イデアルのエアサスとアーティシャンスピリッツ! フェンダー加工で着地させる80系
トヨタ「ハリアー(80系)」をベースに、イデアル製のエアサスと20インチの極太ホイールを組み合わせて限界の低さを追求した1台を紹介する。エアロの厚みに頼らず、骨格から生み出される重厚なフォルムが特徴だ。なおこの車両は初夏に開催された東海ハリアーミーティング(THM)で撮影されたもの。ここでは独自のボディケアや自作の内装アレンジなど、オーナーの情熱が注ぎ込まれた手法を詳しく見ていく。
薄型パーツを選択して車高の低さを徹底的に追求する
このハリアーに乗り始めて約2年という“たつや”さん。以前はトヨタ「C-HR」に乗っており、フルエアロに車高調(車高調整式サスペンション)、20インチホイール、大型ウイングを組み合わせていた。現在の車両もオークションで購入したところからスタートし、自身で一からドレスアップの方向性を考えていったという。
その完成した姿をエアロを装着したカスタムショップである「カーショップYSR(大阪府堺市)」の社長が気に入ったことから、イベントへの出展話も持ち上がった。実際にはさまざまな事情で出展には至らなかったものの、最終的にデモカーレベルの完成度に到達したそうだ。
エアロに選んだのは、フロント、サイド、リアをアーティシャンスピリッツで統一した仕様。カーショップYSRが同ブランドを推していたことに加え、他社製を選ぶ人が多いなかで、人と被りにくいことも選択理由になった。もともとシンプル志向で、リップ系(バンパーの下部に装着する薄型のエアロパーツ)が好みだったという“たつや”さん。
「いかにエアロ感がなく、厚みがないエアロで着地させるか」を前提に考え、「『エアロ自体の厚みで着地させるのは自分の中ではナンセンス』」と話す。エアロで低く見せるのではなく、ボディそのものがしっかり落ちている状態を主張しながら、リップ系のエアロを合わせる。それが、このクルマのスタイルの出発点となっている。

限界までアーチを削り込んで極太の深リムを飲み込ませる
スタイルを成立させるうえで重要となったのが、フェンダーの加工だ。純正フェンダーとタイヤハウスをカットし、アーティシャンスピリッツ製のフェンダーも限界まで加工。そうしてようやく、ナチュラルキャンバーのまま狙ったホイールサイズを収めることができたという。
ホイールはVS-XV(3ピース構造のアルミホイール)の20インチ。製作を始めるタイミングで台数限定カラーである「ラスターブロンズゴールド」が登場したため、その場で契約した。黒いボディに合わせるなら、このカラーリングが一番合うと考えており、同モデルを履かせること自体も最初から決めていた。
サイズは20×9.5で、リアのインセット(ホイールの中心線から取り付け面までの距離)は-11。ホイールのリム深さは前が100ミリ、後ろが110ミリ。インセットを合わせるために内側もすべてカットし、純正フェンダーでは収まらない深さ110mmとなるリアホイールを、ボディ側の加工によって成立させている。
一方で、キャンバーは寝かせすぎないことを意識。極端に角度をつけると、もともとの車両イメージから離れてしまうため、基本はナチュラルキャンバーとした。リアにはイデアルのRアッパーアーム、Jラインのキャンバーボルトも投入し、狙った足まわりを作り込んでいる。
エアサス(空気の圧力で車高を調整するサスペンション)にはイデアルのエアマックスを採用。イデアル製品の取り付けはカーショップYSRが得意としていることに加え、壊れにくく実績もあり、信頼度が高いことを理由に選んだという。グレードは最上位で、アルミ製のリモコンも備えている。

樹脂パーツをボディと同色に塗装して統一感を演出する
外装では、メッキや純正樹脂といった細かな部分にも手を加えた。ヘッドライトの下、ドアノブ、ロアグリル下などのメッキ部分はブラッククローム塗装に変更。最初はボディと同色の真っ黒にする予定だったが、完全に黒くすると下位グレードのように見えてしまうため、メッキ感を残しながら上から薄くブラックを入れてトーンを落とした。
「『これで人と被ることはないと思います』」と話すように、単純にブラックアウトするのではなく、純正の質感を残しながら色味を変えているのがポイントだ。
さらに、フロント、サイド、リアにあるザラザラした純正樹脂部分はすべてシボ取り(樹脂表面の凹凸を平滑にする加工)を実施した。ボディカラーと同じブラックパール〈カラー番号:219〉で塗装し、ドアパネルなどの純正部分もシボを取ってボディ同色に仕上げた。
フロントグリルにはPHEV用を採用し、フォグにはヴェレーノ、テールランプにはシェアスタイルをチョイス。リアにはクールのウイングも装着している。ベースとなるリップ系エアロの薄さを生かしながら、各部のパーツを組み合わせてオリジナルのスタイルへと仕上げている。
そして内装は自ら施工。スエード生地を購入し、インパネやメーターまわりを取り外して貼り込んだ。エアコンパネルやナビも外し、純正シルバー部分は水圧転写ではなくラッピングで仕上げている。メーターパネル周辺やエアコンパネルなども取り外してラッピングするなど、見える部分だけでなく細部まで自分の手で仕上げている。

専用の純水器を自宅に導入して極上のツヤを維持する
“たつや”さんのこだわりは、車高やホイールだけではない。洗車にも強い情熱を注いでおり、リルディテールラボ、神風、ラボコスメティカ、ながら洗車、アダムスポリッシュなどのケミカル製品を使用。自宅にはガラコートの純水器(水道水から不純物を取り除く装置)、ケルヒャーの高圧洗浄機、大風量のエアブロウ、本格的なエアコンプレッサー、ダブルアクションのポリッシャー(京都ディーテールのウールバフ使用)まで揃えている。
洗車はリセット洗車をまず手掛け、鉄粉除去、中性シャンプーで洗浄。その後に脱脂と研磨をおこない、再び脱脂シャンプーで洗ってからコーティングを施工する。コーティングにはバレットのFunCruise F8を使い、その上からアダムスポリッシュのスリックスライドやグラフェンブーストを重ね、最後に神風のクイックディテーラーで仕上げるという。
スポンジにはリルディテールラボのクロスカットスポンジを愛用。古くなったものはハサミで切ってホイールミットとして再利用するなど、道具も最後まで無駄なく使う。バケツ等はNUNUファクトリーのものを揃えた。

約2年間乗ってきたハリアーだが、事情があって手放すことになった。「『自分の中では正直不完全燃焼』」と語る“たつや”さん。乗り続けるのであれば、もう一度1からやり直して限界まで作り込むつもりだったという。それでも、現在の仕様には満足している。エアロの厚みを抑え、ボディで低さを主張するという明確なコンセプトを軸に、極太ホイールを収めるためのフェンダー加工、エアサスの導入、徹底した洗車、そしてDIYによる内装まで。自分の理想を細部まで追求した1台だ。
■ スペック
・ベース車両:トヨタ ハリアー(80系)
・エアロパーツ:アーティシャンスピリッツ(フロント/サイド/リア)、クール(ウイング)
・サスペンション:イデアル エアマックス(エアサス)、Rアッパーアーム、Jライン キャンバーボルト
・ホイール:VS-XV 20インチ(フロント20×9.5 インセット2、リア20×9.5 / インセット-11)
・タイヤ:ファイナリスト 225/35
・外装加工:純正樹脂パーツのシボ取り&同色塗装、メッキ部分のブラッククローム塗装
・内装加工:スエード生地のDIY貼り付け、各部ラッピング
