町田樹に聞くフィギュアスケート2026-2027の展望
町田樹に聞くフィギュアスケート2026-2027の展望(3)日本のカップル競技編
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2026.10.3(土)
芸術文化 スポーツ
10年前には予想できなかった
ペア、アイスダンスに共通する課題はある。
「基本的にカップル競技にとって、国内の練習環境は決して良いとは言えません。日本はリンクの数が限られていて、その限られた貸切の枠もほとんどシングルの選手で埋まってしまっている状況です。シングルとカップル競技の選手たちが同時に練習することは、できなくもないですが、危険ということもあって基本的には推奨されない。
現在りくりゅうが木下グループとともに掲げるアカデミー構想などが実現すれば、日本のカップル競技の環境は大幅に向上するでしょう。京都の木下アカデミーなど、すでにアカデミー化されているような既存の拠点も、カップル競技の強化に力を入れていますし、日本におけるカップル競技の強化体制や環境は向上していくものと思われます」
日本スケート連盟も育成・強化への動きを具体化している。9月6日、竹内洋輔フィギュア強化部長がナショナルトレーニングセンター(関空アイスアリーナ)でペアとアイスダンスの育成プログラムを開始すると発表。ペアの指導は2018年平昌オリンピックのペア金メダリストであるブルーノ・マソが務めることが決まり、2030年3月までの契約を結んだという。日本に住み、指導にあたることになる。また、アイスダンスのコーチは調整中だとした。
「ペアに関しては、シングルの技術がどうしても必要なので、シングルのキャリアからペアに転向するのは自然なことだと思います。ただ、ヨーロッパも北米も、アイスダンサーに関しては子どもの頃からアイスダンサーとして育てます。今、世界でトップを張っている人たちはほとんどがそうなのですが、日本では今のところ、そうしたキャリアを歩むカップルはまれです。
アイスダンスこそ、最初からアイスダンスのキャリアを歩むケーススタディがより積み重なっていくといいのですが、日本は環境があまり良くないだけに、そうしたキャリア形成が非常に難しいというのが現状です。ただ、りくりゅうペアの活躍もあって、アカデミーや日本スケート連盟を筆頭に、日本スケート界のカップル競技に対する見方は確実に変わりましたから、これからカップル競技をさらに振興していくことのできる制度や環境が整えられることを期待しています」
課題もあるが、ペアやアイスダンスへの関心が高まり、種目を転向して挑戦する実績ある選手が次々に現れているのは事実だ。
「このシチュエーションというのは、10年前には予想できなかったですよね。アイスダンスは、全日本選手権ではきっと2グループになります」
11月に行われるNHK杯のアイスダンスには日本から3つの組が出る。これも史上最多となる。変わりつつある、変わっていることこそ、重要だ。
シングル、ペア、アイスダンスそれぞれに、大きな可能性を秘めつつ、新たなスタートを切った今、彼らの戦いを見逃すことはできない。
*JBpressでの連載「フィギュアスケートを支える人々」(2024年8月30日公開までの一部)と、書き下ろしを含む電子書籍『日本のフィギュアスケート史 オリンピックを中心に辿る100年』(松原孝臣著/日本ビジネスプレス刊)が発売中です。
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冬季オリンピックが開催されるたびに、日本でも花形競技の一つとして存在感を高めてきたフィギュアスケート。日本人が世界のトップで戦うのが当たり前になっている現在、そこに至るまでには、長い年月にわたる、多くの人々の努力があった——。
日本人がフィギュアスケート競技で初めて出場した1932年レークプラシッド大会から2022年北京大会までを振り返るとともに、選手たちを支えたプロフェッショナルへの取材を掲載。
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