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    町田樹に聞くフィギュアスケート2026-2027の展望

    町田樹に聞くフィギュアスケート2026-2027の展望(2)注目の選手編

    松原 孝臣

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    2026.10.2(金)

    芸術文化 スポーツ

    2026年9月6日、木下グループ杯、女子FSで演技を終えた島田麻央(左)と中井亜美 写真/西村尚己/アフロスポーツ

    フィギュアスケートの2026-2027シーズンが開幕している。

    ルール改正などの動きもある中、どのようなシーズンになるのか。

    研究者として、振付家として、競技者時代と変わらず真摯かつ誠実な姿勢とともに取り組み、さらには他の領域、例えば大会の解説者でもその一貫した姿勢で好評を博している町田樹を訪ねた。

    今季は「嵐の前の静けさ」

     2030年のフランスアルプスオリンピックへの4年が始まり、ルール改正などもある中、まもなくグランプリシリーズも始まる2026-2027シーズンは、もう一つ、大きな動きがあった。ロシアのウクライナ侵攻により出場を除外されていたロシアとベラルーシの選手が、中立選手としての個人資格を得られれば「AIN」(Individual Neutral Athleteの略)として出場が認められたことだ。

     町田樹は語る。

    「ロシア、ウクライナ間の関係性が変わらない状況の中でAINとしてロシア、ベラルーシの選手が個人資格として出場できるというのはなかなか複雑な思いがありますけれども、おそらくそれは当事国でない人だけでなく、当事国の選手にとってもそうだと思います。ウクライナの選手は当然のことながら、ロシア、ベラルーシの選手も決してポジティブな気持ちだけで舞台に立てるはずがないんですよね。こんな状況で自分たちが舞台に立っていいのかという葛藤だとか複雑な気持ちはあると思います。それが分かるだけに、何よりもまず一刻も早くロシアとウクライナ間の和平を祈る次第です」

     さまざまな背景がある中で、参戦することが確定。木下グループ杯でもすべての種目に参戦し、存在感を示した。

    「おそらくチャレンジャーシリーズなどで実績を重ねてポイントを獲得し、世界ランクやシーズンベストを高めていくと、来季から徐々にグランプリシリーズにも参戦してくることが予想されます。そうなってくると、間違いなく世界のフィギュアスケートの戦況というのは大きく変わってくるはずです。そういう意味では、今季のグランプリシリーズはまだ、嵐の前の静けさと言える状況なのかもしれません(※9月15日に今季のグランプリシリーズの男子シングルとペアのカテゴリにおいて、AINの選手がそれぞれ1名/1組ずつ出場することが決定した)。とはいえ、現状においてすでに数多くの優秀な選手がいますから、熾烈な戦いになることが予想されます」

    女子選手の注目は島田、中井

     その中で、シングルの日本男女をどう予想するのか。まず女子について語る。

    「日本選手はどの選手も注目しているのですが、やはり島田麻央選手、中井亜美選手の名前を挙げるべきだと思っています」

     島田は昨シーズンまではジュニアのカテゴリーに属していた選手。ジュニアの4シーズンは無敗で世界ジュニア選手権4連覇を含む39連勝を飾っている。

     島田と同年生まれながら誕生日の違いでひと足早く昨シーズンにシニアデビューした中井は、ミラノ・コルティナオリンピックで銅メダルを獲得するなど鮮烈な活躍を見せた。

    「島田選手はずいぶん前からシニアのトップレベルの選手と張り合える、渡り合える実力を持ちながら、年齢の規定でもってジュニアにとどまらざるを得なかった。その中で満を持して今季シニアデビューです」

     シニアでの初の国際大会となった木下グループ杯では圧巻の滑りで優勝を果たした。

    「フリーでは見事トリプルアクセルと4回転トウループの両方を決めて優勝しました。得点は231.32点、これはすごいです。驚異的な数字ですね。初戦からエンジン全開ですけれども、大いに期待しています」

     すると、プリントアウトした紙を目の前に差し出す。そこには各大会の順位が記されている。

    「グランプリシリーズに関しては、私はいつもシミュレーションを行っています。グランプリシリーズの各大会において選手たちが昨シーズンのシーズンベストを発揮したとしたら、どんな成績になるのか、どんな戦況になるのか、ということをデータに基づいて想定してみます」

     そして「あくまでもシミュレーションであって、想定通りにいくとは限らないですけど」と前置きした上で、言葉を続ける。

    「女子に関しては、すべての試合において日本選手が金メダルを獲得する、というシミュレーション結果になりました。かつ、多くの大会で複数名の選手が表彰台乗りを果たすことも可能だということもデータに表れています。これらのシミュレーションは、日本選手のレベルの高さを如実に物語っています。中井選手が昨シーズン、センセーショナルなシニアデビューを果たし、今季、島田選手がその後を追う形ですが、彼女たち以外にも多くの日本の選手が大活躍することが期待できます」

     6大会が終わると、グランプリファイナルに進むことになる。

    「この点についてもシミュレーションでは、グランプリファイナル6人中5人が日本選手となっています。世界には日本勢にとって非常に手強いライバルとなる選手がたくさんいますので、これはさすがにうまくいき過ぎているとは思いますが、兎にも角にも島田選手や中井選手ら新進気鋭の選手と、力のあるベテラン勢がどのような戦いを繰り広げてくれるのか、とても楽しみです」

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