2026年9月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930  


    東京ゲームショウ2026レポート
    第120回

    2026年09月20日 21時00分更新

    文● 飯島範久 編集●ASCII

    左がGavin Tsai(ギャビン・ツァイ)氏、右がPaul Kuo(ポール・クオ)氏

     東京ゲームショウ2026のASUSブースにおいて、熱い視線を集めていたのが、eスポーツ向けゲーミングデバイスシリーズ「ROG Ace Collection」のOLED(有機EL)ディスプレーだ。その頂点に君臨するフラッグシップモデル「ROG Swift OLED PG259QWS Ace」は、世界初となる24.5インチ・フルHDで最大720Hzという圧倒的な超高速リフレッシュレートを実現している。今回、現地で開発を牽引するオープンプラットフォーム事業本部 ディスプレー商品企画 第1事業部 商品企画第1部 シニアプロダクトディレクターのGavin Tsai(ギャビン・ツァイ)氏とディスプレー事業部 シニアディレクターのPaul Kuo(ポール・クオ)氏というキーパーソン2人に直接話を聞く機会を得た。

    液晶の限界を超える「720Hz×有機EL」の破壊力

    出品されていた「ROG Swift OLED PG259QWS Ace」

     「ROG Swift OLED PG259QWS Ace」の最大の強みは、720Hzの超高速リフレッシュレートと、0.02ms(GTG)という極限の応答速度の融合にある。従来のOLEDパネルは300Hz前後が主流だったが、本機はTandem WOLEDパネルと「TrueBlack Glossy」光沢コーティングを採用し、照明の多い競技会場でも高い知覚輝度と圧倒的なコントラストを維持する。

     製品企画を担当するギャビン氏は、開発の背景を次のように語る。「OLEDは液晶に比べて応答速度が圧倒的に速いです。パネルサプライヤーと緊密に連携を重ね、eスポーツで最も求められる24.5インチサイズでこのスペックを実現させました。高リフレッシュレート、高速応答、高コントラスト、そして残像感(モーションブラー)の少なさ。この組み合わせは既存のあらゆる液晶ディスプレーを凌駕します」

     製品企画を10年以上手掛けるポール氏も、応答速度の重要性を強調する。「現在では液晶でも1000Hzを謳う技術が存在しますが、重要なのは応答速度です。1秒間に1000回画面を書き換えても、応答が追いつかなければ映像は激しくブレてしまいます。液晶の約100倍高速な応答性能を持つ有機ELと高リフレッシュレートの組み合わせこそが、競技プレイヤーに真の恩恵をもたらすでしょう」

    こちらは下位モデルの「ROG Strix OLED XG259QWPG Ace」。24.5インチ/フルHDのOLEDパネルを採用し最大540Hz駆動。ポジションセンサーは非搭載

    競技現場の声から生まれた「ポジションセンサー」とこだわりの意匠

    高さやチルト角の状態を数値でリアルタイムに表示するポジショニングセンサー。これで、自宅とeスポーツの会場で同一の設定で臨みやすくなる

     本機が単なるスペック番長にとどまらない理由は、プロ選手のリアルな課題を解決する独自機能にある。その代表例が、画面上にディスプレーの高さやチルト角などを数値化して表示する「ポジションセンサー」だ。

    以前のポジションも記録できるので、同じディスプレーを交互に使う場合、元の設定に戻しやすい

     ギャビン氏によれば、プロゲーマーへのヒアリング調査から着想を得たという。「大会会場では試合前のセッティング時間が極めて限られています。普段とミリ単位で環境が異なればパフォーマンスに悪影響を及ぼします。このセンサーがあれば、自宅で調整したベストポジションを会場でも瞬時に再現できるのが特徴です」

    スイベルの位置はスタンドに目盛りが刻まれており、微調整しやすくなっている

    高さ調整も同様に目盛りが振られている

     さらに目を引くのが、背面に採用された半透明のスケルトンデザインだ。内部構造が露出するため、配線やパーツ配置の仕上げには一切の妥協が許されない。「ASUSには『In Search of Incredible(信じられないほど素晴らしいものを追求する)』という企業理念があります。社内には100名以上のデザイナーが所属する専任のデザインセンターがあり、見えない細部まで徹底して美しさを追求しています」(ポール氏)

    「ROG Swift OLED PG259QWS Ace」は背面がスケルトン仕様になっている。中身の見え方のこだわりはハンパない

    「ROG Strix OLED XG259QWPG Ace」のほうは、スケルトン仕様ではない。スタンドの支柱のデザインも上位モデルとの違いがある

    日本市場特有のニーズに応える24.5インチの勝算

     世界的なゲーミングモニター市場では27インチへのシフトが進んでいるが、日本市場においては依然として24.5インチが根強い支持を集めているという。ポール氏はこの点について、日本の住宅事情やデスク環境、そしてeスポーツに対する文化的な背景が関係しているのではと分析している。

     「日本政府がeスポーツ分野への投資や支援に力を入れ始めている点も注目しています。eスポーツは将来的に非常に人気の高い競技になると考えており、行政の後押しもある中で、私たちが得意とする24.5インチのeスポーツ向けモニターを提案していく絶好の機会だと捉えています」

     ギャビン氏は「グローバル市場のOLEDディスプレーにおいて、ASUSは昨年世界シェアNo.1を獲得しています。しかし、日本市場ではまだ3〜4位に留まっており、裏を返せばまだ大きな成長の余白が残されていると考えています。日本のユーザーは新しい技術に対して慎重な一面もありますが、本質的に優れた製品は口コミを通じて確実に広まっていきます。だからこそ、日本が求める24.5インチの最先端機をいち早く投入しました」と語り意欲を示した。

     その言葉通り、今回の東京ゲームショウ2026に「ROG Swift OLED PG259QWS Ace」を、直前にドイツで開催されていた「gamescom」から直接搬入するなど、日本市場に対する本機の売り込みは気合が入っている。

     本機は2026年冬に開催される世界大会「PGL CS2 Major Singapore 2026」の公式ディスプレーにも選定されており、これまで液晶ディスプレーが主流だった競技シーンのスタンダードを塗り替える存在として期待が高まる。液晶からOLEDへの移行が進む中、ASUSが送り出すこのフラグシップ機は、勝利にこだわる日本のゲーマーにとっても非常に魅力的な選択肢となるに違いない。

    ビジネスデーでもASUS(ROG)ブースは活気に溢れていた

    Share.

    Comments are closed.