2024年11月に公開された映画『正体』、2025年6月に公開された映画『国宝』、そして2025年1月から12月まで放送された大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』。
およそ2年の間にエンターテインメントの世界で大きく話題を呼んだこれらの作品に共通しているのは、「横浜流星さんが主演もしくは助演している」ということ、そして「長い年月をかけて準備され生み出された」ということだ。横浜さんは『正体』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝き、『国宝』では同賞の優秀助演男優賞を受賞している。
そしてふたたび横浜流星さんが覚悟を持って挑む作品が公開される。それが『正体』でもタッグを組んだ藤井直人監督による映画『汝、星のごとく』(10月9日公開/広瀬すずさんとのW主演)だ。
横浜さんインタビュー前編では、藤井監督をして「この作品は、主演の横浜流星の熱い想いから実現した映画」と言わしめたその覚悟を聞いた。
本作は2023年の本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの小説を実写化したもの。映画化のオファーは30本前後だったが、横浜さんの手紙が凪良さんの背中を押したのだという。

後編では、多くのクリエイターから信頼されるほど常に全力投球な姿勢の源泉を探る。
痩せて増やしてまた痩せた
横浜さんは映画『汝、星のごとく』の中で、主人公青埜櫂の17歳から15年間を演じた。病気になるシーンでは、そのやつれ方に息をのむ。『正体』では鏑木慶一として顔を変えて別人のようになりながら逃げるさまをリアルに演じ、『国宝』では梨園の御曹司である大垣俊介として歌舞伎の舞台に立ち、『べらぼう』では吉原を舞台にエンターテインメントを生み出すキップのいい江戸っ子・蔦屋重三郎が病に侵される様子を、江戸っ子らしくも切なく演じた。最近の作品だけを振り返っても、芝居にむかって常に全力なのだなと感じさせられる。
横浜「全力だと思います。ただ全力ではあるけど、自分にはそれしか方法がないだけ。うまく手を抜くというのが、方法としてわからないんです(笑)」
この映画では、病気になるシーンがあり、48キロくらいまで体重を落として挑んだという。そういえば『べらぼう』でも蔦屋重三郎が病気になってかなり痩せてもいた。

増減は簡単にできることではないと思うが、痩せている役が続いたのでまだ楽だったのだろうか……、と安易に思っていたところが、想像を超えた答えが返ってきた。
横浜「直前までやっていた『べらぼう』でも痩せたんですけど、この現場では東京の最初のパートがあったので、すぐに体重を戻して、それからまた落として挑みました。現実を考えると、もっと落とせるなら落としたかったんですけど。生半可な気持ちではやりたくなかったから」

痩せて、また増やして、そして痩せる……。むしろそちらのほうが大変ではないか。
そこには横浜さんの「空手」の経験が生きたのだという。横浜さんが中学3年生のときに空手の世界チャンピオンになったというのは有名な話だ。
横浜「格闘家の方は特にそうだと思うんですけど、自分は階級制のある空手をやっていたので、コントロールについてなんとなく知識はあったんです。ボクシングとかもそうですけれど、空手に触れていなかったら、体重のコントロールは難しかったと思います。
痩せるといってもお芝居をする必要があるので、健康も維持しなければならない。空手をやっていなかったら、断食しようとしたかもしれません。でもそのやり方は本当によくない。ご飯を食べながら、健康を維持しながら痩せないといけないんです。ちなみに今はドラマがあるので、48キロから65キロぐらいまで戻しています」
