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    【やさしく解説】原潜保有論

    構想は1950年代から、産業界も後押し

     原潜をめぐる議論は、実は、ここ数年で突然始まったものではありません。日本の原潜構想は1950年代までさかのぼります。

     認定NPO法人・原子力資料情報室の研究などによると、1958年5月には川崎重工業の名を記した「2500T・8000SHP原子力潜水艦原子動力装置計画計算書」が作られました。原子炉を使った推進装置の試設計です。また、1964年には、防衛庁や科学技術庁(いずれも当時)、産業界などが参加する防衛装備国産化懇談会の部会が、原潜への対抗には日本側も原潜で防衛することが効果的だとする意見をまとめました。

    図表:フロントラインプレス

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     原潜保有を求める議論には、政治だけでなく、産業界も推進力になっていたことが分かります。

     しかし、政府は1965年、原子力の軍事利用を禁じた原子力基本法の原則を踏まえ、船舶の原子力推進が一般化していない現状がある限り、自衛艦への利用も認められないという「政府統一見解」を示しました。1972年にも防衛庁は建造や技術検討を否定しています。翌1973年の国会でも、防衛庁は原潜を装備する計画はなく、原子力推進が一般化した場合の将来問題だと説明しました。

     こうした経緯と現在の議論の違いは、「民間船への技術の普及を待つ」という論点から、「必要な軍事能力のために原子力を選ぶ」という議論へと重心が移っていることです。最近の政策文書は、長射程ミサイルを積んだ潜水艦を長く、広い範囲で行動させたいという要求を先に置いています。原潜をめぐる法的な問いは60年前から続いていますが、反撃能力を持つ潜水艦の整備と結びついたことで、今日の論議は具体的な政策選択に近づいているのです。

     もっとも、法的な壁は今も解消されていません。

     原子力基本法2条は「原子力利用は、平和の目的に限り」とし、軍事目的での利用を明確に禁じています。軍事目的ではなく、平和のため、防衛のため、と説明したとしても、国際的には通用しにくいでしょう。

     高市早苗内閣は2025年11月、宮川伸衆議院議員(当時)の質問主意書に対する答弁書で、原子力推進が一般化していない現状では自衛艦への利用も認められないとする従来の政府見解に「変更はない」と回答しました。一方、次世代動力については政府として決定しておらず、既存法令との関係を含め、特定の動力を念頭に具体的な検討は行っていないと説明しました。

     原潜を導入するなら、法改正を行うのか、解釈の変更で済ませるのか。いずれにしても法的な根拠を示さなければなりません。2026年末に改定する予定の「安保3文書」に原潜導入の方針を明記するとしても、それ自体は政府の政策文書に過ぎず、法律の制約がなくなるわけではないからです。

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