TBS CROSS DIG with Bloomberg
(ブルームバーグ):暗号資産交換業者バイナンスは、先週明らかになった63億ドル(約1兆円)相当の暗号資産盗難事件で、攻撃者が偽の採用面接などで社員をだます「ソーシャルエンジニアリング」やマルウエア(悪意のあるプログラム)を使っていたと明らかにした。事件の手口や経緯をこれまでで最も詳しくまとめた報告書を公表した。
同社は今回の攻撃を北朝鮮によるものとみており、「高度で複数段階にわたる作戦」だったと説明した。3日に公表した報告書によると、同社のエンジニアの1人が求人サイトを通じ、プロジェクト責任者を名乗る人物から接触を受けた。その後、チャットアプリ上で架空企業の最高経営責任者(CEO)を装う人物の面接を受け、採用課題として悪意あるプログラムを含む開発用ファイル一式をダウンロードするよう求められた。これをきっかけに、一連の不正操作が始まったという。
バイナンスのリチャード・テン共同CEOは「一度のミスや侵入で起きた事件ではなく、数カ月かけて周到に仕組まれた攻撃だった」と述べた。
事件が最初に報じられた10月29日、同社は攻撃者がソフトウエアエンジニアのノートパソコンに侵入し、そこを足がかりに取引所から暗号資産を引き出した可能性があると説明していた。その後、攻撃は「複雑」で、ほかにも侵入経路が見つかったとしたものの、詳細は明らかにしていなかった。
事件発覚後、トレーダーやサイバーセキュリティーの専門家、暗号資産を発行する企業などは相次いで措置を講じた。ステーブルコイン大手のテザーやサークル・インターネット・グループなどは、約30億ドル相当の資金を凍結するなどして、攻撃者による資金移動を阻止した。分析会社は暗号資産の流れを追跡し、最終的に北朝鮮の関与を指摘した。北朝鮮は関与を否定している。一方、市場の混乱に乗じて利益を得たトレーダーもいた。
バイナンスは損失を自社で負担すると説明し、利用者の不安払拭に努めた。ただ、事件後はほぼ2日間にわたって出金を停止し、11月1日早朝から段階的に再開した。当初は利用者の出金が相次ぎ、数十億ドル規模の資金が流出したが、その後は落ち着きを取り戻したもようだ。3日には、1時間当たりの入金額が出金額を上回るようになったと発表した。また、自社資金と2つの保険基金を充て、流出した暗号資産をほぼ補充したとも説明している。
暗号資産史上最大のハッキングとなったものの、相場への影響は限定的だった。ビットコインは事件直後に4%超下落し、一時7万6000ドル近くまで値を下げたが、その後は下げ幅を縮め、3日には7万7000ドル台半ばで取引されている。
原題:Binance Hackers Used Fake Job Interviews in $6.3 Billion Heist(抜粋)
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Ben Weiss, Ryan Weeks
