(ブルームバーグ):ニデック株に弱気の投資判断を示してから10年。空売り投資家として知られるカーソン・ブロック氏は、不正会計に揺れる同社の問題は、日本企業の改革がなお十分に進んでいないことを浮き彫りにしていると指摘した。
ブロック氏はブルームバーグとのインタビューで、日本の市場には「問題を抱えた企業は数多くあり、責任が十分に問われてこなかった」と述べた。その上で「深刻な機能不全がある」とし、空売りアクティビスト(物言う投資家)やメディアの追及による透明性の向上が求められているとも語った。
ニデックでは昨年、不正会計が発覚した。財務諸表について監査法人から意見を得られず、東京証券取引所で上場廃止の危機に直面している。
同社の一部子会社で広範な不正があったことを明らかにした調査が行われたのは、ブロック氏率いるヘッジファンド、マディ・ウォーターズ・キャピタルが2016年のリポートで、「攻撃的」な会計処理や「疑問のある」買収、コーポレートガバナンス(企業統治)上の懸念を指摘してから、かなりの時間が経過した後だった。
市場がニデックの問題をこれほど長い間見過ごしてきたという事実は、同社や日本企業全体を取り巻く「積極的な沈黙の共謀」を示しているとブロック氏は指摘する。リポートは当時ほとんど注目されず、同ファンドは空売りポジションを取った後、ほどなく買い戻したという。
ニデックの広報担当者はコメントを控えるとしている。
ニデックの不正会計を巡り、ブロック氏は今後さらに問題が表面化する公算が大きいとみている。同社による調査は、マディ・ウォーターズがリポートを公表した時期までさかのぼっていない可能性が高いためだ。
ニデックは26年3月期決算で約6320億円の減損損失を計上した。同社の第三者委員会による調査は、20年度から25年度の4-6月期(第1四半期)までを対象としていたが、原因分析などのため必要と判断した場合は、さらにさかのぼって調査を実施したとしている。
ブロック氏は「問題があったことが明らかな複数の年度が調査から明確に抜け落ちている」と指摘。「現時点でニデックの問題の全容が把握されているのか、疑問を呈する余地はあると思う」と述べた。
マディ・ウォーターズのような空売り投資家は、企業の問題点を指摘するとともに、株価が下落した後に買い戻すことで利益を狙う。ブロック氏は、過去数年にわたり企業統治改革が進められてきた日本でも、「まだやるべきことが多い」と語る。
ただ、同氏はニデックの事例が示すように、一部の日本企業では透明性の欠如が不正を暴く機会を生む一方、沈黙を良しとする企業文化が根強く、空売り投資家が問題提起への支持を広げるのは難しいと話す。「成果につながるという確信は低い」とも述べた。
ニデックの株価は現在、約10年ぶりの安値圏で推移している。東証が25年10月に同社株を特別注意銘柄に指定して以降、30%余り下落した。
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