ヘルスセンシングと「準備度スコア」
新しいS11チップは、より効率化された「ニューラルエンジン」を搭載し、CPUとGPUのパフォーマンスも向上している。S11では歩数計も再設計され、特に屋内でのウォーキングやランニングにおける歩数と距離の測定精度が向上している。歩数自体には、Series 11と比べて大きな違いは感じなかったが、それでもリアルタイムの歩数を文字盤に表示し、「アクティビティ」アプリを開かなくても歩数を確認できるのはありがたい。
ハードウェア面でより大きなアップグレードとなるのが、アップルの新しい「ヘルスセンシングシステム」だ。Series 12には、心電図をとるときの皮膚との接触を向上させる32個の電極が備わっており、Series 11の2個から大幅に増えている。フォトダイオードは光学センシングの精度を高めるためにリング状に再配置され、より正確な心拍数測定を可能にする大型の緑色LEDも追加された。
その結果として得られるデータのなかで、このウォッチ最大の売りともいえるのが、より高頻度での計測だ。Series 11が比較的静止しているときに5分ごとに心拍数を測定するのに対し、Series 12では動いていても5秒ごとに心拍数を測定できる。また、心拍変動(HRV)も、Series 11の2時間ごとに対して最短5分ごとに測定でき、回復時心拍変動(HRV)と全体的な心拍変動(HRV)という2種類のデータを記録できる。断片的なデータを並べるのではなく、一日のなかで身体がストレス要因にどう反応しているのかを、より継続的に把握できるのは、健康を意識している人にとって大きな意味をもつだろう。これらの数値は「心拍数」アプリや、新しいライブ心拍数コンプリケーションで確認できる。
また、アップルによる総合的なリカバリースコアを待ち望んでいた人にとって、ようやく「準備度スコア」が登場した。新しい「準備度」アプリは、アクティビティや睡眠、そのほかのヘルスケアデータをまとめて、その日にどの程度アクティビティに取り組める状態かを示してくれる。スコアが利用可能になるまでには7晩以上の睡眠データが必要だが、これはウェアラブルが基準値を設定する際に一般的に必要とされる。
それぞれの指標を自分で読み解く代わりに、手軽な目安としてスコアを確認できるのは便利だと思う。一方で、独自のアルゴリズムによって複雑な生理状態を単純化するリカバリースコアには、どうしても懐疑的になってしまう。とはいえ、「準備度スコア」は自分の身体に目を向けるきっかけとして役立つし、アップルがようやくこの機能を追加したことをうれしく思う。
アップルはまた、今年後半に「ヘルスケア」アプリを刷新する予定で、「Longevity(長寿)」タブや、ユーザーの健康データを同年代の人のデータと比較する「Health Age(健康年齢)」などの機能が追加される。なお、刷新版は今年の後半から米国英語で提供され、その後ほかの言語にも展開される予定だ。これらの機能を試せていないが、自分の健康年齢が思いのほかうれしい結果になるのか、それとも見た瞬間に不安になるのか、どちらかになりそうな気がする。
やや「行き届きすぎ」ているところも
Apple Watch Series 12で追加された機能のなかでも、オーディオインテリジェンスは、おそらく最も議論を呼ぶものになるだろう。オーディオインテリジェンスには4つの機能が含まれており、「サウンド認識」やShazamによる自動ミュージック認識、ライブ早戻し、Siri Recapなどがある。
