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    今年の「MUSIC AWARDS JAPAN」、開催前日のパーティーに出席した高市早苗首相は、「是非、皆様とともに力を合わせて、日本の音楽を世界の高みに押し上げてまいりましょう。グローバルマーケットをなんとしても獲得してまいりましょう」と述べている。

    日本の音楽を世界の高みに、って何だ。一体、どういう状態を指し示しているのだろうか。グローバルマーケットを獲得している日本のアーティストは既に存在している。そうやって個々で獲得したマーケットに「日本の」という冠をつけるだけではないかと、うがった見方をしてしまう。

    その話をする前に首相は、「音楽を含めたコンテンツ分野っていうのは、高市内閣が進める成長戦略17分野の中核なんです。このコンテンツ産業の海外売り上げですね、20兆円を目標に、特に音楽につきましては、現地での音楽ライブですとか、それから大規模イベント、また音楽配信など、これを軸とした海外展開を、長期かつ戦略的に後押しをしてまいります」とも話している。ライブ、イベント、音楽配信と、その場で示された展開は目新しいものではないが、コンテンツ産業に力を入れるというアピールはこれまでも繰り返されてきた。

    先日、ある映画監督に取材した際にも、この「20兆円」の話になったのだが、結果的にそうなれば喜ばしいけれど、数値の達成が目的になってはならないだろうと警戒していた。カネになるものに投資するという姿勢では、コンテンツ作りの土壌は育たない。

    インボイス制度導入の際に、真っ先に声をあげたのがアニメーターや私のようなフリーランスのライター・編集者だったが、コンテンツを作る側の個人をサポートするのではなく、売れたもの・売れそうなものに近づいていって、それを「日本の実績」とするのではないか。あらかじめ警戒してしまうのは、もちろん、「クールジャパン戦略」の失敗が頭にあるから。

    先日、経済産業省が「クールジャパン機構」について、540億円の赤字を抱え、廃止する方向で調整していると報じられた。アニメや食文化を海外に展開すると2013年に動き出した事業だが、これだけの赤字を叩き出しておきながら、また同じようにコンテンツを海外へと意気込んでいる状態にある。大借金を抱えている人が「次はこっちで稼ぐぜ!」と興奮していたら、「まずは落ち着いて。そして、さすがに反省が必要じゃないかな」と伝えるはずだが、「クールジャパン」にその様子は見受けられない。

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