NetSuiteは、米国時間10月25~28日にネバダ州ラスベガスで年次イベント「SuiteWorld」を開催した。今回はOracleの年次イベント「Oracle AI World」と同時開催になり、NetSuiteは次世代ERP「NetSuite Next」の進化や自律型システムへの方向性を示した。同社の日本における戦略について日本オラクル 常務執行役員 NetSuite事業統括の渋谷由貴氏が説明した。

日本オラクル 常務執行役員 NetSuite事業統括の渋谷由貴氏
SuiteWorldの基調講演では、創業者でOracleのエグゼクティブバイスプレジデントを務めるEvan Goldberg氏が、「AI as the UI(ユーザーインターフェースとしてのAI)」「ERP for You(あなたのERP)」「Autonomous Suite(自律型スイート)」という3つの軸から新機能や今後の方向性を発表している。
Goldberg氏による発表について渋谷氏は、統合基幹業務システム(ERP)の存在が記録システムから予測・実行支援のシステムへと進化し、それを3つの軸で実現していくことだと説明。「NetSuiteのフォーカスは中堅・中小企業とスタートアップのお客さまであり、(NetSuiteのERPを通じて)業務をシステムへ具体的に任せることができる。業務課題に即したAIのソリューションを提供していく。AIが実行を担い、人が確認や判断を行う。ソフトウェアを操作しなければならないという状況を減らし、お客さまがビジネスに集中できるようご支援する」と述べた。
国内の顧客においては人手不足や業務とデータの分断、AI実装が進みづらいといった課題が存在していると渋谷氏。AIによってERPが記録システムから業務の理解とアクションを支援システムに進化していると強調した。NetSuiteがグローバルで提供されるERPだからこそ、日本の顧客における事業拡大や多角化、業務とデータの一元化、業務データのAI活用に貢献できると強調した。
日本の事業戦略では、(1)製品価値の拡張、(2)多様な業界へ展開、(3)エコシステムの強化――の3つを打ち出す。
(1)では、フィールドサービスとバックオフィスの連係を強化するという「FIELD SERVICE MANAGEMENT」と、銀行データの連携により照合や経理プロセスを効率化する「BANK FEEDS」の2つの新製品を投入。BANK FEEDSは、日本側の要望を起点に開発した製品だという。

「製品価値の拡張」では日本発という機能も展開する
(2)では、業種別スイートの新展開として商社・卸売向けの「SuiteSuccess for WD」を追加するなど、サービスや、小売、製造などの各業界向けの機能集(テンプレート)を拡充している。

国内パートナーとの共同によるテンプレートを拡充している
(3)では顧客のビジネス課題テーマに合わせたエコシステムの拡大を続けており、新たに8社の導入パートナーが加わった。

国内パートナー

導入支援パートナー
またAI活用の進化として、製品自体がインテリジェントになるという位置付けがNetSuite Nextであり、ERPと外部のAIを接続する役割として「AI CONNECTOR」を展開している。AI CONNECTORについては、Model Context Protocol(MCP)をベースに「ChatGPT」や「Claude」からガバナンスを担保してNetSuiteのデータやワークフローを利用可能にしている。
顧客支援を目的にした新施策では、テクノロジースタートアップ企業向けにNetSuiteを無償利用できる「QuickStart」を開始している。現時点では米国のみだが、渋谷氏によれば2026年内にオーストラリアでも開始し、以降はシンガポールや日本でも順次開始する。「今回発表したグローバルでの施策は日本でも展開する予定であり、QuickStartの日本での提供は2027年の早い時期を期待している」とした。
なお、基調講演ではNetSuiteの迅速導入を支援するソリューション「SuiteExpress」も発表された。渋谷氏は「4年ほどNetSuite事業を担当している経験から日本と米国ではお客さまのITに対する捉え方が大きく異なると感じており、特に日本では技術だけでなくパートナーとの支援が非常に大事だ」とコメント。ERPパッケージを提供する以上に、パートナーエコシステムと連携して顧客企業のニーズに即したきめ細やかな対応が重要だとの見方を示した。
NetSuiteは2016年にOracleに買収されており、買収後の約10年間でOracleとの製品や機能的な連携なども進んできた。渋谷氏は、エンタープライズを主要顧客とするOracleからは独立した位置付けであるとしつつ、「同時にOracleの一員でもあり、(NetSuiteのサービス提供基盤として)『Oracle Cloud Infrastructure』などを活用している。お客さまの業界や複雑性といった状況に合わせてNetSuiteを活用していただけるようOracleとNetSuiteの総合力を発揮していく」と語った。
(取材協力:日本オラクル)
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