世界100か国で愛されるプレミアムテキーラブランド「クラセアスール」が9月、初の日本限定コレクション「The Dance of Cultures 鶴の舞」をリリースした。蒸留長ヴィリディアナ・ティノコ氏も来日し開催されたローンチパーティの様子とともに、ブランドが果たした革新と世界のシーンを紹介しよう。
The Dance of Cultures 鶴の舞
容量:1000ml
価格:235,000円(税抜)
販売:直営リテールストア 公式ブティック「クラセアスール ブティック ラ・ティエラ 東京」
(東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイス センタープラザB1)
乾杯はシャンパーニュ、それともプレミアムテキーラ?
クラフトジンを筆頭に、世界各地で造られるクラフトスピリッツがクリエイティブなバーやファインダイニングのシーンで脚光を浴びるようになって久しい。とりわけ、セレブリティの社交ツールとして定着しているのがプレミアムテキーラだ。北米を中心にガラパーティーなどのシーンでは「シャンパーニュではなくプレミアムテキーラで乾杯」というオプションがスタンダードに。その流れを確かにしてきたのが、ウルトラ・プレミアムテキーラブランド「クラセアスール」。日本には2020年に上陸。繊細な絵付けや装飾が施された優美な形状のデキャンタ(ボトル)を記憶している人は多いだろう。
アイテムごとに意匠が異なるアートピースのようなデキャンタが美しい
2026年は、日本限定コレクションの発表に先駆けてブランドの旗艦施設「La Hacienda(ラ・アシエンダ)」オープンのニュースが大きな話題を呼んだ。メキシコ第二の都市であるグアダラハラから車で約1時間、「クラセアスール」の創業の地であるハリスコ州ロス・アルトス地区に構えた、この拠点の面積は、東京ドーム4個分(50エーカー)にも及ぶ。テキーラの原料となるアガベやデキャンタの材料となる粘土はもちろん、建物の建材もすべてメキシコ産の火山岩や敷地由来の土が用いられており、建築プロジェクトとしても注目されている。
「La Hacienda(ラ・アシエンダ)」
文化的ランドマークとしての旗艦施設のあり方
来訪者は敷地内を巡る旅(ジャーニー)を通じ、クラセアスールの世界観をこれまでにない形で体験できる。テキーラそのものの製造工程に加え、手作業で行われるデキャンタ製造の場面も見学でき、限定品を販売するブティックやレストランも併設。アガベ畑を望むレストランで、メキシコの伝統料理からのインスピレーションをもとに創作されたメニューを「クラセアスール」とともに(いつか体験してみたい!)。まさにシャンパーニュやフランチャコルタのトップメゾンの拠点を想起させるが、ブランドが目指すのは単なる観光地やホスピタリティ施設に留まらない、メキシコへの敬意の表現と還元を目的とする“精神的な故郷”、文化的ランドマークとして機能することだ。

「クラセアスール」は1997年の創業時から、テキーラやメスカルを通じ「メキシコという土地の美しさと伝統の真価を伝えるラグジュアリーブランド」として歩みを進めてきた。テキーラそのもののクオリティを追及するのはもちろんのこと、それにとどまらない価値を創出することをブランドの使命としてきたわけで、そう考えると「La Hacienda(ラ・アシエンダ)」のあり様も理解できる。アートピースともいうべきデキャンタには、メキシコ各地に根付く多様な文化表現が内包されていて、長い歴史の中で受け継がれてきた芸術的知識を習得した限られた職人の、高度な技術と創造力で生み出されるものだ。ちなみに工房で働く職人には女性も多く、女性の就労や経済的な自立を支えているのも特筆すべき点だ。
クリエイティブディレクターとしてブランドの指揮を執るソフィア・オルティス・ガルシア氏
効率とは真逆の造り、調和が生む“交響曲”のような個性
1974年からメキシコの原産地呼称として保護されるテキーラは、ブルーアガベのみで造られる。「クラセアスール」の創業地であるハリスコ州ロス・アルトス地区は、テキーラ発祥の地でもあり、高い標高、土壌、気候条件などのテロワールがアガベにユニークな個性をもたらす。「クラセアスール」のテキーラ造りは、アガベを通常より長く約6年の時間をかけて栽培するところから始まる。丁寧に手作業で収穫した芯を、伝統的な石窯のオーブンで72時間加熱し、原料に含まれる自然由来の糖分を抽出。長時間の発酵でアロマを形成し、銅製のポットスチルで2回蒸留することで完成するテキーラプラタを、レポサド、アニェホなどのタイプを含め、完成アイテムの表現に応じ熟成させるのだ。
蒸留長のヴィリディアナ・ティノコ氏。テキーラの製造プロセスに関する修士号を取得し、メキシコでも数少ないテキーラの女性蒸留長として活躍する
アガベの育成から数えると長いもので11年もの年月を要する「クラセアスール」のテキーラは、一切の効率性を廃し、味わいのクオリティと伝統の継承を突き詰めている。「ウルトラ・プレミアムテキーラ」と呼ばれる所以だ。ちなみにマスターディスティラーも女性が務めている。アガベスピリッツの製造工程に多方面からの知識を有し、かつ革新的な感性、創造性を持つヴィリディアナ・ティノコ氏。自社開発酵母の研究にも携わり、それらを含めたテキーラ製造のプロセスを「さまざまな要素を調和させてひとつの個性を生み出す“交響曲”のようなもの」と表現している。
