テキサス州ダラスで開催された共和党全国大会(9月10日撮影、写真:ロイター/アフロ)
(英エコノミスト誌 2026年9月12日号)
共和党が連邦議会で過半数を維持するためには、不人気であっても大統領に賭けるしかない。
この秋に中間選挙を控え、米共和党は何よりも優先されるお荷物を一つ抱えている。そしておかしなことだが、そのお荷物は案の定、選挙のせいで最大限に明るいスポットライトを浴びている。
かつて超高層ビルを開発するたびにやっていたように、そしてまさに今、首都ワシントンの風景に対して行っているように、ドナルド・トランプ氏は共和党を自分の記念碑として作り変えた。
この取り組みが大成功を収め、自己の権力拡大を目指した同氏の戦略が共和党をすっかり脆弱にしたことで、同党の政治家には、トランプ氏の支持率がどこまで下がろうと同氏を賞賛し続ける以外に選択肢が残っていない。
中間選挙はMAGA頼み
トランプ氏が数年前から自分に背く者をパージし、今では同氏の不人気が重なったことで、共和党の政治家たちは追い詰められている。
各州で実施された予備選挙では民主党の投票者数が共和党のそれを凌駕しており、世論調査で裏付けられている両党派の熱意の差が露わになっている。
2024年の大統領選挙でトランプ氏に好感を抱くようになった独立系の有権者は反トランプに転じている。
共和党が議会で過半数を維持し、当選の可能性が比較的高い共和党員を差し置いてトランプ氏が推したMAGA(米国を再び偉大に)運動系の候補者を救うためには、筋金入りのトランプ支持者に声をかけ、なぜトランプが好きなのか、なぜ民主党を恐れたり軽蔑したりしているのかを思い出してもらうことが最も期待できる手法かもしれない。
トランプ氏は、中間選挙前の党大会の開催地に昔からの激戦地ではなく、2024年の大統領選挙で自分がほぼ14ポイントの差をつけて勝利したテキサス州を選んだ。
この選択ほど、トランプ政治の神通力の低下を如実に示すものはない。
トランプ氏はテキサス州の連邦上院議員予備選挙に際し、現職のジョン・コーニン上院議員ではなくケン・パクストン州司法長官の指名獲得を後押しした。
その結果、確実視されていたこの議席の維持があやしくなっている。
共和党の上院議員らによれば、トランプ氏が大声を張り上げつつ多額の資金を拠出しなければパクストン氏は候補者の地位を維持できない恐れがある。これはまさにトランプ氏が好む状況だ。
トランプ礼賛と民主党誹謗の嵐
そして、疑念を抱く支持者の説得よりも忠実な支持者の鼓舞を目指して開催された党大会は、トランプ氏が必要とする崇敬をもたらした。
会場を満員にはできなかったかもしれないが、集まった聴衆は同氏のおなじみのジョークと余談に笑い声を上げ、自画自賛に喝采を送った。
登壇者たちからは、史上最も偉大な大統領だという賛辞を繰り返し贈られた。感謝の気持ちでいっぱいだったパクストン氏は登壇の順番が回ってきた時、「過去の大統領の誰よりもこの国のために成果を上げている」と明言した。
トランプ氏の上げた成果がここまで壮大なものに聞こえるような、そして米国の成功がここまですごいものに思えるような工夫がなされたことは、かつてなかった。
野党勢力が共和党の存在をも揺るがす脅威として、ここまで深刻に扱われたこともなかった。
登壇者は次から次へと警告を発した。
もし民主党がいくらかの権力を手にすれば、刑務所を廃止したり、女性のスポーツやトイレに男性を誘導したり、国境を越えてくる不法入国者を歓迎したり、そういった外国人の医療費を捻出するために労働者階級に増税したりする、といった具合だ。
ホワイトハウスを共和党が牛耳っている状態で民主党がそういった施策をどうやって実現するのかは、明確ではなかった。
だが、民主社会主義者を自称する候補者たちや、民主党とともに選挙活動を行った動画配信者ハサン・パイカー氏などによる急進的な主張は、新しくて人目を引きやすい攻撃材料を共和党に提供している。
例えば、トム・エマー下院院内幹事は今回の中間選挙を「常識と共産主義の間、米国を愛する愛国者と米国を憎む過激派の間の戦い」という枠にはめようとしている。
