2026年、扶養控除内の働き方条件が変わる
2026年、大きく見直された「年収の壁」。所得税がかかり始める年収の目安は178万円にまで引き上げられ、「これで扶養を気にせず、もっと働ける」と思った人もいるかもしれない。ところが、話はそう単純ではない。
扶養内で働く主婦にとっては、今回の改正によって「働き方を考え直さなければならない」場面も出てきそうなのだ。
その理由の一つが、社会保険の加入条件の変更である。これまで、年間の収入額などの条件を満たし、夫の健康保険の『被扶養者』に、年金では『第3号被保険者』となっていた働く主婦は、今後「週20時間以上働く」などの要件を満たすと、賃金額にかかわらず社会保険の加入対象になる方向だ(企業規模など、ほかにも要件がある)。
だが、『ママ、今日からパートに出ます! 15年ぶりの再就職』(野原広子著/KADOKAWA)の主人公ユリコは、そんな複雑な制度を考える必要はなかった。漫画が発売されたのは、2014年――結婚で「寿退職」したママたちや、「子どもは3歳まで母親が直接育てたほうがいいとする」3歳神話を信じるその上の世代などが残っていた時代だった。
『ママ、今日からパートに出ます! 15年ぶりの再就職コミックエッセイ』(野原広子著 / KADOKAWA)
2014年時点で15年間仕事から離れていたユリコは、1990年代に寿退職している計算になる。子どもが幼稚園に通う頃、預けて働く意思を見せたが、家族の大反対で断念。
結果、15年間専業主婦として家事と育児に専念してきた。
「なぜ自分はこれほど落ちるのか」
だが、子どもは成長し、家計は苦しくなり、さらに周囲からのプレッシャーもあって、ユリコは再び働くことを決意した。家族に褒められ、足を運んだハローワークではまだ余裕だったが、いざ受けてみると、社員食堂、スーパー、パン屋、児童館、食品工場、牛乳屋、クリーニング店と落ちまくる。

なぜ自分はこれほど落ちるのか。
思い切ってハローワークの職員に相談したところ、「条件を広げてみては」とアドバイスされ、ようやく印刷会社の「本を組み立てる」仕事に採用される。
15年ぶり、しかも未経験の仕事。服装ひとつに悩みながら迎えた初出勤の日、ユリコはまたもや現実の厳しさに打ちのめされる。
「とりあえずベタ打ちからお願いします」
「タイピングできるよね」
教育係の小林さんの口から出てくる、聞いたことのない言葉に、戸惑うばかりのユリコだった。

