そもそも株価指数って何?株式市場の全体の変動を示すものさし
トウシル編集部(以下、トウシル):10月には東証株価指数(TOPIX)の見直しが予定されています。日本を代表する株価指数でもあるのですが、そもそも株価指数とはどのようなものか、基本的な内容から確認していきたいと思います。
JPX総研の飯塚賢・統括課長(以下、飯塚):株価指数は複数の上場企業の株価の変動を集約して一つの数値で示したものです。上場企業の株価はさまざまな要因で動きます。業績動向や資本政策といった個々の企業の要素だけではなく、経済の先行きや金利、為替、政治情勢などによって変動します。

個別銘柄の株価だけでは市場全体がどのように動いているかの把握が容易ではありません。株価指数は市場全体が上がっているのか下がっているのかを把握する「市場のものさし」です。株価指数にはさまざまな切り口があります。目的に応じた指数を利用することで市場全体やどの分野が上がっているか、または下がっているかを確認できます。
トウシル:日本には日本経済新聞社が算出する日経平均株価もありますし、米国ではダウ工業株30種平均やS&P500種指数、ナスダック総合指数などさまざまな種類があります。TOPIXが示す特徴と、他にはどのような指数があるのかをお聞かせください
飯塚:TOPIXは日本株市場の全体感を示す指数です。JPX総研で算出している指数には多くの種類があります。例えば規模の大きい大型株の動向を示す指数や、逆に小型株の指数、企業の資産価値などからして割安と判断される銘柄群で構成したバリュー指数、今後の成長性が期待される銘柄群で構成したグロース指数などもあります。
TOPIXの歴史と三つの役割、時代に合わせた進化も
トウシル:TOPIXはいつから算出されているのでしょうか。
飯塚:TOPIXは1968年1月4日を基準日として、1969年7月1日に算出を開始した50年以上の歴史を持つ株価指数です。実はTOPIXの算出開始よりも前に「東証修正平均株価」を算出していました。現在の日経平均株価のルーツになっている指数です。
トウシル:TOPIXは算出を始めた当初から機械で算出しているのでしょうか。
飯塚:機械式の計算が普及したからこそできたのがTOPIXです。市場全体の時価総額を反映した指数の需要が増えたことに加え、計算機能の進展によって株価と企業が発行している株数を掛け合わせた時価総額型の指数として生まれました。
トウシル:現在は市場区分の見直しによって東京証券取引所の上場市場がプライム、スタンダード、グロース市場に再編されていますが、それ以前はTOPIX=東証一部の全銘柄で構成される指数となっていたかと思います。
飯塚:確かにかつてTOPIXは東証市場第一部の動向を示す指数でした。ただし、市場環境の変化に合わせて指数として必要な修正をしています。2005年からは「浮動株」という仕組みを段階的に導入しています。
浮動株は株式市場で実際に流通する可能性がある株式を指します。逆に、上場企業が保有している自己株式や企業の創業家、親会社など大株主が保有している株式が「固定株」になります。TOPIXの連動運用が進む中、浮動株は実際の運用がしやすいように市場での流通の実態と合わせる目的で導入しました。
トウシル:そのTOPIXには三つの役割があるといわれています。
飯塚:一つ目は市場全体や日本経済の変化を捉える「経済の温度計」としての役割、二つ目は運用成果を市場平均と比較する「運用評価のものさし」としての役割、三つ目は上場投資信託(ETF)、投資信託などが連動する「投資対象」としての役割となります。
一つ目の「経済の温度計としての役割」は内閣府が公表する景気動向指数の先行指標に採用され、経済・統計指標として重要な役割を担っています。

二つ目の「運用評価のものさし」ですが、例えば投資をして10%以上の利益を出したとしても相場全体が20%上昇していた場合、投資がうまくいっていたとは言い難い状況です。機関投資家が運用成果を評価する際のものさしを「ベンチマーク」と言います。TOPIXは日本株のベンチマークとして幅広く活用されています。
三つ目の「投資対象」について、TOPIXに連動する資産は、2026年6月末時点で約160兆円と推計しています。世界の多くの投資家に日本株市場全体への投資のために利用されています。年金という長期で運用する投資家にとっては日本株運用の対象として、先物・デリバティブという金融派生商品ではポートフォリオのヘッジのためにも利用されています。

指数への影響、日経平均は金額の大きい値がさ株、TOPIXは時価総額が大きい銘柄
トウシル:指数としての特徴を考えていくと、日経平均は株価で捉えた指数で、値がさといわれる1株当たりの金額が大きい銘柄に左右されやすく、225銘柄といういわば日本代表の企業群で構成された指数です。TOPIXはどのような銘柄に左右されやすいのでしょうか。

飯塚:TOPIXは時価総額加重型の株価指数です。各銘柄の株価に流通する株式を掛けた時価総額を基にそれぞれの銘柄のウエート(指数に占める割合)が決まります。そのため時価総額の大きい銘柄ほどTOPIXという指数の動きに与える影響も大きくなります。
日経平均と比べた算出方法の違いは構成銘柄のウエートである指数に占める割合の差としても示されます。例えば、2026年7月末時点でTOPIXにおいて構成銘柄の上位10社が指数全体に占める割合は23%です。
トウシル:一方、同時点で日経平均の中で上位10社が占める割合は48%になっています。上位の銘柄の名前を確認すると足元で注目が集まる半導体関連の銘柄が非常に大きな割合を占めています。

トウシル:業種分布や海外の株価指数との違いを見ておきたいと思います。日経平均の場合は半導体関連の割合が大きいため、「電気・精密」の割合が40%となっています。一方のTOPIXは?
飯塚:TOPIXも「電気・精密」の割合が22%と最も割合の高い業種ですが、次いで「銀行」と「情報通信・サービス」が12%程度、「卸売業」が7%、「自動車」が5%と続きます。時価総額を基準に組み入れていますので日本の株式市場の業種構成のほとんどを捉える形となっているのが特徴です。

トウシル:海外の代表的な指数とも見比べてみたいと思います。TOPIXと同様に時価総額加重型で算出するS&P500の上位10社が占める比率は38%、対してNYダウは上位10社の比率が57%となっています。

飯塚:指数の算出方法によって違いがありますし、それぞれの指数には特徴があります。今回、TOPIXを中心にご説明しましたが、指数は目的に応じて使い分けていくのがよいと考えています。
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