釧路湿原周辺に建設されたメガソーラー=北海道釧路町(写真:共同通信社)
タワマン管理費と修繕積立金の踏み倒し、迷惑民泊、固定資産税の未納……。
所有実態が見えにくい相手に、管理組合や自治体が抱える困惑は大きくなった。
筆者の調査フィールド(主に辺境)でも不透明化は進んでいる。
日本列島の端っこや広大なリゾートエリアで、このところ法人代表者の変更や法人M&A、不動産の信託化が目につくようになってきた。地主の入れ替わりが進み、誰が資金の出し手で、誰が最終的な受益者なのかが見えなくなってきた。
所有者の地下化、不明化である。
「放牧地・採草地売ってください!」の野立て看板(北海道 道東部にて筆者撮影)
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「地下化」が止まらない
北海道東部と九州の国境離島——。
ロシアと中国に最も近い場所だが、このエリア一帯の農地がここ数年で動いている。
地上げが活発になり、所有者や借受者が数十、数百ヘクタールの規模で入れ替わっている。転売先が見えているから、次々と買い進むのだろう。農地の買収は農地法の規制が厳しいから、外資に代わって日本の「農地所有適格法人*1」が鵜匠のような役目をこなし、農地を束ねている。表側に見えるのは日本法人だが、その背後に登場するのは子会社、孫会社……と単純ではない。BO(Beneficial Owner:法人の実質的支配者)と将来の引き受け手は不明である。
大丈夫だろうか?
北海道トマム(占冠村)の所有者も複雑になった。
2024年、中国資本の「復星集団(上海豫園旅游商城)」から日本の合同会社を経て別法人へ吸収合併、清算がなされたが、信託以降(2022~)の支配構造は見えづらい。香港、シンガポールの不動産プライベートエクイティファンドやグローバルな投資家が実質的支配者とみられる。
法人代表者の変更や抵当権の設定、法人の合併・買収などが重なることで、登記情報だけでは背後の資金提供者や実質的支配者を把握しにくい事例もみられる。
長崎県崎戸島の突端では、中国系ホテル(建物)に抵当権が設定(2022年)されたり、今年に入ってからは所有法人の代表者名が変わったりしているが、底地(土地)を持つ自治体が出る幕はほとんどない。
以上の事例はいずれの場所も、重要土地等調査法でいう「注視区域」の区域外なので調査の対象外である。
日本各地では今、地主は覆面資本やダミー会社——という事例がかなり出てきており、一般化しているとみられるが、放置したままでよいのだろうか?
*1 農地所有適格法人:農地を所有することが認められた法人で厳格な条件を満たす。2016年以前は農業生産法人と呼ばれていた。
風力発電予定地と特別注視区域(長崎県五島市三井楽町)
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