名古屋のマンツーマンディフェンスに対して、東京がどう上回っていくか。試合はまさにそんな様相を呈した展開となった。
序盤はアグレッシブなスタイルを見せた東京のペース。奪った瞬間から複数選手が連動したワンタッチプレーで攻撃を仕掛け、アレクサンダー ショルツ選手が最終ラインからタイミング良く持ち上がってスルーパスを供給するなど厚みのある攻撃を見せた。
だが、その後は東京のポゼッションに対して名古屋が球際で強さを見せ、前線で効果的なパスワークを展開することができない時間が続く。前半は優勢に進めながら決定機を作られるシーンもありつつ、スコアレスで折り返した。
組織として崩し切れない時間が続いていた後半、背番号33の強烈な個人技がスタジアムを沸かせる。後半12分、自陣ペナルティエリア付近からロングレンジのドリブルで中央を持ち上がると、相手選手を引き連れながら右方向へ流れ、対角線上のコースが空いた瞬間を見逃さずに右足でコースを突いてゴール! 昨年10月以来となる一発で東京が先制点を奪った。
後半23分には高宇洋選手が2枚目のイエローカードをもらって退場処分となってしまったが、数的不利な状況でも専守防衛になることなく、しっかりとプレスを仕掛けて丁寧な動き直しでボールをつないで主導権を握っていく。
5分間の後半アディショナルタイムも気迫を前面に押し出し、気力と集中力でしのぎ切ってタイムアップ。しっかりと勝ちきる強さを見せ、クリーンシートでリーグ戦3連勝を記録した。
インターナショナルマッチウィークを挟み、約3週間ぶりに2026/27明治安田J1リーグが再開する。チームはこの期間、二つのカップ戦で3回戦に勝利。中断前のリーグ戦を含めて公式戦10戦無敗、5試合連続無失点での5連勝という結果を残している点は特筆すべきところだろう。
今週水曜に行われた天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会3回戦の湘南ベルマーレ戦から過密日程での8連戦がスタートした。この試合では青赤加入後の初先発となったダニ ゴメス選手がゴールを決め、鈴木楓選手が公式戦初スタメンを飾るなど、フレッシュなメンバーが勝利に貢献。また、チームを勢い付けたという部分では、仲川輝人選手が約1年2か月ぶりにネットを揺らしたことは見逃せない。チームのために走り、勝利に貢献するためにエゴを出さずに戦い続けてきた仲川選手の一撃には、得点差が開いた状況にもかかわらず選手、スタッフ、そしてファン・サポーターが大きな歓喜を分かち合った。また一つ、青赤ファミリーの団結力を強めた瞬間になったと言っていい。
今節の浦和レッズ戦は湘南戦から中2日で行われることもあり、短時間でのリカバリーと戦術の落とし込みが求められることになる。ただし、これまで積み上げてきたスタイルをベースに戦っていける手応えは十分。無失点での連勝が続いていることがフォーカスされるが、センターバックの稲村隼翔選手は「攻撃が最大の防御という部分を体現できているので、それを続けていきたい。もちろん個人的には(無失点に)こだわっていますけど、失点に対して敏感になり過ぎても良くないので、チームとして何点とれるかにフォーカスしたい」と力蔵トーキョーが積み上げてきたサッカーを継続しながら結果を出していくことを誓う。
決められなければ決めるまで打つ。組織で崩し切れなければ個で打ち破る。ポゼッションで難しければシンプルに陥れる。ハーフコートに押し込み、奪われても即時奪回することで攻め続ける。指揮官がめざしてきたスタイルがチームに浸透し、相手の出方に対応しながら結果に結びつける力を手にしつつある。自らに矢印を向けながら高みをめざすことができている証だ。
対する浦和レッズは今シーズンから新たに曺貴裁監督が就任。開幕3連敗というスタートだったが、松橋力蔵監督が浦和のサッカーを「変幻自在」と称したように、前線からのハードワークと縦への速攻にポゼッションを加えて復調。サイドに強烈なアタッカーを擁し、4バックと3バックを併用しながら巻き返しに成功し、3連敗のあとは公式戦7勝1敗という結果を残している。特にシーズン途中に獲得した瀬古樹選手がボランチとして鋭いアタックの起点となっており、中盤の攻防が今節の勝負を分ける一つのポイントになりそうだ。
常盤亨太選手は「自分の売りでもある強度を出しながらですけど」と前置きしつつ、「球際の勝負に持っていくよりも一つ先に、イーブンにならないように素早い予測や反応でセカンドボールを拾いたい。そこからゲームを落ち着かせるのか、速いサッカーをするのかもうまくコントロールしたい」とコメント。肉弾戦の前にある頭脳戦で上回ることで試合を優位に運ぼうと試みようとしている。
連戦であることを意識し過ぎることなく、選手個々が目の前の試合に全力を尽くして勝利をつかみたい。臨機応変に戦い、決定力を高め、一つずつ勝ち進んでいくことで自らの未来を切り拓いていく。そして味の素スタジアムを埋めるであろう大観衆に、青赤がさらなる高みをめざしていく覚悟を見せつけるようなゲームとしたい。

Q、中2日という過密日程でのゲームとなりますが、チームへどのような落とし込みを行ってきましたか。
A、普段と変わりません。準備期間としてはコンパクトではありますが、変わらずすべてのものに対して一応確認はしています。
Q、連戦に向けてチームの捉え方を教えてください。
A、記者会見でも少しお話しさせてもらったのですが、天皇杯だけとか、次に進むためにただ勝つことが欲しいということではなく、自分たちの中で「本当に必要なんだ」と捉えることが大事だと思っています。それは8連戦と言わず、自分たちの目標をどう達成していくかという上で、ちょっとした考え方の違いだと思うんです。「欲しい」ではなく、自分たちが必要だと思ってやるのかやらないのかというところです。それを手に入れるためには、現在のチームの状況であったり、自分がスタメンで出る、サブからスタートする、ゲームチェンジャーとしてスタートするというところなど、色々なことを考えられるなかで頭の中を切り替えてもらいたいなと思っています。それを選手たちがしっかりピッチで表現してくれたので、これを続けていきたいなと思っています。
Q、2日前の湘南ベルマーレ戦は新戦力の活躍を含め、チームの底上げを感じられるゲームになったのではないでしょうか。
A、非常に嬉しいですし、何よりみんなが結果を出して良い表情になってくれる。そういう目の輝きが見られることが素晴らしいと思っています。何でもそうだと思うのですが、最後は周囲の人たちの目の輝きであったり、本人の目の輝きが本当の意味での成功なのではないのかなと思うところもあります。そういった意味では、成功とまでは言わないですが、彼らがそうやってイキイキとした表情で取り組んでくれていることは、間違いなく良い方向に作用するかなと思っています。
Q、記者会見でも触れていた仲川輝人選手のゴールは、本人やファン・サポーターにとっても前に進むきっかけになったのではないでしょうか。
A、それは彼のこれまでの貢献度、ここ単年ではなくFC東京にきてからの貢献度、あるいはJリーグ全体での貢献度も含めて加味されているからだと思います。本当に本人はそういった部分を表情にも出さず、黙々とやり続けてくれている一人ですので、本当に嬉しかったですね。
Q、短い準備期間で、これまで積み上げてきたものを自分たちに矢印を向けて発揮していく手応えについて教えてください。
A、もちろんできる部分とできない部分がありますし、あまり深掘りし過ぎても、多くのことに目が向き過ぎて一つのものに集中しづらくなってしまうと思っています。ですから、何にポイントを置くかという点においては、今日のセッションでも攻撃、守備、セットプレーのすべてにおいて、日々の練習の中でも選手たちのコンディションやチームの現状を加味しながらコントロールできていますので、しっかりとそういった部分も積み上げられてきている手応えはあります。
Q、3連敗から巻き返してきた浦和レッズの印象について教えてください。
A、すごく変幻自在で、軸がしっかりしていますよね。監督の色がしっかり出ていますし、そういう意味では非常に素晴らしいチームだなと思っています。
Q、スピードのある選手を配置してくる相手に対し、FC東京として自分たちの良さを出していく具体的なポイントを教えてください。
A、もちろん相手をしっかり理解しておきながら、相手の流れの時にはしっかりと付き合わなければいけないですが、自分たちの流れのなかでは相手に付き合わないことが大事になってくると思っています。まずは彼らのストロングをへし折っていきたいですね。相手は非常にアグレッシブで迷いがないので、そこを迷わせたり逆をついたりすることは、相手の連動性を奪う一つのポイントになると思います。また、ボールを奪ってからの速いカウンターに関しても、相手が作っている大きなスペースを我々が使い始めれば、彼らも躊躇し始めるはずです。そういったちょっとした迷いやズレをどんどん作っていくことが大事だと思っています。
Q、前節のように早い時間帯で先制し、相手を引き込んだ上で2点目を狙うような展開もひとつのポイントになりますか。
A、ゲームリーディングと言いますか、我々の良さというのはJリーグ全体でも言える部分があるのかなと思っています。もちろん各チームで色々とトライしていると思いますが、リードしているなかで安易に相手にボールを渡してしまったりだとか、まだ前半の早い時間であれば2点目を狙ってどんどん仕掛けていくということも当然大事です。我々もそこをどう出していくかというところと、それをどう引き出させるかという両方を、ゲームの流れをしっかり読みながらやっていくことが必要です。今はボールを動かしながら相手を釣り出しておいて、できたスペースをうまく使っていくだとか、相手にボールを持たれていたらしっかり引き込んで、そこでしっかりブロックを張って速いカウンターを仕掛ける。そういうものを設計していくというのは効率的ですし、相手にとっては裏を読ませるというか、そういうところにもつながる部分ではあるかなと思うので、もっと精度の高いものにはしていきたいなと思っています。
常盤亨太選手

Q、トーナメント形式の試合はありましたが、ここからリーグ戦が再開します。どのような思いで臨みますか。
A、松橋力蔵監督からもいつも「目の前の敵が最強の敵」と言われていますし、先日も8連戦が始まるタイミングでも、8連戦を意識するのではなく、やはり一戦一戦という話もあったので、しっかり一つひとつ戦っていくことが重要だと思います。
Q、開幕3連敗から巻き返してきている浦和レッズの印象について教えてください。
A、もともと個の力がある選手も多いですし、そこに新しい監督のやりたいことがマッチしてきているなと思っています。そこにプラスして、海外でプレーしていた日本人選手を補強してきているので、本当に全体的に良い方に働いていると思います。今までの浦和よりも監督の色がより濃くなって、縦に速いサッカーでなおかつ堅いといったところがあると思うので、本当にだんだん仕上がってきているなと思っています。
Q、中盤での攻防が試合の大きなポイントになると思いますが、ご自身のポジションでの役割や意気込みを教えてください。
A、そこの強度というところが自分の売りなので、強度を出しながらも、全部球際とかに持っていくよりも、セカンドボールなど相手とイーブンになる前の、1個前でも自分は勝負ができますし、勝てると思っています。そういったところでうまくゲームを落ち着かせるのか、速いサッカーをするのかというところもコントロールしたいです。
Q、相手とイーブンになる前に勝つためのポイントは何が重要になりますか。
A、自分は予測の選手なので、本当に感覚的なところもあります。この強さのボールで相手がこの身体の向きだったらここに落ちるというのが瞬時に予測できるので、そこで勝負したいです。
Q、相手が3枚や4枚で可変してくる可能性について、どのように対応して戦いたいですか。
A、3枚でも4枚でも結局はやるべきことは変わらなくて、自分たちが保持して戦いたいですし、守備のところでもやはり優先順位はゴールを守ることです。中央を閉じて外に追い出すこと、あとはハイプレスをかけたいというところは変わらないです。誰がどこで出るかは分からないですが、普遍的なところでしっかりと全員が理解していれば大丈夫なのかなと思っています。ただ一つ挙げるとするなら、3バックの相手に対して自分たちのビルドアップを発揮するところが自分たちの伸びしろだなと感じているので、そこをうまく発揮したいなと思います。
石原広教選手

Q、東京に移籍して少し時間が経ちましたが、現在のチームの完成度やご自身の立ち位置についてどのように感じていますか。
A、チームとしては完成度がかなり高くなってきていると感じています。これまでずっと連続で先制点をとり続けていて、失点数もかなり少ないです。開幕戦のFC町田ゼルビア戦で逆転されてしまいましたが、それ以外の試合ではほとんど主導権を握りながら先制点をとって勝つ試合がたくさんできています。もちろんもったいない試合もありましたが、それでもこれだけ多くの試合で自分たちのやりたいことをしっかり出せているのは、それぞれが自信を持つべきところだと思っています。
Q、スタメンや途中出場、左右のサイドバックなど様々なシチュエーションで出場しているなかで、ご自身の手応えや今後の課題について教えてください。
A、このチームでのサイドバックは攻撃の部分をすごく求められると思っています。今はまだ数字を残せていないですし、攻撃での貢献はまだまだ足りないと思っているので、そこはもっともっとやらなければいけないところです。ただ、どういう状況やポジションで使われた時も、しっかり対応できていると思っているので、あとは数字面での貢献度を上げていきたいと思っています。
Q、室屋成選手や長友佑都選手らレベルの高いライバルたちとのポジション争いや関係性についてどのように感じていますか。
A、すごく良い関係性をそれぞれ築けていると思っています。みんながそれぞれ結果を残して次の試合に出るということは開幕からやってきたところですし、今サイドバックに怪我人が多いなかでも試合に出ることへの責任感はあります。手抜きは絶対にできませんし、自分の武器を存分に出さないと復帰してきた時にポジションをとられてしまうと思っています。それぞれ違う武器を持っていますが、それをしっかり出せていることがチームの好調につながっていると思いますし、変にギスギスすることなくみんながポジティブにすごく良い関係を築けています。
Q、10月は連戦が続き、次戦はJ1リーグ戦で浦和レッズとの対戦を控えています。意識する部分や意気込みを教えてください。
A、意識はしようとしなくても勝手にしてしまうと思います。3シーズン半いましたが、正直外に出ることはあまり考えていなかったので、いざ新しいチームで試合をする相手に知っている選手がいっぱいいるのはやりづらいことでもあるかもしれないですが、絶対に負けられない相手なので燃えます。マッチアップする選手の特長も分かっていますし、逆に相手も僕の良いところと悪いところは分かっていると思うので、すごく潰しにくるだろうなと思っています。そこをしっかり出せるように準備することと、気持ちで負けないようにというところを意識したいです。
Q、接戦や打ち合いが予想されるなかで、勝利するために重要となるポイントを教えてください。
A、今シーズンの浦和は打ち合いが多く、得点数も失点数も多いと思っています。ここまで東京は先制点がとれているので、その先制点は本当に大事だなと思っています。ただ点をとったとしても相手にはとり返す力があるので、最後のところで身体を張ること、まず失点しないことが大切です。逆に攻撃は相手が前からくるぶん隙ができると思うので、その隙を一回でも見逃さないようにすることが大事です。自分たちが今までやってきたことをやるだけだと思っています。
Q、リーグ戦4連勝が懸かる一戦に向けて、ファン・サポーターへメッセージをお願いします。
A、僕個人としては古巣との対戦ですが、リーグ戦の中の1試合なので、特別に「ここを勝たなければいけない」ということよりも、シンプルにこの1試合に勝つという気持ちで臨みたいです。着実に1試合ずつ勝つことが次の連勝につながっていくと思うので、目の前の1試合に勝つことを意識したいです。東京としてやるべきことをしっかりやって勝つということを意識して取り組みます。選手、スタッフ、ファン・サポーター全員で勝てるようにみんなで戦いたいです。



