
2026年10月31日(土) 08:00
世の中の「知らないと損する」話題を、北海道から「ざっくり」深掘りするHBCのWEBトーク番組「むちぞん~無知は損する~」。
情報があふれる現代社会で、「もやもやする話題」や「実は、知らないと損する知識」を、その道の第一人者をお招きしてじっくり聞いていこうという企画です。
今回は、日本の最大多数を占めながらも実態が知られていない「謎の集団・新しいリベラル」に迫ります。
北海道大学大学院 橋本努教授
ゲストに『新しいリベラル』(ちくま新書)の著者である北海道大学大学院の橋本努教授をお迎えし、政治思想の基本から「新しいリベラル」の正体まで、ゼロからたっぷり伺いました。
聞き手は、HBC本間吏成アナウンサーと、報道部の髙橋智也記者です。
【全8回の第3回/第1回・第2回・第4回・第5回・第6回・第7回・第8回】
第1回では、「そもそもリベラルって?保守って?」を解説しました。しかし、自分がリベラルだと思っている人も投票傾向は別だったりと、リベラルと保守では分けきれなくなった側面が見えてきたといいます。
第2回の記事では、大規模調査によって新たに浮かび上がった「新しいリベラル」とは何なのかについて深掘りしました。
橋本教授の分析では、保守とリベラルの2つの思想ではなく、6つのグループが浮かび上がってきました。
それぞれの思想がどの政党と結びつくのか?
第3回は、今の選挙結果がどんな仕組みで現れているのか、そのヒントを探ります。
「リベラルvs保守」だけではない
HBC 本間吏成アナウンサー
本間アナ)政治の思想というと、リベラルと、その対比としての保守というイメージがありますよね。でも先生、政治思想はそれだけではないと伺ったのですが?
橋本教授)そうなんです。これまでの社会調査ですと、「あなたはリベラルですか?保守ですか?」と二者択一で聞くことが多かったため、リベラルは1つ、保守も1つだと思われてきたんですね。
そこで私たちは調査の方法を変えてみました。基本的な質問をいくつかして、回答傾向が似た人たちが何個のグループに分かれるかを分析したんです。一番簡単に言ってしまえば、AIに「こういう意識調査のデータが出ました。回答傾向が似た人たちは何個のグループになりますか?」と聞くような手法(潜在クラス分析)ですね。そうすると「6つのグループに分かれます」という結果が出てきたんです。

橋本教授)分類としては、こちらの6つになります。意外だったのが、保守かリベラルか分からないような「真ん中(どちらでもない)」の人が一番多いのかなというイメージがあったんですが、回答傾向をまとめると「どちらでもない」という真ん中の人たちは、実は非常に少なかったんです。
そしてリベラルも保守も2つに分かれることがわかりました。
1.新しいリベラル(23%)
2.従来型リベラル(18%)
3.成長型中道(13%)
4.福祉型保守(16%)
5.市場型保守(9%)
6.政治的無関心(20%)
保守も2つに分かれる!富裕層の「市場型」と高齢者の「福祉型」

本間アナ)真ん中に近い「成長型中道」と「新しいリベラル」の違いはどうなんでしょうか?
橋本教授)真ん中の「成長型中道(13%)」は、社会的投資も大切だけれども、経済投資も大切だと考えます。それに対して「新しいリベラル(23%)」は、経済投資よりも社会投資、もっと言うと「現役世代よりも次世代(子どもや若者)に投資してほしい」と考える点が大きな違いです。
「市場型保守(12%)」は小さな政府が良いと思っている保守です。一方の「福祉型保守(16%)」は大きな政府を求めている保守です。どちらも「一番大切なのは経済成長だ」と考える点は共通しています。
本間アナ)福祉型保守。保守の中でも大きな政府を求めるという話ありましたけど、大きい政府を求めてるのはリベラルの考え方ですよね。
※
橋本教授)という風に思うじゃないですか。それは定義としては、たまたま大きな政府をリベラルという風に定義してしまったから、そういう考え方になっちゃうんですけれども、実はですね、そうではなかったんですね。
大きな政府を支持するんですけれども、基本的には経済成長が一番大切だっていう風に考えるんですね。高齢者でリタイアされた方など、これまで経済を支えてきて「リタイア後は年金や医療などの福祉を充実させてほしい、自分たちに優しい政府になってほしい」と考える可能性が高いです。
本間アナ)そして「市場型保守(12%)」はちょっとイケイケな感じがしますけれども。
橋本教授)そうですね、経営者や中小企業の社長さん、富裕層の方々など、すでに経済的に成功していて「なるべく税金を払いたくない」と考える層ですね。

本間アナ)「政治的無関心」も20%と、それなりの規模がありますね。
橋本教授)世間でよく「無党派層」と言われますが、無党派層の中で本当に政治的無関心な人は約20%です。そういう人は投票に行かないですね。それ以外の無党派層の人たちは「自分はバランスの良い社会が良い」と思っていて、毎回どの政党に投票すべきか迷っている状態なんですね。
