「10月、11月は勉強の疲れが出やすい時期なのでしょうか。家での様子が違ってくる子供も多いです。登下校や塾帰りの子供の素行についての調査依頼も増えています。依頼する親御さん自身も思い詰めていると感じることがあります」と語るのは、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さん。彼女は、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。
山村さん連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにしていったのかも含め、さまざまな事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮をしながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。
今回山村さんのところに相談に来たのは45歳の専業主婦・美里さん(仮名)だ。「小学6年生の娘が変なことをしていないか調べてほしいのです」と連絡をしてきた。美里さんはそれまで会社に勤務していたが、中学受験の心労で会社を辞めたのだという。しかし中学受験にいどむ小学生の娘の調査を依頼されることはなかなか珍しい。
美里さんが中学受験に力を注いでいるのに、当の娘が遊びまわっているのではないかという疑惑を抱いたのだという。
現在、娘は21時30分に塾が終わった後、「友達と帰るから」と親の迎えを拒否し、23時頃に帰宅して部屋に閉じこもるようになっているという。スマホの位置情報アプリの設定も解除され、行動を追うことはできない。美里さんは好きな男の子や変な仲間との付き合い、犯罪に巻き込まれることを心配し、私に素行調査を依頼したのだ。
山村さんは虐待の場合は、親からの依頼でも素行調査を引き受けないこともある。しかし美里さんの言葉の端々にきつさを感じるものの、虐待の気配はないと判断し、不安払拭のための素行調査を引き受けることにした。同時に、美里さん自身の心のケアのために、心療内科を受診して静養することを強く勧め、調査の準備に入ったのだった。
ラブホテル街を歩き回り…
まずは娘が塾に行くところから尾行を始めます。美里さんの自宅は、23区のはずれにある駅から近い、やや古いマンションです。このマンションは、美里さんの両親が所有しており、家賃がかからないのだそう。
娘らしき人が15時30分に帰宅し、16時には出てきました。そして、電車に15分程度乗り、大手の中学受験校に入って行きました。娘は小学校6年生にしては背が高い。黒っぽいパーカーにカーゴパンツを穿いているので、高校生くらいに見えます。12歳なのに、大人の風格を漂わせています。
娘は21時30分に友達とはしゃぎながら出てきます。友達と一緒にいると、子供の表情でかわいい。塾の先生の見送りで、改札の中に入ると、一緒にいる友達に何かを言い、再び街に出て行きました。
忘れ物をしたのかと思っていたら、ラブホテルがある方向に歩き、誰かを探している様子です。15分くらいかけて街をうろつき回ってから、コンビニに行って肉まんとエナジードリンクを購入。歩きながら食べつつ、駅のベンチでスマホを眺め、20分ほどしてから、電車に乗って帰宅します。

翌日も全く同じ行動をしていました。3日目は飲み屋さんがあるエリアをぐるぐると歩いています。もし娘が酔客にからまれたら助けなければと思ったのですが、彼女は気配を消すのが上手で、誰にも絡まれることないまま帰宅しました。
