケーブルを使って左右のスピーカーを接続。96kHz/24bit変換されて左⇒右の伝送が行なわれるはずだが、聴いてみると、これは激変!

    ピアノの残響のグラデーションや深み、空間への広がり感が格段にアップ。アコースティックギターは肉厚で、音像は立体的でディテールも豊か。アコースティックベースは色気をまとい、密度感を増して、人間が演奏している生命感を取り戻した。サウンドステージも前後左右に拡大しハイレゾらしさがグッと高まっている。左右のスピーカー間にケーブルがあるのは確かに気にはなるけれど、有線にできる環境ならやった方がいいかと個人的には感じた。

    なお、LANケーブルの接続部に少しでも衝撃があると、音が途切れたり、ノイズが入ることがあった。おそらく一発勝負でリアルタイム伝送している影響だろう。設置方法には気を配りたい。

    次にこの有線接続にノイズ除去アクセサリーを加えてグレードアップしてみる。LANアイソレーター「RLI-1」をセカンダリー側のポートに挿入すると、背景がぐっと静かになった。音場に纏わり付いていた薄膜が剥がれ、空間の透明度もアップ、ピアノの打鍵音が生き生きとしてきた。セカンダリー側へ送る信号のノイズ対策だから、Rchだけの音質変化のはずなのに、左右のアンバランス感はまったくない。言ってみれば、Rchのクオリティを向上させて、Lchに近づけたという状況だろう。

    最初、LANアイソレーター入れて電源を入れ直しても、セカンダリー側スピーカーのLEDが光らない。つまりリンクしなかった。Lchからしか音が出ないので、電源を落としてから、セカンダリー側のリセットボタンをLEDが点滅するまで長押して再起動すると復旧した。別のアクセサリー「LAN iSilencer」でも同様の対処が必要だったので、何かアクセサリーを使う方は気を付けてほしい。

    続いて、LANアイソレーターを外して、左右間は有線のまま、ネットワークへの接続を有線に変更してみる。筆者のネットワーク環境は、リビングのモデムがルーターとなり、直下に無線親機が設置されていて、防音室にある無線中継機へと接続されている。中継機の配下には、オーディオ用のネットワークスイッチ「N8」と、Soundgenic、ネットワークトランスポートなどが接続されている。そのN8に、NX-70Aを有線接続した。LANケーブルはリビングで使っているオーディオグレードのケーブルを外して流用した。

    音が出た瞬間にビックリ仰天。今まで聴いていた音は何だったのか。楽器音に生命力が宿り、生演奏の躍動が見違えるようだ。聴感上のS/Nも格段に向上。トランジェントが精密になり、空間の透明度も改善。深く広く、かつ各楽器が整理されたサウンドステージは聴いているこっちが飲み込まれてしまいそう。ヤマハらしい優しい質感を備えながら、これらのステータスが向上することで、より音楽性が高まった。

    電源コード以外は無線で使える、便利なアクティブスピーカーであることを承知の上であえて言うと、ソース側の接続は有線にできるなら有線にして試してみてほしい。筆者の環境では、ソースのNASがNX-70Aと同じ有線ネットワーク内にあるという加点も否定はしない。ただ、中継機経由のQobuz Connectの音も格段に良くなったので、本機の音質面の実力を生かし切るなら、中継機を使ってでもネットワークには有線で繋ぐのはありかもしれない。

    ヤマハが全部入りアクティブスピーカーを展開するというのは、これが初めてではない。2015年にはNX-N500というネットワーク対応のアクティブスピーカーが発売された。モニタースピーカーHSシリーズのような外観が目を引くモデルだったが、その後に続くモデルがなく寂しかったのを覚えている。

    今回登場したNX-70Aは完全新規デザインでHi-Fi思考を追求したプロダクト。ヤマハの定番シリーズとして続いていくかも含め、新しいステージでの活躍に期待したい。

    「NX-70A」

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