妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』
総務省の『国勢調査』や『家計調査』などの最新データを見ると、20代後半から30代前半の未婚者のうち、約半数以上が「親と同居」を継続している。
「給料が上がらない一方で物価や社会保険料は上昇し、若年層の可視的な手取り額は伸び悩んでいます。家賃や光熱費の高騰も重なり、一人暮らしを始めると貯金はおろか日々の生活すら危うくなるため、あえて『実家暮らし』を選択せざるを得ない若者が増えているのが現状です」
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こう語るのは危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏だ。
「実家に身を寄せることで生活コストを抑えられるメリットがある反面、成人同士となった『親と子』が同じ屋根の下で暮らすことで、プライバシーや生活習慣を巡る思わぬ摩擦が発生するケースも少なくありません」
都内のメーカーで派遣社員として働く吉川まどかさん(仮名・29歳)も、そんな「消極的実家暮らし」を送る一人だ。
「毎月の手取りは20万円前後。都内で一人暮らしをしようと思ったら、家賃だけで8万円くらいはするでしょう。新築やオートロックなんかを考えると10万円以上することも多いのが現実です。さらに光熱費や食費を払ったら手元には何も残りません。それなら実家に毎月5万円を入れて、お互いに助け合いながら暮らす方が合理的だと判断したんです」
世間から「29歳で実家暮らし?」と冷ややかな目で見られることもあるが、身の丈に合った選択をしているつもりだった。
「父も母もある意味で『仕方がない』と思っているんだと思います。都内で一人暮らしするには、私の給料じゃ、安すぎるとは話してくれていますし。まあ、結局親子だし、大人同士として適度な距離感さえ、保っていれば今後もうまくやっていけると思っていたんですけど……」
ある金曜日の深夜1時過ぎ。喉の渇きを覚えて部屋を出たゆきさんは、1階のキッチンへ向かう途中で異変に気づく。
60代の父親の寝室のドアからかすかな音声が聞こえてきたのだ。
「最初はテレビでもつけっぱなしで寝落ちしたのかなと思ったんです。でも、近づくにつれて聞こえてきたのは、テレビの音ではありませんでした」
ドアの隙間から漏れ聞こえてきたのは、耳を疑うような微かな吐息と生々しい声だったというのだ。
ーーんっ……。
「息を飲みました。おそらく、そういうことしている声でした。1人なのか、母と一緒だったのかまでは分かりませんでしたけど。正直気持ち悪いと思ってしまいました。私自身、これまでろくに彼氏がいたこともありませんし、そう言う経験は実はないんです。だからか。余計気持ち悪くって…」
もし、父がアダルトビデオを観ていたのだとしたら…と考えると嫌悪感が倍増したと話す。
「気持ち悪くないですか?父親がそう言うの観ていると考えると。一方で、母との行為だとしても気持ち悪くって…。でも、なんかどうしても気になってしまって、その日はろくに眠れませんでした」
寝不足のまま迎えた週末の夜のことだ。
「父がリビングに置き忘れたイヤフォンを自分のものかと勘違いして、耳に当てたんです。そのときに飛び込んできた音を聞いて確信しました」
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※本記事で使用している写真はイメージです。
【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】河本美乃里 PHOTO:Getty Images 【参考】総務省|国勢調査 / 厚生労働省|国民生活基礎調査
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