土田陽介のユーラシアモニター
【土田陽介のユーラシアモニター】中国企業の欧州向け生産拠点に集まる日本企業、新政権の課題は対中関係の維持
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土田 陽介
三菱UFJリサーチ&コンサルティング・主任研究員
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2026.10.27(火)
セルビア総選挙では、学生らが主導する新興政治勢力「学生リスト」が過半数を獲得する見通しとなった(写真:ロイター/アフロ)
西バルカンのセルビアで10月25日、議会解散に伴う総選挙が行われた。その結果、都合14年にわたって権力の座にあったアレクサンダル・ヴチッチ前大統領が率いるセルビア進歩党が敗北。代わって、ヴチッチ政権への抗議デモを続けてきた学生らが主導する新興政治勢力「学生リスト」が、過半数の議席を獲得する見通しとなった。
先に隣国のボスニア・ヘルツェゴヴィナ(BiH)で行われた総選挙では、下院選で民族の権利を主張する政党が躍進。特にセルビア人が多く住むスルプスカ共和国(RS)では、親ロ派の与党が大統領選と議会選で勝利しており、親露派の伸長を懸念する声も上がっていたが、密接な関係にあるセルビアでは、逆に親ロのヴチッチ前大統領が敗北した点が興味深い。
とはいえ、バルカンの政治を親欧米勢力対親中露勢力という構図で捉えると本質を見失う。バルカン政治家(その時々の状況変化に応じ、敵味方を臨機応変に変えていく政治家)という言葉があるように、西バルカンの国々、特にセルビアならびに同国に接する国々では、その複雑な歴史的背景からさまざまな立場が対立し、かつ共存するためだ。
今回議席を獲得した学生リストの下で、安定した政権が作られるかも定かではない。ヴチッチ政権の長期化で、セルビアの政治は実質的に“ヴチッチ化”している。このヴチッチ化した政治を、経験に乏しい学生リストの指導者たちが持続可能な形に再編できるかはまだよくわからない。セルビア政治の安定は、その実、日本を含めたさまざまな国が注目している。
セルビアの選挙など日本とはあまり関係がないような印象を受けるかもしれないが、セルビアはいまや、日本の対欧州ビジネスを考える上で欠かせない国となっている。セルビアは中国の対欧州ビジネスの拠点であるためだ。セルビア北部のヴォイヴォディナ自治州には近年、自動車を中心に、中国系メーカーの進出が相次いでいる。
