追い詰められるドイツのメルツ首相(写真:ロイター/アフロ)
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ドイツのメルツ首相が再び窮地に立たされている。9月20日に行われた州議会選挙で、メルツ氏が率いるキリスト教民主同盟(CDU)が大敗したからだ。
特に深刻だったのは、東部メクレンブルク・フォアポンメルン州での選挙結果だ。暫定の開票結果によれば、得票率が5%を下回ったためCDUは議席を得ることができなかった。CDUにとって戦後最悪の州議会選挙結果となった。
CDUの歴史的な大敗を尻目に、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の得票率は38.2%と躍進し、第1党になった。AfDが州レベルで第1党となるのは、東部ザクセン・アンハルト州の議会選挙に次いで今年に入り2度目のことだ。
ただ、他の政党が協力を拒否しているため、AfDが州レベルで政権を担うかどうかは不透明な情勢だ。このため、「AfD外し」の政権が成立する可能性が高いが、政策が異なる「野合」では安定した政権運営は困難だろう。
メルツ氏は「今回の選挙結果は自党にとって大惨事だった」と認めたものの、「(社会民主党との)連立政権が掲げる経済・税制・社会福祉の改革案を推進していく」と述べ、続投する意向を示した。
CDU内でも続投を求める声が多く、メルツ氏は退陣という最悪の事態を回避できたが、残り2年8カ月の任期で党勢を回復させるのは厳しいと言わざるを得ない。
メルツ氏は昨年5月の政権発足後、AfDの台頭を念頭に不法移民の取り締まりを強化してきたが、支持率の低下が止まらない状況だ。
一方、AfDは破竹の勢いだ。
東部3州で第1党になったばかりか、ドイツ全体の支持率も第1位の座を維持している。AfDのワイデル共同党首の選挙後の発言(我が党は最も強い勢力となり、国民の主流に到達した)は決して誇張ではない。
AfDの一部の州支部は、ドイツの情報機関から「右翼過激派」に指定されており、全国レベルでの活動禁止も取りざたされてきた。
だが、メルツ氏は9月上旬、連邦議会の場で、AfDの活動禁止を求める法的手続きについて、「私はそのような禁止手続きが成功することには懐疑的だ」との認識を示し、政治論戦で対抗していく方針を明らかにした。
国民の支持を集めるAfDとの共存を図る段階に来ている感がある。だが、ナチス・ドイツの負の遺産のせいでドイツの主要政党は現実的な対応ができていない。
ドイツに限らず欧州全般で極右勢力が伸びている背景に物価高への不満がある。
