イエメンのフーシ派の戦士(9月10日撮影、写真:AP/アフロ)
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年9月15日付)
ここ数カ月というもの、イランと米国の紛争は戦争と平和の間で揺れ動いてきた。外交による解決策を模索する取り組みが、時折発生する戦闘で中断された。
だが、過去1週間は中東湾岸での戦闘が劇的に拡大する一方、和平に向けた努力が行き詰まった。
イランと緊密な関係にある武装組織フーシがイエメンの紅海沿岸の大半を掌握したことで、紛争の新たな戦線に関心が移った。
フーシはサウジアラビアのエネルギーインフラも攻撃した。こうした攻撃は、サウジを横断する東西パイプラインを稼働停止に追い込んだドローン(無人機)攻撃と重なった。
このパイプライン攻撃は、イランを後ろ盾とするイスラム教シーア派武装組織が活発に活動しているイラクから仕掛けられたようだった。
数日後、ホルムズ海峡の再開を目指すイランと湾岸諸国の間の協議が延期された。
戦場と経済、ナラティブを巡る3次元の紛争
戦闘が拡大したことでサウジは前線に立たされる羽目になり、石油を輸出するサウジの能力と「MBS」として知られるムハンマド・ビン・サルマン皇太子の壮大な開発計画が危機に瀕している。
西側諸国がまさに冬へ向かおうとしている時に、エネルギー供給へのさらなる制限が生じている。
それが今度は、米国はイランとの対立で徐々に優位に立ちつつあるというトランプ政権の主張を揺るがす。
米国とイランの戦争は3次元の紛争としてとらえられる。
1つ目の次元は戦場、2つ目は経済的な紛争、そして3つ目はナラティブ(物語)の戦いだ。3つは互いに結びついており、現在、すべてが米国に不利な方向に転じている。
米国とイスラエルは2月28日にイランに攻撃を仕掛けた時、自国の軍の優位性が圧倒的に大きいため楽に勝てると考えていた。
だが、最初の攻撃に耐えたイランの力、次にホルムズ海峡を封鎖し、湾岸諸国を攻撃する能力が短い戦争の幻想を打ち砕いた。
海峡の封鎖とイランに対する米軍の海上封鎖が2つ目の次元の紛争を激化させた。経済的な戦いだ。
イランは石油輸出を阻止し、湾岸諸国を攻撃することによって、自国の条件で戦争を終わらせられるだけの経済的な打撃を相手に与えられることを期待した。
米国は不本意ながらもホルムズ海峡を完全に再開させる簡単な軍事的手段が存在しないと結論づけ、独自の経済戦争に打って出た。
米国による海上封鎖はイランの石油輸出を遮断することによってイラン経済を崩壊させることを狙っていた。
