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    斉藤健仁

    2026/10/22

    (最終更新:2026/10/22)

    1年生ながらすでに東洋大学の中心選手となりつつあるロケティ・ブルースネオル(撮影・斉藤健仁)

    29年ぶりに1部に昇格して5シーズン目を迎える東洋大学ラグビー部。一昨年に続いて昨シーズンも2位と関東大学リーグ上位に入り、今年こそ初優勝を狙っている。そんな東洋大に鳴り物入りで入部し、最も注目を浴びているルーキーがいる。高校時代に「ロケット」「怪物」と称されたトンガ出身のNO8ロケティ・ブルースネオル(1年、目黒学院)だ。

    実力見せる怪物ルーキー

    身長185cm、体重108kgのロケティは、8番を背負って、4試合連続で先発、持ち前の強烈なボールキャリーを武器に

    開幕戦の4トライを含む、7トライをここまで挙げてチームの4連勝に大きく貢献している。

    大学ラグビーの試合時間は80分。高校時代の60分から20分伸びた。対戦相手のフィジカルレベルも高校時代より上がっており、関東春季大会では少しおとなしい印象を受けた。ただ夏合宿を経て秋本番を迎えて、その実力を十分に発揮していると言えよう。

    「春季大会の頃は、チームのシステム(戦術)も味方の選手のこともまだ十分にわかっていませんでした。チームもまだ一つになり切れていなくて、個人でやっている感じもあった。フィットネス(トレーニング)をやって、チームでもセットプレーをたくさん練習して、秋のリーグ戦ではかなり良い感じになってきた。最初の日本大学戦(43-29)で、勝てると思って試合に入ったら、少し違う展開になったが、厳しい経験ができて良かった」

    攻撃だけでなく防御も得意とする(撮影・斉藤健仁)

    OBでもある福永昇三監督は「ボールキャリーだけでなく、タックルもジャッカル(スティール)もいい。すでにチームのFWの中心となっています。彼は日本ラグビー界の宝です」と大きな期待を寄せている。

    入学して半年、本人は「思ったより楽しいです! 僕はラグビーについて真面目に考え過ぎ、集中し過ぎてうまくいかないことがある。大学では明るく、楽しみながらできているので、それが良いプレーにつながっているかな」と満面の笑みを見せた。

    トンガから日本へ ラグビーを続けるための決断

    トンガ出身のロケティ。5人きょうだいの長男で、3月に生まれたばかりの妹・ペペを含めて、下に4人の妹がいる。農業を営んでいた父が地元クラブでSOとしてラグビーをしていており、3歳ごろから家族と一緒にその試合を見ていた。実家の隣りにグラウンドがあったため、5歳ごろに家にあったボールで、一人でラグビーを始めたという。

    なお昨年まで流通経済大学でNO8としてプレーしていたティシレリ・ロケティ(スピアーズ船橋・東京ベイ)とは親戚で、祖父同士が兄弟だ。「日本でいうと少し遠い関係ですが、トンガでは従兄弟のような感覚です。小さいころから知っています」

    キャプテンとしての資質も評価されている(撮影・斉藤健仁)

    中学校はトンガカレッジアテレに入学して主にCTBとしてプレーしていた。「トンガではラグビーで就職できない。プロになるには海外にいくしかない」と思っていた。

    そして高校は最初に声を掛けられたという目黒学院への進学を決めた。「日本でラグビーをして、日本代表を目指したいと思った。学費などの支援もあり、家族の助けにもなるのでチャンスだと思った」

    入学後、竹内圭介監督からの提案で、BKのCTBからFWのNO8へと転向した。コロナ禍でラグビーができない中学時代に、ご飯を食べ過ぎて大きくなり、「昔は細かったから、ラグビーをやる上では良かったかな」と話す。

    来日して、一番驚いたのは「練習時間が長かった」こと。満員電車も当然、初めての経験で「最初はきつくて辞めようと思ったけど、頑張って、だんだん慣れていきました」と懐かしそうに振り返った。

    ボールキャリーで大活躍した目黒学院時代(撮影・斉藤健仁)

    高校日本代表主将として刻んだ歴史

    1年時からレギュラーとして活躍し、全国高校大会の東京第2地区予選決勝では、ライバルの國學院久我山が有利とみられていた中、NO8として2トライを挙げて15-12で下し、花園への切符を得た。2、3年時も花園でベスト16に入るなど躍動した。また高校日本代表に選出され、今年3月のイングランド遠征に参加した。

    高校日本代表の桑原立監督は「一番、選手に勇気をもたらす」とキャプテンに任命。51年の歴史がある高校日本代表の中で、外国出身選手がキャプテンになったのは初めてのことだった。

    遠征3戦目、U19イングランド代表との試合で、接戦となったが後半だけでハットトリック(3トライ)を達成し、最後はチーム一丸で守り切って45-31で勝利。高校日本代表がU19イングランド代表に勝利するのは、史上初めての快挙だった。

    「最後の最後でチームが一つになったから、勝てるなと思った。キャプテンをやってチームで戦うことができて、良い学びになった。将来、日本代表になってまたイングランド代表と対戦したい!」

    U19イングランド代表戦ではハットトリックの活躍 ©JRFU

    「自分が優勝させたい」と東洋大へ

    高校卒業後の進路について、「プロ選手になって母親を楽にさせたい」という強い思いがあり、高校2年時は卒業後すぐに「リーグワンに行きたい」と話していた。ただその後、「まだリーグワンでやれる体ではなかった。そのまま行ったらケガをしてしまう」と大学進学へ変更した。

    大学も、もう一つの強豪校と悩んだが、「優勝したことのない大学に行って、自分が優勝させたい!」と東洋大への進学に決めた。埼玉県川越市内のキャンパス内半径500m内に講義棟、部の寮、そしてウェートトレーニング場と隣接する人工芝のラグビー場がまとまっている。

    寮ではキャプテンのCTB浅尾至音(4年、徳島・城東)と同部屋だという。高校時代と一番変わったことは、「自由な時間が増えたことです」と話す。

    ラグビーに打ち込める環境にある(撮影・斉藤健仁)

    「自分にとって必要なトレーニングもすぐできます。タックルしたらすぐ起きることや、フィットネスを上げて、ディフェンスのスピード感を高めて、80分間続けられるようになりたい。体重は108kgくらいをキープするのがちょうどいい。重くなりすぎると走れなくなりますし、軽くなりすぎると弱くなるので、バランスを大事にしています」

    1年生部員全員と仲が良く、授業もほぼすべて一緒に受けている。前期はほぼ「フル単」だったといい、「難しい授業もありますが、友人に教えてもらって理解できる授業もあります。卒業できるように勉強も頑張ります!」と話した。

    趣味はサッカーを見たり、サッカーゲームをしたりすること。好きな日本のアーティストは長渕剛で、「Myself」「とんぼ」が好き。日曜日の夜は寮で食事が出ないので、先輩や仲間と川越市の中心部にご飯を食べに行ったり、最寄り駅の鶴ヶ島駅周辺のラーメン屋を巡ったりしている。

    憧れの選手は攻守に運動量豊富でキャプテンシーにたけたニュージーランド代表のNO8アーディ・サヴェアだ。将来の夢について「大学卒業後は、どこかのチームにプロとして行けたらいいなと思います。また大学の間に、日本代表に入れるように頑張って、ワールドカップに出場したい。(選手人生の)最後まで、日本でラグビーがしたい。日本を第二の故郷のように感じています」と明かす。

    日本で活躍したいという思いが強い(撮影・斉藤健仁)

    目指すは東洋大初優勝、そして日本代表

    東洋大は初の関東リーグ戦制覇、そして全国大学選手権で準決勝に進出し、MUFG国立(国立競技場)で新年(1月2日)を迎えることが目標で、「Happy New Year」を今季のチームスローガンに掲げている。

    初優勝するために大事なことを聞くと、「セットプレーです。スクラム、ラインアウト。あとはモールをもっと強くしたい。東洋大のFWは大きくて重く、フィジカルもある。まだまだ力を伸ばせると思いますし、日本で一番強いFWになれると思っています!」と前を向いた。

    最後にファンに向けてメッセージをお願いすると、「僕一人ではなく、チーム全体で戦う姿を見てほしい。試合に出る15人だけでなく、リザーブも含めて全員で戦っています。東洋大学というチームを応援してほしいですね!」と屈託のない笑顔を見せた。

    1年生ながらチームを引っ張る存在となっているロケティ。FWの先頭に立ち続けて、まず、関東リーグ戦で初優勝、大学在学中に日本一に。そして日本代表選出という目標をかなえるために邁進する。

    チームの先頭に立つ覚悟だ(撮影・斉藤健仁)

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