
国内でもロボタクシーの機運が高まりつつある。ロボタクシーの実用化は自動運転に対する社会受容性に大きく影響する可能性が高く、各社の動向に注目が集まるところだ。
FSDの実装を進めるテスラも、サイバーキャブのお披露目イベントを国内各所で開催した。現時点では、日本をはじめとする海外でロボタクシー事業を展開する具体的な計画はないが、近い将来動き始める可能性は極めて高い。
日本ではタクシー営業権が必要なため、仮にテスラのロボタクシーが日本に上陸した場合、タクシー会社買収に動くのか?その場合どのグループを狙うか?……といった憶測も出始め、SNSでは思惑買いを示唆する投稿も散見しているようだ。
自動運転の機運上昇とともに、2026年9月の10大ニュースを振り返っていこう。
■自動運転予算、国交省が「2800倍」要望 来年度向け(2026年9月5日付)
国土交通省物流・自動車局が、来年度予算案に向けた概算要求において「自動運転社会の実現」に対し前年度比2,839.12倍となる18億円を要望した。
前年度の数字が非常に小さかったため前年度比でありえない比率の増額要求となったが、事業推進に力を入れていく方針であることは確かだ。
この2,800倍の事業は自動運転トラック実装関連で、2027年度中に高速道路の一部区間で計画されているレベル4トラック実用化に資するものと思われる。
インフラ面から自律走行を支える自動運転支援道の在り方や、無人トラックと有人トラックの切り替え、輸送拠点の接合……など、事業化にはさまざまな面からもアプローチが必要となる。
民間が担う部分と国が担うべき部分、国が支援すべき部分などいろいろとありそうだが、ひっ迫する物流課題解決に向け前進あるのみといったところだろう。
自動運転予算、国交省が「2800倍」要望 来年度向け
■米ロボタクシー、「いきなりブレーキ」でむち打ち続出(2026年9月7日付)
自動運転サービスにおいて、テストドライバーの負傷事故が相次いでいることが判明したようだ。それも、車両の接触事故ではなく、急ブレーキなどによるむち打ちだ。
Waymoのテストドライバーを管理するTransdevによると、2024年に5件、2025年には11件、計16件の自動運転に起因する労働災害が報告されたという。
Zooxが政府に提出した資料でも、テスト中の負傷が計8件報告されており、そのうち7件は急ブレーキや自動運転システムの突然のシャットダウンによるものだったという。
自動運転システムが何かに反応し、予期せぬタイミングで急ブレーキや急旋回を行うことで、乗員がけがを負う……という事例だ。今まであまり取りざたされることはなかったが、実証時などは意外と多く発生していた可能性もありそうだ。
職務上、テストドライバーは走行中常に周囲の状況を監視しており、歩行者の急な飛び出しや車両のおかしな挙動などを随時確認しているが、全く問題のない状況でいきなり急ブレーキがかかれば、気を抜いていた際はもちろんのこと、多少身構えていたとしてもむち打ちなどに見舞われることはあるだろう。
こうした事象は、完全に解決しなければならない。ドライバーレス走行中、急ブレーキで乗客がけがを負う……といった事案が発生すれば、大きな問題となるためだ。実際、サービス時にこうした事案が発生しているのかどうかも気になるところだ。
米ロボタクシー、「いきなりブレーキ」でむち打ち続出
■トヨタ長男関与のWoven City、ついに「見学解禁」(2026年9月7日付)
Woven Cityがついに見学可能となったようだ。静岡県民限定の予約制だが、ウィーバーズの拡大により実証もはかどりそうだ。
これまで、Woven Cityには関係者以外入所できず、閉鎖的な状況が続いていたが、お膝元である静岡県民を対象とした入居者募集に続き、見学受け入れも開始した。これにより、不特定多数の人が入所可能となり、ウィーバーズとして実証に参加できるようになった。
実証は、やはり多数の参加があってこそフィードバックが有意義なものとなる。インベンターズとしても当然ウィーバーズの拡大はウェルカムだろう。
受け入れ体制が整えば、さらなる拡大を図っていくのも既定路線と思われる。2027年度中に全国からの受け入れが解禁されるのか、要注目だ。
トヨタ長男関与のWoven City、ついに「見学解禁」
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■トヨタWoven City、片山大臣が「支援」検討(2026年9月9日付)
片山さつき財務大臣がWoven Cityを訪問し、同所におけるベンチャー企業らの取り組み支援を模索する意向を示したようだ。
片山氏は、テレビ局の取材に対し、Woven Cityに参加するベンチャーや自治体に資金が足りているかは不明で、日本成長戦略で計画されている官民投資の中で支援できないか―-といった主旨の発言を行った。
Woven Cityを運営するトヨタや参画する大企業などは、足かせとなりかねない補助なしで自由に実証を行うことが望ましいが、資金力が乏しいベンチャーや大学などはそうもいかない。
トヨタという民間が経営するWoven Cityだが、その取り組みは移動を司る未来のモビリティ社会に向けたもので、公益性に富んでいる。
状況に応じ、柔軟に対応・支援可能な体制づくりに期待したいところだ。
トヨタWoven City、片山大臣が「支援」検討
■テスラのロボタクシー「24時間営業」へ(2026年9月11日付)
テスラがロボタクシーの24時間運行を画策しているようだ。同社幹部がXで夜間運行について来月にも開始する旨発信した。
テスラは現在テキサス州やフロリダ州でサービスを提供しており、一部では無人運行を行っている。今月にはサイバーキャブの稼働も開始した。2026年7月までにロボタクシーによるドライバーレス走行は合計38万マイル(約61万km)を超えたという。
運行時間は午前6時から午後10時までだが、FSDの新たな技術により夜間運行も可能になるようだ。
テスラの自律走行技術はまだWaymoに及ばない……と言われるが、E2Eにより急速にその能力を高めていることは間違いない。いつの間にかにWaymoに追い付き、一気に抜き去る……ということも考えられる。同社の動向に引き続き注目したいところだ。
テスラのロボタクシー「24時間営業」へ
■固定資産税、「自動運転向け」なら減税 総務省、5G用設備で要望(2026年9月12日付)
総務省は、令和9年度(2027年度)概算要求において、自動運転向けの遠隔監視に利用する5G設備に対し固定資産税の課税標準の特例措置創設を要望した。
同省は、自動運転関連で「地域交通の確保等に資する自動運転を支える通信インフラの整備・拡充」 に127.3億円を要望するなど、通信面で自動運転社会を推進していく構えだ。
これまで、国内では自動運転バスが主流で、レベル4実用化台数は10数台程度に限られていたが、まもなくロボタクシーや自動運転トラックなどの実装も始まる。台数が大幅上昇していくフェーズを迎え、自律走行に必須となる遠隔監視センターの設置を後押ししていくようだ。
固定資産税、「自動運転向け」なら減税 総務省、5G用設備で要望
■国交省の自動運転担当「テスラの運転経験ナシ」 猪瀬氏が指摘(2026年9月14日付)
日本維新の会に所属する参議院議員の猪瀬直樹氏がテスラのロボタクシー「Cybercab(サイバーキャブ)」に反応し、国土交通省の役人に対し「自動運転タクシーに乗って来い」と指示したという。
猪瀬氏は、国土交通省の自動運転の担当部署に説明に来てもらった際、テスラを運転したことがないと言うためサイバーキャブの動画を見せたが、反応がいまひとつだったようで、冒頭の指示を出した。
詳細・事実関係などは不明だが、自動運転担当職員であるならばロボタクシー関連の情報はしっかり把握して然るべきであり、できるなら体験していてほしいところだ。
日本維新の会は自動運転やライドシェア推進派で知られる。与党入りしたことで、各施策に変化が生じていくのか、今後の動向に注目したいところだ。
国交省の自動運転担当「テスラの運転経験ナシ」 猪瀬氏が指摘
■自動運転技術、大田区の企業が「テスラ級」目前(2026年9月16日付)
Turingの自動運転技術が、テスラのFSDを視界にとらえ始めたようだ。同社CEOの山本氏がSNSで発信した。
2021年の創業時から「We Overtake Tesla(テスラを超える)」を掲げ、一貫してE2E開発を進めてきた同社。先行するテスラの背中をしっかりと目視できるところまで追い上げたようだ。
自動運転向けの世界モデル「Terra」やVLAモデルデータセット「CoVLA Dataset」、専用計算機版「Gaggle Cluster」、そして自動運転AI「TD-1」など次々と開発し、2026年には国内で初めてVLAモデルによるリアルタイム自動運転制御による公道走行を実現した。現在は、大阪、名古屋、広島、福岡でゼロショットの自動運転を行う域に達しているという。
テスラとの正確な差は第三者目線ではわからないが、創業5年で相当な水準に達していることは事実だろう。今後のさらなる躍進に期待したいところだ。
自動運転技術、大田区の企業が「テスラ級」目前
■テスラ、「日本のタクシー会社」を買収か?ロボタクシー展開なら(2026年9月21日付)
FSDの世界展開を加速する米テスラ。日本でも2027年中の実装に注目が集まる。その先に待ち受けているだろう自動運転社会への期待が何より大きい。
北米ではロボタクシー事業に着手しており、同サービスの世界展開も視野に収めているはずだ。日本では、タクシー営業権が必要なため、テスラ単体ではサービスを提供することができず、タクシー事業者などの協力が必須となる。
仮にテスラのロボタクシーが日本に進出する場合、テスラはどのような道を模索するのか。タクシー事業者と提携するのか、あるいは一思いに買収するのか……。
可能性としては、タクシー事業者にロボタクシーを販売する……という戦略がもっともしっくりくる気がする。
欧州などでも、日本に近い規制を設けている国もある。テスラはどのような戦略を採用するのか、要注目だ。
テスラ、「日本のタクシー会社」を買収か?ロボタクシー展開なら
■トヨタが「自動運転投資」に成功!出資先が2000億円上場(2026年9月22日付)
米May Mobilityが、ナスダック市場へSPAC上場する計画を発表した。SPAC統合後の企業評価額は約14億ドル(約2170億円)となる見通しで、2026年内の上場を目指すようだ。
同社はトヨタをはじめ、NTTや伊藤忠商事から出資を受けるなど、数々の日本企業とパートナーシップを組んでいる親日系スタートアップだ。
米国では、アトランタ、エデンプレーリー、グランドラピッズで商用サービスを展開しており、世界有数の配車プラットフォーム4社(Uber、Lyft、Grab、CaoCao)と提携している唯一の自動運転企業という。日本でもNTTモビリティとオンデマンド自動運転パイロットプログラムの長期実証を名古屋市内で実施中だ。
Waymoなどとは異なり、パートナー企業重視のスタンスでサービスを拡大しており、2025年には約1,000万ドルの収益と27%の粗利益率を達成したとしている。
上場を機にどのようにサービスを拡大していくのか。日本国内での展開を含め、要注目の一社だ。
トヨタが「自動運転投資」に成功!出資先が2000億円上場
■【まとめ】しばらくはポジティブな話題が続きそう?
国内外ともにさまざまな動きがあったようだ。2027年はロボタクシーや自動運転トラックの実用化が計画されており、その前段階となる今時期に具体化された事業が明かされることも多い。しばらくはポジティブな話題が尽きず、業界はいっそう盛り上がりを見せそうだ。
10月にはどのような発表がなされるか。どのような取り組みが行われるのか。引き続き自動運転業界の動向に注目していこう。
