11月に入った。空気は冷たくなり、店頭はハロウィーンから年末商戦へと模様替えが進んでいる。そんな中、米CNETのラボでは、米アップル初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を試験機が黙々と開閉し続けている。約36万円で購入してから1週間余り、この気の毒な端末に与えられた仕事は、壊れるまでひたすら折りたたんでは開くことだけだ。
「iPhone Duo」は、一体何回の開閉に耐えられるのか。11月2日(現地時間)、その回数は20万回を超えた。
筆者は米ケンタッキー州ルイビルにある米CNETのラボで、ハードウェアとソフトウェアの試験を統括している。この1週間、「Duo」のヒンジの頑丈さや、故障したりひびが入ったりする可能性について、さまざまな声を目にしてきた。試験機に取り付けた端末を定期的に調べているが、今のところ損傷の兆候は見当たらない。
画面の折り目も、箱から出した時より目立つようにはなっていない。変化があれば、この記事とライブ配信でお知らせする。
ここで、どんな試験をしているのか説明しよう。筆者のチームは、アップルの「iPhone Duo」や、ライバルである韓国サムスンの「Galaxy Z Fold 8」といった折りたたみスマートフォンを試す独自の装置を設計・製作した。「Galaxy Z Fold 8」も試験対象にしている。長らくうわさされていた折りたたみ式iPhoneの登場に備え、試験方法と装置の製作に何カ月も取り組んできた。
用途に合わせ、この装置を「Fold-a-Phone」と名付けた。
技術者と試験の専門家からなるチームが、「iPhone Duo」の開閉を繰り返し観察し、ヒンジと2つの画面の耐久性を厳密かつ系統的に調べていく。画面を閉じた状態に保つ磁石と、要となるヒンジの間には複雑な力が働く。手で何度も折りたたむだけでは、分かることに限りがある。
CNETのシニアテクノロジー記者Abrar Al-Heetiは、入念なレビューで「iPhone Duo」の長所と短所を的確に伝えている。「Fold-a-Phone」は豊富なデータを蓄積し、実際に使って得られた評価を補う役割を担う。
アップルは、「iPhone Duo」が何回の折りたたみに耐えられるかを公表していない。それだけに、この装置から得られるデータは、同社初の折りたたみスマートフォンや競合機を知る上で貴重なものになるはずだ。もちろん、この社内データをたっぷり使い、試験期間中も経過や比較結果をお伝えしていく。
YouTubeでは平日の午後1〜5時(米東部時間)、CNETの「iPhone Duo」ライブ配信を行っている。「Fold-a-Phone」が「Duo」を開閉する様子を、リアルタイムで見守ることができる。
アップルの参入は、折りたたみスマートフォンにとって大きな節目だ。初代「Galaxy Fold」が米国で発売されたのは2019年9月。アップルはサムスンに7年遅れて、この分野に足を踏み入れた。モトローラなども、さまざまな形や大きさの折りたたみ端末を長年試みてきた。CNETが2019年に初めて体験した、蛇腹のように折れる3つ折り端末もその1つだ。
Al-HeetiやAndrew Lanxonら、CNETのモバイル分野の専門家は、「iPhone Duo」の登場が折りたたみスマートフォン全体の存在感を高めると論じてきた。これまでは、広く普及する本流というより、一部の人が思い描く未来の端末にとどまっていたからだ。
アップルが既存の折りたたみ端末と競うようになり、この分野の顔ぶれがそろったともいえる。だからこそ今、「Fold-a-Phone」が必要なのだ。独自の装置と試験方法、そこから得られるデータを通じて、真の次世代モバイル端末としての可能性と、もちろん限界も、より深く理解していきたい。
「Fold-a-Phone」は「iPhone Duo」をどう試験するのか
現在の折りたたみスマートフォンの多くは、20万〜50万回の開閉に耐えられるとされている。そこで、大きさや寸法、ヒンジの向きを問わず、横開き型にも縦開き型にも対応できる、頑丈で柔軟性のある装置が必要だった。なお、3つ折り端末は機構上の課題が異なるため、今回の装置の対象にはしていない。
開閉する動作も、実際の使い方に近づけることを目指した。一日中、最高速度で端末を開いたり閉じたりしている人はいないだろう。普通は自然な速さで開き、動画を見たり、ウェブページを読んだり、アプリを使ったりして数分過ごし、閉じてポケットへ戻す。それを1日に何十回か繰り返す。
開閉動作を自然な速さに近づければ、速さを優先した試験と比べて、ヒンジへの過度な負荷や余分な発熱を抑えられる。
検討の結果、1サイクルを約4秒にすれば、技術的な問題を避けつつ、十分な速さで試験できると判断した。1秒かけて開き、開き切った状態で1秒待ち、1秒かけて閉じ、閉じ切った状態で1秒待つ。この一連の動作を、開閉1回と数える。1時間に900回のペースで、ヒンジか画面が壊れるまで繰り返す。
設計と製作を簡素化するため、装置には規格品の市販部品を使った。基本となるのは2本のアームで、しっかり力を加えながらも滑らかに開閉できるよう、それぞれを設計している。
各アームを動かすのは、産業用のステッピングモーターだ。接続したコンピューター上のソフトウェアが回転力を所定の手順に沿って調整し、端末を保護しながら各動作を進める。複数ある近接センサーのどれか1つでも、アームが正しい位置にあることを検知できなければ、装置は直ちに停止する。
モーターの消費電力も監視し、試験の進行とともに端末の開閉のしやすさがどう変わるかを追っている。複数の角度から写真や動画を撮るカメラも設置した。コンピューターから定期的に出力される状況データを分析し、端末と試験の状態を把握する。
大きな変化を見逃さないよう、装置全体をポータブル電源「EcoFlow Delta 3 Plus」につないで停電に備え、出力データも複数の場所に保存している。
端末の固定には、CNETのラボ試験でトップに選ばれた3Dプリンター「Prusa Core One」を使う。端末ごとの正確な寸法に合わせ、専用の台座を3Dプリントするのだ。強力な両面テープで端末を台座に貼り付け、その台座を装置にねじで固定する。そう、両面テープでちゃんと留まる。
改善の余地は、いつでもある。開閉のリズムを変えず、もっと滑らかで静かに動かせないか、チームは常に工夫を重ねている。
アップルの参入は、すでにこの分野を変え始めている。今は予想もつかない革新を促すかもしれない。それまでの間も、「Fold-a-Phone」は「iPhone Duo」と競合機の試験を続ける。ヒンジを備えた端末が試練にどこまで耐えられるのか、それとも音を上げるのか。CNETの記者たちが、その結果をお伝えしていく。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
