2026年全国「社長の住む街」調査 全国の「社長の住む街」トップは、14年連続で「港区赤坂」の4,709人だった。前年から113人増えた。2位は「新宿区西新宿」の4,038人で、初めて4,000人を突破した。3位は「港区六本木」の3,638人だった。
市区郡別では、最多は「世田谷区」で6万1,064人だった。また、人口に占める社長比率のトップは「港区」の17.1%で、前年の16.5%から上昇。住民の6人に1人が社長の「社長密集地」になっている。
町村別では、「港区芝浦」が前年6位から4位、「中央区勝どき」が9位から7位に順位を上げた。いずれもタワーマンション供給や再開発が進むエリアで、交通利便性を重視する経営者の「職住近接」志向を映している。
女性社長が住む街もトップは「港区赤坂」で1,255人だった。以下、2位「港区南青山」、3位「港区六本木」、4位「港区南麻布」と続き、女性社長の居住地も港区への集中が際立った。
年代別トップは、40代以下は「新宿区西新宿」、70代以上は「世田谷区成城」だった。年齢が比較的若い社長は都心の再開発エリア、年齢の高い社長は歴史ある落ち着いた住宅地に多い傾向がうかがえ、世代によって居住地の志向が分かれている。
※ 本調査は、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約450万社)から、社長(個人企業を含む)の居住地を抽出し、ランキングした。前回調査は2025年10月31日発表。
※ 社長居住地の最小単位は「町村」ベースで、 「丁目」は区分していない。
※ 同一人物が複数企業の社長を務める場合、売上高が大きい企業を採用し、重複企業は対象外とした。
「社長の住む街」トップは14年連続で「港区赤坂」、「新宿区西新宿」が初の4,000人超え
社長が住む街の全国トップは、東京都「港区赤坂」の4,709人だった。前年から113人増加し、14年連続でトップを守った。全国で4,000人を超えたのは赤坂と西新宿の2地区となった。
赤坂は、オフィスや商業施設が集積する一方で、高級マンションが建ち並ぶ住宅地でもある。都心の主要ビジネス街へのアクセスに優れ、利便性と住環境を兼ね備えた地域として経営者層から根強い支持を集めている。
2位は東京都「新宿区西新宿」の4,038人で、前年の3,888人から150人増加した。タワーマンション建設や再開発が続き、初めて4,000人を超えた。東京都庁や高層オフィスビルが集まる副都心に位置し、交通アクセスを重視する経営者層の居住が増えている。
「港区芝浦」が4位に上昇、「中央区勝どき」は7位に 「港区芝浦」は3,516人で、前年の3,286人から230人増え、前年の6位から4位に上昇した。
芝浦は、都心に近い湾岸エリアで大規模マンションの供給が続いている。鉄道アクセスに加え、オフィス街にも近く、職住近接を志向する社長の居住地として存在感を高めている。
「中央区勝どき」は3,313人で、前年の9位から7位に上昇した。前年の3,060人から253人増え、上位20地区のなかで最も大きく増加した。前年、中央区では初めてトップ10入りしたが、今回も順位を上げた。
一方、「江東区豊洲」は3,298人で前年7位から8位に、「港区南麻布」は3,195人で8位から10位に後退した。
ただ、いずれも社長数は前年を上回り、上位地区での増加ペースの差が順位変動につながった。
東京都以外では「葉山町」が最多、「南堀江」が続く 東京都以外では、神奈川県「三浦郡葉山町」が1,712人で最多。全国順位は前年56位から54位に上昇した。
海や緑に恵まれた典型的なブルー・アンド・グリーン・インフラ(環境)で、生活環境を重視する経営者層からの人気が続く。
次いで、大阪府「大阪市西区南堀江」が1,691人で全国57位、大阪府「大阪市福島区福島」が1,466人で82位となった。両地区とも前年から順位を上げ、交通利便性の高い大阪中心部の人気が続いている。
このほか、大阪府「大阪市西区新町」は前年105位から95位に上昇し、トップ100入りした。福岡県「福岡市中央区薬院」、長野県「北佐久郡軽井沢町」、愛知県「名古屋市中区栄」なども順位を上げた。
市区郡別は「世田谷区」が唯一の6万人超え 市区郡別の社長数は、「世田谷区」が6万1,064人で全国トップ。前年の5万9,162人から1,902人増え、初めて6万人を超えた。
2位は「港区」の4万6,204人、3位は「渋谷区」の3万3,505人、4位は「新宿区」の3万2,926人で、上位10位まで前年同様、東京23区が占めた。
人口に対する社長比率は「港区」が17.1%で全国トップ。「渋谷区」が14.5%、「目黒区」が9.3%、「新宿区」が9.2%で続いた。港区の社長比率は前年の16.5%から0.6ポイント上昇し、住民のおよそ6人に1人が社長だ。
東京都外は「川口市」が最多 社長比率は「福岡市中央区」が6.2% 東京都以外の社長数を市区郡別でみると、埼玉県「川口市」が2万2,607人で全国13位に入り、唯一2万人を超えた。東京都に隣接する交通利便性に加え、製造業や中小企業の集積が寄与した。
次いで、千葉県「船橋市」の1万5,943人で20位、兵庫県「西宮市」が1万5,475人で前年22位から21位に上がり、千葉県「市川市」を抜いた。「西宮市」は大阪、神戸へのアクセスと良好な住環境を兼ね備え、社長比率も3.2%と高い。
このほか、大阪府「東大阪市」が1万5,371人で23位、「鹿児島市」が1万4,693人で26位、「浜松市中央区」が1万4,662人で27位に入った。「東大阪市」や「浜松市中央区」は製造業の集積が厚く、地元で事業を営む経営者が多いとみられる。
社長比率は、「福岡市中央区」が6.2%で、東京都以外の社長比率では突出している。天神・博多駅を中心とするビジネス・商業機能と住宅地が近接し、職住近接を志向する経営者を引きつけているようだ。
東京都外では、首都圏や関西圏のベッドタウンに加え、産業集積のある都市や地方の中核都市が上位に並んだ。交通利便性、住環境、地域産業の厚みが、社長の居住地を左右している。
女性社長も「港区赤坂」がトップ、上位に港区が集中 女性社長が最も多く住む街は、「港区赤坂」の1,255人だった。2位は「港区南青山」の1,077人、3位は「港区六本木」の903人、4位は「港区南麻布」の896人、5位は「港区高輪」の853人だった。
上位10地区のうち、港区が「赤坂」「南青山」「六本木」「南麻布」「高輪」「三田」「白金」の7地区を占めた。このほか、「渋谷区代々木」「中央区勝どき」「渋谷区広尾」がトップ10に入った。
市区郡別では「世田谷区」が1万3,144人で最多。人口に対する女性社長の比率は、「港区」が4.4%、「渋谷区」が3.6%、「中央区」が2.6%の順で高かった。
若手社長は都心・湾岸、高齢社長は伝統的な住宅地 年代別では、20代以下で最も多かったのは「中央区晴海」、30代と40代は「新宿区西新宿」、50代と60代は「港区赤坂」だった。一方、70代は「大田区田園調布」、80代以上は「世田谷区成城」がトップとなった。
40代以下でみると、「新宿区西新宿」が207人で1位、「中央区晴海」が178人で2位、「港区芝浦」が174人で3位だった。再開発やマンション供給が進む都心・湾岸地区が上位に並んだ。
70代以上では、「世田谷区成城」が181人でトップ。「大田区田園調布」が180人、「港区赤坂」が175人で続いた。若手社長は利便性や職住近接を重視し、年齢の高い社長は成城や田園調布など静かな歴史ある住宅地を選ぶ傾向がうかがえる。
県庁所在地の社長比率 大阪市が4.27%に上昇 都道府県庁の所在地別の社長比率は、東京23区が5.7%でトップだった。次いで、大阪市4.2%、福岡市3.4%、京都市3.39%、名古屋市3.32%、横浜市3.2%と、大都市圏の中核都市が上位に並んだ。
政令指定都市以外では、徳島市が3.0%で最も高く、那覇市が2.97%、甲府市が2.90%、高松市が2.8%で続いた。人口規模は大都市に及ばないが、県内の行政、商業、事業所が県庁所在地に集中しており、地元企業の経営者も多く住むことで社長比率を押し上げているようだ。
一方、最も低かったのは山口市の1.7%だった。山口県は下関市など県庁所在地以外の都市にも経済機能が分散しており、県庁所在地への社長の集中度が低いことが背景にあるとみられる。
「社長の住む街」は、赤坂、西新宿を中心とする都心部への集中と、芝浦、勝どき、豊洲など湾岸エリアの伸長が鮮明になった。利便性の高い地域の再開発や住宅供給が続く限り、経営者の職住近接志向は今後も続くとみられる。
ただ、社長の居住地は都心に一極集中しているわけではない。東京都外では、川口市や西宮市などの住宅都市、東大阪市や浜松市中央区などの産業都市、福岡市中央区などの地方中核都市が存在感を示した。成城、田園調布、葉山町など、生活環境や住宅地としてのブランドを持つ地域の人気も根強い。
社長の住む街は、事業拠点に近い「利便性」、落ち着いた「住環境」、地域に根付いた「産業基盤」の三つを軸に選ばれている。特に、世代別で住環境の志向がはっきり分かれており、今後も再開発や企業立地、経営者の世代交代によって、居住地の構図は変化していきそうだ。
