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    【やさしく解説】原潜保有論

    日本で原子力潜水艦の保有論がにわかに高まっている。写真は米海軍のバージニア級原子力潜水艦「USSミネソタ」(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

     日本の自衛隊は原子力潜水艦を保有すべきだとの議論が、にわかに高まっています。小泉進次郎防衛相は2026年10月9日の記者会見で、原潜の導入について、選択肢を排除せずに議論する姿勢を改めて示しました。政府は年内に国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の「安保三文書」を改定する予定で、そこに原潜の導入を盛り込むかどうかが焦点の一つになっているのです。

     原潜には長時間の潜航や速い水中速力といった利点があり、日本の防衛力強化につながるとされています。一方では、憲法や原子力関係の法令との整合性、および、技術的な多くの課題も残されています。

     では、原子力の軍事利用を制限してきた日本が、いま何のために原潜を必要としているのでしょうか。その説明は十分になされているのでしょうか。憲法や関係法との関係も交えながら、「原潜保有論」をやさしく解説します。

    原潜保有論の柱は「反撃能力」

     今回の原潜保有論を理解するには、潜水艦に求められる役割の変化を見る必要があります。時計の針を少し戻しましょう。

     4年前の2022年12月、日本政府は、国家の外交・防衛政策の基本方針を示す「安全保障関連3文書」(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)を改定・策定し、戦後の安全保障政策を大きく転換しました。その柱の1つが、「反撃能力」の保有です。

     防衛白書によると、反撃能力とは、日本に対する武力攻撃が発生し、弾道ミサイルなどによる攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において有効な反撃を加える能力のことです。敵の領域に直接ミサイルなどを撃ち込むわけですから、策定当時、「日本の国是である専守防衛を逸脱するものだ」という強い批判も上がりました。

    図表:フロントラインプレス

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     このときに策定された防衛力整備計画に、ミサイルの垂直発射装置「VLS」(Vertical Launch System)を搭載する潜水艦を開発するという計画が明記されたのです。相手の攻撃が届きにくい場所から使う長射程のスタンド・オフ・ミサイルを、海中からも発射できるようにする構想です。

     潜水艦は水中に隠れるため、相手が位置を把握しにくい特徴があります。長射程ミサイルを積んだ艦が攻撃を免れて残れば、相手は反撃される可能性を考慮し続けなければなりません。自民党が2026年6月にまとめた「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」も、長射程ミサイルを運用するVLS搭載潜水艦について、水中での高い残存性を評価。「原子力」という言葉こそ使っていないものの、「次世代の動力の活用」という言葉を用いて原潜保有に向けた施策を速やかに検討するよう求めています。

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