2026年11月
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    昨年のクイーンズ駅伝で4位となって5年ぶりにシード権を獲得。三井住友海上はいま、着実に力をつけている伸び盛りのチームだ。だが、母体となる企業は来年4月に合併を控えており、チームが現在の名称で大会に臨むのは今年が最後となる。特別な大会に懸ける思いをチームの実力者3人が語り合った。

     笑顔が絶えない。3人の会話から、三井住友海上のチームの雰囲気の良さが伝わってくる。

     2026年全日本実業団ハーフマラソン優勝の樺沢和佳奈、日本陸上選手権大会3000m障害2位の西山未奈美に、来年行われるマラソングランドチャンピオンシップの出場権を獲得した不破聖衣来。不破が先輩ふたりを紹介してくれた。

    「西山さんがいると、場が明るくなります。ムードメーカーなんですが、練習になると目の色が変わるので、練習に向き合う姿勢を学ばせてもらっています。樺沢さんは私と同じ群馬出身で、都道府県対抗女子駅伝でチームメイトだったこともあります。中学時代に姉の応援で大会に行くたびに、樺沢さんの強さを間近で見ていました」

     その樺沢は、不破のコミュニケーション力に感心しているという。

    「私はよく話しかけづらいと言われるんですが(笑)、こんな私にもフラットに話しかけてくれるし、去年は大会前に手紙を書いてくれて、うれしかったですね」

     前回のクイーンズ駅伝(6区間)は1区樺沢、2区西山、3区不破とたすきをつなぎ、4位に入って5年ぶりにシード権を獲得した。特に西山は19位でたすきを受けたが8人抜きで流れを引き寄せ、区間賞を獲得した。西山がこのレースを振り返る。

    「陸上競技は個人スポーツですが、駅伝だから頑張れるという面があります。去年は、ひたすら獲物を追いかける動物のような気持ちで走りまして(笑)。結果的に区間賞を取れたんですが、チームとして4位に入れたこともうれしかったです」

     不破にとっては、昨年のクイーンズ駅伝が社会人として初めての駅伝だった。

    「私はその前のプリンセス駅伝をケガのため走っていなかったので、新たに自分が加わることで流れを止めてしまったら大変だと思っていました。その意味でプレッシャーは感じていました」

     10.6kmの最長区間を担当した不破は、6人抜きの好走を見せ、チームをシード圏内である5位に押し上げた。

    「ハイペースで入りたいという思いもありましたが、後半に失速するよりは、自分の持ち味である後半に上げていく走りを信じていました」

     区間後半に順位を上げていくのは、後続で走る選手たちの力になる。後半に強い不破の走りがシード権獲得につながった。

    クイーンズ駅伝7度優勝のチームに伝わる勝利の遺伝子

     クイーンズ駅伝は三井住友海上にとって、特別な大会だ。2000年から20009年の10年間に7度の優勝という圧倒的な実績を誇る。樺沢はいう。

    「去年、4位に入って力が上向いたという実感はありますが、7回優勝という歴史があるので、やっぱり優勝しないと……という雰囲気がうっすらあるんです」

     これが伝統というものだろうか。時が流れても、チームの遺伝子として伝わっているものがあるのだ。ただし、それがプレッシャーに直結するわけではない。西山は現在のチームの特徴をこう話す。

    「三井住友海上の選手は、こうあるべきという定義があるわけではありません。自然体で力むことなく、自分の色が出せるチームです。

     クイーンズ駅伝でライバルとして意識しているチームはないですし、あくまで自分たちの色を発揮できればいいなと思っています」

     西山によると、クイーンズ駅伝ともなると、社内の盛り上がりも違ってくるという。

    「大会前には壮行会も開いていただきますし、三井住友海上だけでなく、MS&ADインシュアランスグループの皆さんが会場の仙台まで応援しに来てくださいます。それに、声援がすごいんですよ。きっと、私たちの姿が見えないときから声を出して、見えなくなるまで応援してくれている。自分の名前が遠くから聞こえてきて、ずっと背中にも聞こえている。ものすごく力になります」

     不破も走りながら、沿道からの熱気を感じていた。

    「大学駅伝とは、また違った声援の大きさがありました。ああ、これがクイーンズ駅伝なんだな、と」

     今年のクイーンズ駅伝に向けて、チーム状況はどうなっているのか。樺沢がいう。

    「チーム全体として、去年よりも安定していると思います。新しく入社した選手の存在が刺激にもつながって、さらに上を目指していこうというムードになっています。私自身は、去年は1区を走って区間19位と出遅れてしまい、ふたりには追いかける展開にさせてしまって、悔しいというか、情けないという思いがあるので、今年はしっかりとした走りをしたいと思っています」

     8月の北海道マラソンでは2時間26分04秒で2位に入った不破も、2度目のクイーンズ駅伝に向けて意気込みを語る。

    「私は実は競争が好きじゃないんですけど、走るのが好きなので、出場すること自体が楽しみです。駅伝は好きですし、チームに貢献できる走りをしたいです」

    グリーンのユニフォームへの思い入れ

     2027年4月に控える会社合併に伴い、今後は持株会社であるMSIG(三井住友海上グループ)に所属となるため、選手たちが「三井住友海上」のユニフォームを着て、クイーンズ駅伝を走るのはこれが最後の機会となる。’22年に入社し、5年間、グリーンのユニフォームを着て走ってきた西山には特別な思い入れがある。

    「三井住友海上って漢字6文字の社名、カッコよくないですか(笑)。私はとっても好きなので、このユニフォームを着て走る機会を大切にしたいと思っています」

     樺沢は感慨深げに話す。

    「チームは大きな節目を迎えますが、今年は現社名での最後のクイーンズ、来年はクイーンズを含め新たな名称で走ることになるので、選手としては貴重なタイミングに立ち会えていると思います」

     名門復活を担う3人。今年のクイーンズ駅伝でも、三井住友海上の走りは大いに注目を集めそうだ。

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