ナ・リーグ優勝シリーズでブルワーズとの第4戦で3ランホームランを放った大谷翔平(写真:スポーツ報知/アフロ)
野球界の常識を覆し続けてきたユニコーンが、ついに重大な岐路を迎えている。ドジャース・大谷翔平にとって、2026年は本格二刀流の最後のシーズンだったのかもしれない。
もちろん、これは投手引退を意味しない。来季以降も投打で戦い続けるために、起用の前提を根本から見直す必要があるということだ。ワールドシリーズ3連覇が潰えた今、検証すべきは大谷が再び投げられるか否かという二者択一ではない。1年を通して何を優先し、いつ、どれだけ投げさせるのか。32歳の大谷には「二刀流の再設計」が迫られている。
リーグ優勝決定シリーズ第4戦での3ランは「打撃復調」の証しだったのか
痛烈な幕切れだった。10月15日(現地時間)、本拠地ドジャースタジアムで行われたブルワーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦。ドジャースは序盤の4点リードを守れず4―6で逆転負けし、まさかの4連敗で終戦した。相手は前年の同シリーズでドジャースに4連敗を喫した因縁のブルワーズ。1年後に立場が逆転し、ロサンゼルスの期待と巨額の戦力投資は10月半ばで行き場を失った。
この夜、大谷が復活の主役に躍り出る場面もあった。2回一死一、二塁で放った右中間への3ラン。8月18日以来、26試合116打席ぶりの本塁打だった。打った瞬間、ベンチに向けて叫び、バットを放り投げ、感情をむき出しにした。その姿は、2023年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝で最後の打者を三振に仕留め、日本の優勝を決めたときの高揚をほうふつとさせた。長い不振を吹き飛ばす一打に見えたのも無理はない。
しかし、そこで物語は完結しなかった。大谷は残り3打席すべてで三振。7回には1点を追う一死三塁、同点の走者を90フィート(約27.4メートル)先に置いて左腕アーロン・アシュビーの前に空振り三振を喫した。大谷の一発で4―0としたドジャースは、結局その後1点も奪えなかった。3ランの映像だけを切り取れば英雄の帰還だが、試合全体を見れば打線の反撃を導く役割は果たせていない。最後に残ったのは、打率1割9分2厘、1本塁打、3打点という今ポストシーズンの数字である。
あの本塁打を過小評価するつもりはない。衰えたと決めつける材料にもならない。一方、内角低めのカットボールを捉えた1球だけで、打撃も体調も元通りになったと判断するのは早計だ。規格外の飛距離を生み出す打者は、タイミングが合えば万全でなくてもフェンスを越す。だが、それと多彩な球種や変化、速度差に対応しながら、勝負どころで再現性の高い打席を重ねられることは別問題である。
