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欧米の営業・マーケティングの仕組みは、しばしば日本企業が目指すべき先進モデルとして語られる。だが、日本企業が長年当たり前に続けてきた慣行の中にも、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の成功の鍵を握る資産が眠っているという。日本企業自身も気付いていない、その潜在力とは何か。シンフォニーマーケティングの庭山一郎氏が考察する。
日本企業が持つ「2つの潜在力」
私は日本のBtoB企業は世界がうらやむレベルの2つの大きな潜在力を持っていると考えています。そしてその潜在力は世界中のBtoB企業が注力するABMにおいて最も力を発揮します。
1つずつ説明しましょう。
1.世界に冠たるカスタマーサクセス
日本のBtoB企業で「カスタマーサクセス」という部門を持っている企業は、まだ多くはないはずです。一方、欧米企業では一般的に設置されており、その部署を司る「CCSO(チーフカスタマーサクセスオフィサー)」というポジションまで普通に存在します。
しかし私は、日本企業は世界一のカスタマーサクセス部隊を持っていると考えています。グローバルスタンダードでいえば、売り上げを作る「フロント」と呼ばれる領域は、4つの部門から成っています。
1.デマンドジェネレーション(デマンドセンター)
2.インサイドセールス(BDR・ADR)
3.セールス(レップ)
4.カスタマーサクセス
この4つの部門で売り上げを作り、守っています。
デマンドジェネレーションで商談を発見し、インサイドセールスがその商談の確認と訪問承諾を獲得し、セールスが受注し、カスタマーサクセスは顧客満足度を守り、LTV(ライフタイムバリュー)の向上を図ります。
この中でセールスと呼ばれる人たちには、成功報酬型の給与体系が広く採用されています。特に売れる営業は「フルコミッション」という、基本給がなく成果に応じて報酬が決まるタイプの契約を選びます。彼らは新規の契約を追い続ける人々です。実は日本の社歴の長い大手企業では、この手のセールスパーソンは多くないのです。その背景の一つは日本の労働法制です。日本では、最低限の賃金保障がないフルコミッション制を、正社員など雇用契約を結んだ労働者に適用することは認められていません。
先輩が開拓した顧客を引き継ぎ、取引の拡大を担当している日本のBtoB企業のアカウントセールスは、グローバルスタンダードではカスタマーサクセスに分類されます。そしてその顧客グリップ力は極めて高く、世界のカスタマーサクセスと比較しても最高水準にあります。
