Ubuntu 26.10 “Stonking Stingray” のリリース
Ubuntu 26.10 “Stonking Stingray”(「ものすごいスティングレイ」)がリリースされました。LTSとLTSの間にリリースされる「中間リリース」(Interim Release)で、9ヶ月のサポート期間を持ちます。最新のソフトウェアスタックを利用したい場合に利用することが想定されます。
今回は公式なRISC-Vのデスクトップイメージも提供されます。
見た目や機能面には大きな変化がない反面、26.10ではリリースエンジニアリングの変更(これまでのインフラストラクチャーや作業プランの変更)が行われています。
利用上の最大の注意点は、リリース時点でのカーネルはupstreamの7.3が正式にリリースされていないため、7.3-rc6をベースとしたものであることです。今後、7.3正式版を元にしたパッケージに差し替えられる予定です。
7.3-rc6であることそのものによる不都合はないことが期待されますが、なんらかの未知の問題に遭遇する可能性は少しだけ高いかもしれません。また、「正式リリース版ではない」ものを利用することに慣れていない場合はユーザーが混乱に陥ったり、あるいは不具合の原因究明の際に擾乱要因になる可能性があります。
音声入力システムであるMynaは、テクノロジープレビューとして提供されます。「ディクテーション」、つまりスピーチトゥテキスト(しゃべった内容をテキストに変換する)機能がサポートされます。このバージョンのMynaは「キーボードのかわり」の役割のみを担当し、音声による操作や対話には対応しません。
また、OpenSSL 4系への移行が完了したことに伴い、3.xに依存するソフトウェアは利用できなくなります。パッケージ類は移行が行われており、問題ないことが期待されますが、OpenSSLに依存するソフトウェアを個別に利用している場合は対応が必要になるかもしれません。
変更点の概要についてはUbuntu Weekly Recipe 第930回も参照してください。
これ以外にリリースノートに含まれる、利用者が把握しておいた方が安全なポイントは次のとおりです。
AMD製のCPU内蔵GPU(いわゆる「APU」)と単体GPUを併用している環境において、内蔵ディスプレイの画面更新が行われなくなる問題があります。修正版カーネルが提供される予定です。
Intel AX211(Intel製のWi-Fi 6E世代の内蔵WLAN、おおむね2022年から販売開始)を利用している一部の環境において、ファームウェア起因の接続断が生じることがあります。発生条件を含めて調査中です。
26.04 LTSで保留されていたcp, mv, rmもRust版coreutilsに移行されます。これらのコマンドの細かい挙動に依存するスクリプト類が存在する場合は、互換性の問題に遭遇するかもしれません。
Wi-Fiの接続において、GUIからはWEPベースの接続を設定できません。2026年になってもWEPで接続を管理するアクセスポイント(ごく一部の公衆Wi-Fi等)への接続には個別の検討が必要です(ほとんどの場合、「接続しない」ことを選択する方がよいでしょう)。
暗号化された、あるいはZFS・Btrfs・XFSといった非デフォルト構成の(マイナーな)/bootを使っている環境では、26.10にアップグレードできないように構成される見込みです(この行に不明な単語がある場合は、ほぼ間違いなく影響を受けることはないでしょう)。
OpenSSHパッケージが2種類に分岐します。GSSAPI・Kerberosでの認証をSSHネイティブで行う場合は、opensshパッケージのかわりにopenssh-gssapiパッケージを利用してください(この行に不明な単語がある場合は、ほぼ間違いなく影響を受けることはないでしょう)。
古典的なSysV initスクリプトへの対応は完全に削除されます(この行に不明な単語がある場合は以下同文)。
(なんらかの歴史的経緯で)/lib32シンボリックリンクが無意味に存在している環境ではアップグレードが失敗することがあります。
autoinstallを用いてTPMベースの暗号化構成を実現している場合、インストールに失敗します。
DDoSへの対応
Canonical/Ubuntu関連のWebサイトが、10月8日から9日にかけて一時的にアクセス不能になっていました。継続的なDDoS攻撃であることが公表されています[1]。
[1] 攻撃の有効性は非常に重要な情報になるため、基本的にこの種の情報は詳細が明らかにならないことがほとんどです。こうした問題を把握する場合はステータスページやupptimeを確認してください。
その他のニュース
FTBFSをAIを用いて自動的に分類するワークフローを作成してみた、という投稿。Claude Codeを用いた実験的なワークフローを構築してみた、という内容です。
