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木村 正人
国際ジャーナリスト
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2026.10.19(月)
極東国境の安全を確保する会議に出席するロシアのプーチン大統領=8月13日、ユジノサハリンスク(写真:ロシア大統領府提供、タス=共同)
1956年10月19日に日本とソ連が共同宣言(日ソ共同宣言)に調印してから、70年を迎えました。国家としてソ連を引き継いだロシアと日本との間には北方領土問題が未解決のままであるほか、今年8月にはプーチン大統領が択捉島を視察し、これに対し高市首相が抗議するなど、両国関係の悪化が指摘されています。ウクライナ戦争の長期化で国内情勢も変化する中、ロシアでは何が起きているのでしょうか。JBpressで大きな反響を得た記事から、あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2026年8月16日)※内容は掲載当時のものです。
[ロンドン発]ウラジーミル・プーチン露大統領が8月13日、北方領土・択捉島を訪問した。プーチン氏が大統領に就任した2000年以降、北方領土を訪れたのは初めて。ウクライナ戦争で米欧の制裁に加わる日本に強さを示すことで自国内向けにアピールする狙いがある。
「日本は軍事ドクトリンでロシアを主要な脅威に位置づけた」
プーチン氏はヴァレリー・リマレンコ・サハリン州知事と水産加工施設を訪問し従業員と懇談。続いてクリリスク中央地区病院や「ロシアの英雄エドゥアルド・ノルポロフ」中等学校も視察し、リマレンコ知事と会談した。ウクライナ戦争で択捉島でも戦時色は濃くなっている。
択捉島の水産加工施設を訪れたプーチン氏(出所:露大統領府サイト)
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露大統領による北方領土訪問は2010年にドミトリー・メドベージェフ大統領(当時)がソ連時代を含め国家元首として初めて国後島を訪れて以来。これに対して高市早苗首相は「日本国内の対露感情を一層厳しくし、中長期的な関係回復を困難にした」と強く抗議した。
プーチン氏はこれに先立つ12日、サハリンで開かれた太平洋艦隊の軍事演習に臨場、ミサイル巡洋艦ヴァリャーク艦上で「隣国・日本はウクライナ情勢を口実にロシアに一方的な制裁を科した。日本は最新の軍事ドクトリンでロシアを初めて主要な脅威に位置づけた」と述べた。
太平洋艦隊の軍事演習に臨場するプーチン氏(出所:露大統領府サイト)
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プーチン氏「残念ながら現在、日本の立場に変化が見られる」
「私たちは日本をいかなる形でも脅迫したことはない。クリル諸島の問題は第二次大戦後の現実として国際文書に明記されている。1950年代半ば、ソ連は日本と平和条約への道を開く宣言に署名。新生ロシアは日本の要請に基づき条約締結に向け対話を再開した」(プーチン氏)
ロシア側の呼称「クリル諸島」は北方領土と千島列島を指す。
プーチン氏は安倍晋三首相(当時、故人)をはじめとする複数の日本の高官と建設的な関係を築いてきたことを強調。安倍氏は日露両国をより近づけるために多大な努力を払ったと評価した上で「残念ながら現在、日本の立場に変化が見られる」と高市氏を牽制した。
防衛省資料によると、日本周辺のロシア軍は2010年、東部軍管区と東部統合戦略コマンドを新たに創設、地上軍、太平洋艦隊、航空・防空部隊の統合的な運用を行ってきた。戦略原子力潜水艦の活動海域であるオホーツク海周辺一帯の防衛に一層注力しているとみられる。
極東地域のロシア軍の戦力はピーク時に比べ大幅に削減されたが、依然として核戦力を含む相当規模の戦力が存在している。北方領土には戦車、自走砲、多連装ロケット、地対空ミサイル、ヘリなどが配備されている。
